2009年12月31日木曜日

来年はどんな年に? 伊勢から考える

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 注意深い人なら、伊勢市の伊勢神宮周辺や昔からの町並みを歩いていると、「○○太夫邸跡地」と彫られた石碑が散在していることにお気づきかもしれません。

 太夫(たゆう)というのは伊勢神宮の神職であった「御師」(おんし)の尊称であり、最盛期の江戸時代には内宮のある宇治地区、外宮のある山田地区を合わせると数百人の御師が存在していました。

 伊勢神宮は本来、皇室の祖先神であって、皇室の弥栄と日本の繁栄を祈願する尊い場所であり、その祭祀は国家行事であって、氏素性もしれない一般庶民が参詣する場ではありませんでしたし、許されることでもありませんでした。

 しかし、平安時代から鎌倉時代にかけ、律令制が荘園制経済となり、やがて武士勢力が台頭して朝廷や寺社の権威が低下してくると、伊勢神宮を支える費用も朝廷ではまかないきれなくなり、新たな収入源の確保が必要になってきます。

 そこで、今までは許されなかった庶民(とは言っても武士や豪農、商人といった新興勢力)の参詣を許し、寄進を通じて彼らの武力や経済力を活用する動きが出てきました。ここで活躍したのが、これらの庶民と伊勢神宮をつなぐ窓口の役割を果たした下級神職、つまり御師です。

 御師は全国の村々を回って営業し、伊勢神宮の御神徳を説き、参詣や寄進を勧めます。江戸時代には、国家安泰を願うはずの伊勢神宮は、さらに広く庶民、農民に浸透し、武運長久、家内安全、豊年満作を祈る信仰に変質していきます。

 信者たちが伊勢講を組んではるばる伊勢まで来れば、御師は彼らに下へもおかぬもてなしをします。御師の巨大な邸宅は、全国からの参拝者を宿泊させるたくさんの部屋を有しており、鯛、伊勢えびなど山海の珍味の食事、絹織りの夜具や布団、壮麗な神楽奉納で歓待しました。貧しい庶民なら、おそらくその後の人生でこのような贅沢は二度と体験することもなかったでしょう。

 もちろん、この歓待費用はタダではありません。参詣者の伊勢神宮への奉納・寄進を御師が代わりに受け取っていたので、実際には多額の現金や物産が御師の懐に入ったはずです。しかし、形の上では御師のもてなしは「無料」なので、参詣者はむしろ感激した場合が多かったようです。
 記録によると、ごく一般的な農民の伊勢講であっても、現在の貨幣価格で数十万円から数百万円もの(到底信じられないほどの)大金を奉納することが普通でした。毎年100万人近くの参詣者がいたことを考えると、いかに伊勢は経済が「サービス化」しており、その規模も巨大だったかに驚嘆させられます。(もっと付け加えると、独創的なビジネスモデルだったと思います。)

 このように栄耀栄華を誇った御師でしたが、繁栄の幕切れはあっけなくやってきました。

 明治維新により、世俗化した伊勢神宮を本来の国家神に復興すべく、明治政府が神宮改革を断行したからです。神仏習合の徹底分離(廃仏毀釈ですね)、世俗信仰の廃止などのほか、伊勢神宮の神職は明治政府の人選に一新され、世襲制だった御師は廃止されることとなり、一切の宗教活動は禁止されました。

 伊勢のまちには大激震が走ります。
 御師本人だけでも数百人、その番頭や手代、使用人いっさいを含めたら数千人の人々が職を失ったからです。

 甍を並べ権勢を誇った御師の邸宅は、一部は旅館業に転職した人もいたようですが、多くは空き家になり、解体された跡地には、明治新政府の税務署や裁判所、郵便局、銀行が建ち並びました。まさに今までの伊勢的なものが一掃された文明開化の光景だったはずです。したがって、現在、御師の邸宅で現存するものはありません。(門は皇學館大学の正門や神宮徴古館の門として転用されているものはありますが。)

 長々と書きました。
 世の中の流れによって、ある地位(勢力)が新しいものに取って代わられることは珍しいことではありません。事前に兆しは必ずあるものでしょうが、実際の交代(変革)は案外突然にやってきます。

 民主党政権が出した成長戦略がどれだけの変革を日本社会にもたらすのか。それは、我々国民自身に、自らどれだけ変化する心構えがあるかによって変わってくることになるのでしょう。
 変革には痛みを伴います。
 御師は没落しました。
 それによって浮かぶ人もあれば沈む人も出てきます。
 しかし、日本がこのままでもいいはずがありません。仮に2010年も変化がなかったら、そのときこそ日本全体が沈没を始めてしまうことでしょう。

 自分たちにそのような展望はあるでしょうか。
 変化はだれにとっても怖く、不安なものではあるのですが。

<補足>
 「現在、御師の邸宅で現存するものはありません。」と書きましたが、伊勢市宮町に外宮の御師であった丸岡宗太夫の邸宅が現存しています。(現在は空き家)

2009年12月29日火曜日

こんなところにも! モンドセレクション

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 現在は水野美紀さんが出演していますが、その前の、田中美奈子さんが出ていた頃の 清酒 宮の雪 のCMで、はんわしは初めてモンドセレクションという言葉を知りました。

 今でこそ、モンドセレクションは「ベルギーに本部がある表彰委員会が、世界のワイン、ウイスキーなどの酒類を品評し優秀なものを顕彰するシステム」ということが広く知られるようになっています。

 しかし、宮の雪が金賞を受賞するまで日本では一般消費者にはほとんど知られていない賞でした。
 聞いた話によると、日本酒の出品としてはもちろん、日本のメーカーが初めてモンドセレクションにエントリーしたのが、宮の雪の蔵元である宮崎本店だったそうです。

 宮の雪の品質が受賞にふさわしいものであったことはもちろんでしょうが、それにしても失礼ながら、三重県にある一地酒メーカーが、世界的な賞であるモンドセレクションにエントリーしようと考えた、その発想の先見性や行動力には今更ながら驚嘆せざるを得ません。

 しかし、今日、スーパーで買い物をしていると、意外なアイテムがモンドセレクションを受賞していることを知りました。


 まず一つ目は、隆祥房の「餃子皮」です。
 スーパーのお肉売り場でみなさんも必ず一度は隆祥房の商品を見たことがあると思いますが、おそらく餃子皮、春巻皮のジャンルでは圧倒的なシェアを持っているメーカーです。
 しかし、モンドセレクションの、いったいどのジャンルで金賞を受賞したのでしょうか。
 そもそも、餃子皮って、日本か中国の中華料理文化圏でしかモノ自体が存在しないはずなので、(ケチをつける気は毛頭ないのですが)そもそも世界的なコンペティションになっているのか、という疑問は湧いてきます。お断りしておきますが、隆祥房の餃子皮は我が家でも愛用していますよ。

 二つ目は、紅葉屋本舗というメーカーの本練ようかんです。
 ホームページによると、和歌山県串本町にある和菓子メーカーらしく、本練ようかんのほか、柚子ようかんや塩ようかんなどおいしそうな商品がラインナップされています。

 モンドセレクションと和菓子の取り合わせがピンときませんでしたが、モンドセレクションはそもそもチョコレートのようなお菓子の品評がメインだったとの情報もあるようなので、ようかんの最高金賞受賞は日本国民として素直に喜ぶべきなのかもしれません。

 
 さてさて、これらのエピソードから何が学び取れるか。まとめてみましょう。

 まず、当然ですが、商品の品質は高くなくてはいけないこと。特に食品分野では衛生に留意し、安全安心な商品を提供しなくてはならないことです。

 しかしもっと重要なのは「ブランド戦略」です。
 日本酒にしろ、ようかんにしろ、個別にはこだわりがあるのでしょうが、消費者にとってはどこにでもある「ありふれた商品」に過ぎません。
 どうやって差別化するかといえば、権威のある賞を受賞するとか、宮内庁や有名人の御用達であるとかの「名誉」をブランディングするのが有効な手段です。
 宮崎本店にしても、隆祥房も紅葉屋本舗も、地元や日本国内でチマチマと受賞ごっこをやっているのでなく、(毀誉褒貶はあるにしろ)モンドセレクションという国際的な賞を狙ったところがユニークですし、それだけの実力も自信もあったのだと思います。

 このブログで時々書くのですが、今、全国各地で地域産業活性化のため「地域資源の活用」や「農商工連携の促進」が提唱されており、行政の支援も受けて「特産品」なるものが次々生み出されています。しかし、残念ながら、これらの特産品で、全国のマーケットに出て行けるような商品力を持っているものはほととんどありません。多くは生産者の自己満足か、お国自慢レベルのものです。
 本当の産業化を目指すなら、事業者はせめてモンドセレクションを取るくらいの意欲と戦略、戦術を持つ必要がありますし、行政も小額の補助金をバラまくのではなく、世界と戦える、もしくは世界の権威をバックに国内で戦える態勢を支援すべきではないでしょうか。
 それができる地域、できない地域の優勝劣敗が、来年にはそろそろ明らかになってくることと思います。
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2009年12月28日月曜日

日本の公務員数は多くない

 総務省が地方公務員の定員管理調査結果の概要を発表しました。毎年、4月1日現在の、地方自治体の職員数を調査しているものですが、これによると地方公務員の総数は285万5千人で、去年と比べて1.5%の減少となっています。地方公務員の数は平成7年から一貫して減り続けており、調査以来、過去最少となっています。(総務省のホームページはこちら http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/22960.html


 地方自治体とひとくちに言っても、都道府県と市町村では役割が相当に異なっています。職員の業種を見ても、事務系の職員は両方に共通するとしても、都道府県では教員や警察官が多く、市町村では福祉、消防、清掃、上下水道などの割合が多いことが特徴でしょう。しかし、これら事務系以外の現業職員は、定数が国によって決められているので減少の仕方は比較的緩やかではあるのですが。

 一般的な社会常識から考えると、とかくお役所仕事といわれ効率が低い(と考えられている)公務員が減るのは良いことのような気がするかもしれません。
 しかし、これは意外かもしれませんが、国際的に比較すると、いわゆる先進国の中で日本の公務員数は突出して低くなっています。(地方公務員だけでなく、国家公務員も含めた総数で。)
 つまり、国際的に見ると、日本の公務員の労働効率は決して低くないことになります。
 詳しくは、社会実情データ図録をご覧ください。(ちなみにこの「図録」、非常に参考になるサイトです。作者に感謝せずにはおられません。)

 さて、不景気が続き、先が見えない世の中、公務員バッシングで溜飲を下げ、スッキリしている向きも多いようです。
 しかし、「公務員は仕事をしていない」「5時になったらサッと帰っていく」などという批判が多くの場合に的外れなのは、この調査のように、一貫して人数は減っていて世界最低水準、しかも行政に対する住民の要請はますます多様化・複雑化しており、いろいろ不満はあるにせよ、それなりにこれらのニーズに対応しているという客観的な証拠があるからです。
 もちろん、サボっている、5時になったら帰っていく公務員がいないとは思いません。そいつらはそいつらで適正化されるべきです。
 しかし、データや事実に基づかず、ただただ公務員憎しで感情的な攻撃をしていても、事態はまったく何も改善されないでしょう。

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2009年12月26日土曜日

「プロボノ」は社会起業を強化できるか

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 もう間もなくに迫った2010年。この年が日本のプロボノ元年になるのではないか、という興味深い記事がダイヤモンド・オンラインに掲載されています。(竹井善昭氏による「社会貢献を買う人たち」)
 リンクはこちら→http://diamond.jp/ (閲覧は無料ですが会員登録が必要です。)

 社会起業(ソーシャルビジネス)は新しいビジネスのスタイルとして完全に市民権を得た感がありますが、これは閉塞する現代社会の中で、社会課題を解決するためにビジネスの手法を活用することに対してそれなりの合理性というか、説得性があることが、社会のコンセンサスになってきたからだと思います。

 現実として、若者の間でも社会的企業の起業を目指す人や、社会的企業で働きたいという人は増えているようですし、若者だけでなく、ビジネスや行政の関係者、さらには、専門性の高い職業である弁護士、公認会計士、デザイナー、コンサルタントのような方々の間でも関心は高まってきています。
 しかし、その一方で、いくら社会的企業の意義や重要性を理解し、その活動に参画したいと考えても、現在の仕事を辞めて起業したり、転職したりすることは現実問題としてなかなか困難だという問題があります。

 そこで、特に後者の「専門性の高い」「プロフェッショナルな」人々が、自分のスキルをボランティアとして社会的企業やNPOに提供し、その活動を支援するのが「プロボノ」と呼ばれる活動です。

 ダイヤモンドオンラインの記事では、プロボノの具体例として「NPOに対して、知恵やアイデア、プロフェッショナルスキルを提供することでNPOを応援する」ことを目的としたサービスグラントという団体が紹介されています。(ホームページはこちら
 これを見ると、NPOから自分たちの活動を広く周知するためのPR方策やホームページ作りの依頼を受け、それをコンサルティングしたり、実際にホームページの構築を支援したりしている事例が紹介されています。
 まさに、助成金(グラント)などの金銭的なつながりでなく、マンパワーを生かしたサービスでつながろうとしている「サービスグラント」の精神が表れているようです。

 一般論として、ソーシャルビジネスにしろ、コミュニティビジネスにしろ、ビジネスを実際に行うプレーヤー、そのサービスを受益する顧客に加えて、ヒト、モノ、カネなどの経営資源を確保するうえでは、外部の協力者やサポーターとのネットワークが非常に重要となります。多くの社会起業家が、この面で大きな苦労をしています。

 その意味では、プロボノはこれから有益な役割を果たすもののような気がします。
 ただ、問題は、ソーシャルビジネスに関心を持つ高度専門職の人々と、ビジネスのプレーヤーを結びつける「組織」なり「媒介」なりの「チャンネルづくり」ではないでしょうか。
 特に専門職の絶対数が少ない三重県のような地方において、チャンネル作りをどうしていくかは関係者で共有すべき重要な問題意識ではないかと感じます。

 ★ソーシャルビジネスとコミュニティビジネスの違いについては、10月11日付けのブログを参照してください。
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2009年12月25日金曜日

これは奇策だ! 大阪府プレミアム商品券

 確かに中小企業の経営者から話を聞くと、低利融資よりも補助金よりも、まずは需要を拡大するような施策を行政に求める声を多く聞きます。

 国レベルでは、10年前の地域振興券、今年の定額給付金のような「需要拡大」策はすでに実行されています。以前このブログでも書いたように、これらの需要拡大策は、マスコミからはバラマキ施策だと批判されましたが(そして、はんわしもそう考えていますが)、現実にはそれなりに経済波及効果があったという報道もあったりして、このような奇手奇策も、現実の政策選択肢としてそれなりの存在感を残しているのは間違いありません。

 しかし、これを地方自治体、しかも都道府県のレベルで行うのは、中途半端な行政区分の広さと人口であり、市町村に比べて行政と住民の顔が見えにくい距離感であることや、そうは言ってももし都道府県独自の定額給付金をやるとすると数億円の予算規模が必要となり、本当にそこまで地方がやるべきかという議論が巻き起こるのは必至かと思います。いや、そう思っていました。ついさっきまでは。

 しかし、これを大阪府はやるのですね。
 その名も「大阪まるごと大売出しキャンペーン」

 大阪府が1万円で販売する商品券で、大阪府内の登録店で使える1500円分のプレミアが付いています。つまり、1万1千500円分使用可能になるということです。
 このプレミアは商業者(登録店)側が10%を、大阪府が5%を負担し、全部で70万セットを発行する予定だそうです。(詳しくは大阪府のHP→http://www.pref.osaka.jp/shogyoshien/shogyoshinko/sankatenpo.html

 同業者のはんわしから見ると、正直言って「ここまでやるか・・・」っちゅう感じです。
 いったい、どれくらい波及効果を見込んでいるのでしょうか。
 大阪府のプレミア分500円×発行数70万で、負担額は3億5千万円。実際にはこれにさまざまな事務費がかかるはずなので、朝日新聞によると大阪府の負担は5億1500万円だそうです。これだけ税金を投入して、それを上回る効果が果たしてあるのでしょうか? どうやって計算したのだろう・・・
 
 ちなみに、大阪府は財源を国からの臨時交付金でまかなうそうなのですが、これは地方自治体がよく陥る落とし穴で、国のカネだから府民の税金は使っていない。だから大盤振る舞いしてもいいのだ、という思考パターンになりがちです。

 しかし、よく考えると、これは国税を使っていることの裏返しなのですから、納税者である国民の一人として「大阪府よ、無駄遣いはやめろ」という権利も生まれてくるわけです。
 それにしても、ホント、効果あるのかいな? プレミアム商品券って・・・
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2009年12月24日木曜日

コロプラが地場産業メーカーを救う

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 日経ビジネスオンラインの「有田焼の老舗を救った携帯ゲーム」という記事が秀逸です。
 
 有田焼に代表されるような陶磁器産業などの、いわゆる地場産業は、どこも大変な苦境に陥っています。消費者の生活様式の変化について行けず旧態依然とした製品作りに固執しているメーカーも多い中、この記事に出てくる有田焼メーカーも、産業観光などに力を入れてはいるものの、最盛期に比べ売り上げは激減していました。
 それを救ったのが、携帯電話のオンラインゲームである「コロニーな生活★PLUS」(略してコロプラ)です。


 はんわしも携帯ゲームにはあまり詳しくないのですが、コロプラのブログによると、コロプラとは位置情報を利用したコミュニケーション系シミュレーションゲームであるということです。

 ゲームの内容は、「コロニー」と呼ばれる自分の島を、水や食料などの資源を配置したり、様々なアイテムを使って発展させる、というもの。ゲームの中で必要なアイテムを「プラ」という仮想通貨で購入するのですが、その通貨を稼ぐためには、ユーザーはケータイを持って現実の世界を移動する必要があります。

 どういうことかというと、ユーザーが位置情報を登録すると、現在の位置情報と前回の位置情報から移動距離が算出され、1kmあたり1プラのレートで仮想通貨がもらえます。そして、北海道全域でアクセスすれば「カニ」をもらえる、といったように、移動距離に応じてゲームにアクセスした現実世界の、その場所でしか購入することができない、ご当地のお土産アイテムを手に入れることができます。

 この有田焼のメーカーは、コロプラと連携して、自らの工場を、レアな土産アイテムを入手するのに必要な「交換所」にしました。そこで、これらのレアな土産アイテムを求める熱心なファンが、直接、はるばると有田のこのメーカーまでやってくるようになり、実際に多くの商品を購入する(=ゲーム上の仮想通貨のポイントがたまる=レア土産をゲットできる!)ようになりました。そのおかげで急激に売り上げが伸びているのです。

 要するに、ITのビジネスモデルによくある「成果報酬型の広告」であるわけなのですが、地場産業の老舗と携帯ゲーム(しかも、コロプラの場合、ユーザーは30~40代のオトナが多く、ユーザー数も65万人いるということです。)という異色の取り合わせが目を引きます。
 まさに、今までの常識を打ち破るビジネスモデルだといえるのではないでしょうか。

 ■日経ビジネスオンライン http://business.nikkeibp.co.jp/ (無料ですが会員登録が必要です。)

 世の中のIT化が進んでいますが、この事例はまさにIT活用ビジネスの好事例のような気がします。
 ものづくり偏重、リアル取引き偏重の固定観念を持っていては、逆立ちしてもこのイノベーションは発想できないし、それどころか理解することすらできないでしょう。

明日はどっちだ?
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2009年12月23日水曜日

原口ビジョンを斜め読みしてみた

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 原口総務大臣が12月22日に公表した「原口ビジョン」をざっと見てみました。
 ビジョンは「緑の分権改革推進プラン」と、「ICT維新ビジョン」の2本柱から成っており、太陽光などの自然エネルギー活用と、ICT(情報通信技術のこと。以前はIntelligence Technologyと言っていましたが、最近はCommunicationが間に入ってICTと呼ばれています。)の活用を柱に、地域経済の活性化を図り、地方都市への定住化を促進する、という内容になっています。



 ■総務省ホームページ http://www.soumu.go.jp/index.html

 正直言って、このような話、すなわち、自然エネルギーを活用するだの、地域圏内で循環する経済の仕組みを作るだの、IT(ICT)を活用して地域を活性化するだののアイデアは、総務省が自治省と郵政省という別々の官庁だった頃からさんざんプランが作られ、予算が盛られ、多くの補助金が全国にバラ撒かれました。
 ICTに関してだけでも、高度情報化社会の到来とか言って、VANとかキャプテンとかの通信網の整備や、商店街へのPOSシステムやプリペイドカードの導入、行政サービスの電子化(住基カードやEタックスといった電子政府)などなど、数え切れないほどの施策が作られ、事業が行われました。
 しかし、皆さんよくご承知のように、ほとんどモノになっていません。

 原口ビジョンの14ページには、ICTによる医療・農業改革という項目があり、EHR(健康データのコンピュータ管理)の導入などが具体策として挙げられています。
 よく似た話として、インターネットを使った遠隔診療システムというものがもう20年近くも前から提唱されており、技術的には十分可能であるにもかかわらず、山間部や離島など医療過疎地でも現実にはほとんど使われていない現状が思い起こされます。なぜでしょうか。
 それは、結局、ICTによる遠隔診療が公的医療保険の診療報酬制度の対象になっていないからです。あるいは、保険診療と認められる遠隔診療は、非常に厳格な条件や前提があって、これに沿わない診療行為は保険外診療(自由診療)になってしまうからです。これでは病院や医療機関は、設備の導入やサービスの提供に二の足を踏んでしまいます。

 このように、原口ビジョンが提唱する自然エネルギー活用や、定住促進や、ICT活用は、もはや「技術的な可能性」が問題なのではありません。そうではなくて、それを使いこなす知恵やニーズが本当に地域の側にあるかどうかということと、地域の自発的なアイデアは往々にして政府の規制によって不当に制約されているということの2つが最も重要な問題なのです。
 地域には、もちろん潜在的な知恵やニーズはあるはずなのですが、それが顕在化し、実際に政府の政策と合致してうまく回っていく「仕組み」をどう作るかが核心です。

 今まで幾多の政策が打ち出され、その多くが(ほとんどが)失敗している現状。結局は、コンサルタントや、NTTのような通信会社、コンピュータメーカーが儲かっただけで、せっかくの機械や設備はホコリをかぶり、ソフトウエアは眠っている。
 原口ビジョンでは、このような過ちは繰り返してほしくないものです。

 その一つのヒントは、(実はビジョンには明記されていないのですが)国ではなく、主導は地方自治体が自己責任で行う仕組みにすることです。全国の都道府県、市町村に補助を薄撒きするのでなく、自ら地域イノベーションに取り組んで、国の支援を必要とし、かつ、使いこなせる地域(自治体)にだけ支援する。居眠りしている地域や自治体は置いてけぼりも仕方がない。
 そのように、国も地方も腹をくくることです。
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2009年12月22日火曜日

クリスマスソングのナンバーワンは

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 クリスマスソングの定番は、J-POPでは25年位前から山下達郎のクリスマス・イブが不動の地位を占めていると思いますが、海外のポピュラーソングではどうでしょうか。
 今日、ショッピングセンターをぶらぶらしていたら、ポール・マッカートニ&ウイングスの”ワンダフル・クリスマスタイム”が流れてきました。
 はんわし的には一番好きなクリスマスソングです。



 ポールは言うまでもなく、ジョン・レノンと並ぶザ・ビートルズの中心メンバーでした。ただ、ジョンがどちらかというと抽象的な歌詞や、過激な政治的メッセージを含んだ名曲をリリースしたのに対し、ポールの作品は「わかりやすい」歌詞のラブソングの名曲が多いこと特徴です。
 このワンダフル・クリスマスタイム(1979年)も、数年前に発表され大ヒットした、ジョンの“ハッピー・クリスマス”が、War is over,If you want it.というメッセージを放っていたのに対して、Simply having wonderful Christmastime.(シンプルにクリスマスの時間を過ごそうよ)と、それこそ「シンプルに」(お気楽にと言うべきか?)歌っているのは対照的だと思います。

 こちらのブログが、この曲の丁寧な解説をしてくれています。
  ⇒ http://plaza.rakuten.co.jp/miyajuryou/diary/200612240000/
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2009年12月21日月曜日

尾鷲市の三田火力発電所が設備撤去へ

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 今日(12月21日付け)の伊勢新聞に、尾鷲市にある中部電力三田火力発電所2号機の屋外設備の撤去工事が始まるとの記事がありました。

 三田火力発電所は昭和39年12月に完成。それまでの漁業や林業が中心の産業構造からの転換を目指し、尾鷲市による強力な誘致活動と用地買収を含めた全面的な協力があって竣工したものです。
 その後、第3号機まで増設されましたが、電力需要が減ったことや、CO2削減の風潮もあって、第1号機、第2号機は運転を休止。その後、第2号機は廃止が決定していたので、設備の解体撤去も必然的なことでした。

 尾鷲に来た方はよくご存知のように、三田火力の大煙突は、尾鷲湾に面してすり鉢状に連坦している市街地の中央部に位置しており、どこからでも見上げることができる、あるいは見下ろすことができる、まさしく尾鷲のランドマークになっています。
 今はほとんどが空き家となってしまっている中部電力光が丘アパートの近未来的な建物群といい、エネルギー都市として躍進していた尾鷲市の一つの幕引きのような気がします。

 しかしこれは時代の流れです。この流れを逆転させることはできません。

 ぺティ・クラークの法則では、産業構造は第1次産業中心から、いわゆる工業化のプロセスを経て第2次産業中心に移り、最終的には第3次産業に比重が移っていきます。
 尾鷲も、農林水産業やエネルギー業に重心を置きつつも、地域資源や環境を活かした6次産業に産業構造を移していく以外に都市的な発展を続けることは不可能です。
 6次産業に軸足を移すためには、新商品や新サービスの開発、新たな提供方法の創造や新原料の創造などの、いわゆる「イノベーション」が不可欠なものになります。イノベーションを創発するための人材育成や人的な交流なども促進していく必要があるでしょう。

 問題なのは、このような客観的・歴史的な事実を軽視した、「夢よもう一度」的な産業政策が、尾鷲市に限らず三重県南部の市町にいまだに散見されることです。
 農林水産業は歴史と風土に根ざした、その地域にとって大切な産業に違いありません。しかし、従事者、生産額とも全産業の数パーセントしか占めておらず、後継者もろくにいない状況なのは紛れもない事実です。地域が発展を続けていくためには、持続可能な産業、つまりマーケットが継続的に確保でき、従業者も確保できること、を地域に定着させていくことが絶対に必要であって、多くの場合、その産業とは建設業であり、製造業であり、商業・サービス業です。
 これら、真の地場産業を支援し、成長させていく(少なくとも持続的に安定させていく)ための展望と施策を持つことが、基礎的自治体にとって必要不可欠な時代状況になって来ていることは明記すべきではないでしょうか。

※言うまでもないことですが、農林水産業はいらないという意味ではありません。従業者数、生産額の圧倒数を占める産業をもっと大切に育てるべきだと言っているのです。
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2009年12月20日日曜日

年末きいながしま港市に行ってみた

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 今や年末の吉例行事となった感がある、三重県紀北町「きいながしま港市」に行ってきました。
 会場は紀伊半島有数の漁港である紀伊長島港の特設会場。数メートルとなりは海であり、おりから寒風が吹きすさぶと、潮の香が強く漂います。紀伊長島の海産物を中心に、特産物であるサンマ寿司や押し寿司、ミカン、渡利カキなどなど多数のブースが出ており、年末特価で販売されているのでちょっとした賑わいでした。12月19日から28日まで10日間連続開催されています。

 ■三重きいながしま港市ホームページ http://www.minatoichi.com/index.html

 関係者に聞くと、昨年より人出は若干よくないそうです。
 これは不景気の影響もあるでしょうし、ちょうど一昨日から寒波が東海地方を襲っているので、遠出を控える人が多かったせいかもしれません。

 サンマの丸干しがすだれのようにたくさんブラ下げて売られているのは東紀州の冬の風物詩です。
 一般的にサンマは脂の多い青魚の代表格ですが、北海道沖から三陸沖、銚子沖と海流に乗って南下してくるうちに、サンマは体力を消耗して脂気が抜け、熊野灘に到達する頃には丸干しやサンマ寿司に最適なダイエット体型になっているそうです。
 古来からの食生活の知恵なのでしょう。サンマ丸干しにもこんな文化が背景にあるのですね。

 1枚目の写真では見にくいと思いますが、今年は会場がアスファルトで舗装されていました。
 昨年の年末港市の時はまだ砂利引きだったため、風が強く吹くと砂埃が舞い上がって大変だった記憶がありますが、これは完全に解消していました。紀北町役場などのヤル気を感じます。


 このヤル気は、紀北町特産の渡利カキの焼ガキが賞味できるコーナーが作られていたことからも伝わってきます。
 干物や生魚をたくさん買い込むほかに、お客さんによっては「その場ですぐに食べたい」という人も多くいるはずです。

 焼津だったかのフィッシャーマンズワーフでは、魚市場で買った魚を料理してその場で食べさせてくれるコーナーがあります。
 きいながしま港市は屋外なので、紀北町内の料理店などとタイアップしたら町歩きにつながるかもしれません。

 苦言を言えば、同じく紀北町内にあって全国有数の集客を誇る道の駅マンボウと港市とは、あまり連携ができていないようです。帰りに道の駅マンボウに立ち寄ったのですが、きいながしま港市を案内する看板などを目にすることはできませんでした。
 また、会場である漁港からクルマで5分のところにある古里温泉とも連携は薄いようです。古里温泉の足湯とか、温泉タマゴの販売とかやったら、ついでにひとっ風呂浴びていこうかという観光客も出てきたかもしれません。
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2009年12月19日土曜日

地域密着型産業の創出!?

 12月17日に開催された全国知事会の景気・雇用・地域活性化プロジェクトチームの概要が、翌日18日付けの伊勢新聞に一面で報道されました。

 これによると野呂三重県知事は、景気対策や雇用創出に関連して、地域の特色や資源を活かした産業や雇用の創出が必要だと強調したとのことです。今日のブログのタイトルの「地域密着型産業」なる表現は、実は伊勢新聞の見出しから取ったもので、全国知事会の席上で知事がこのような表現を使ったのかどうかは紙面からは定かでありません。
 ただ、今までは、三重県の産業(工業)政策は「知識集約型への産業構造の転換」という表現が枕詞のように多用されていましたので、地域密着型産業は、あるいは知識集約型産業のアンチテーゼ、少なくともパラレルに並立する概念であることは間違いなさそうです。

 ご承知のように、日本の工業化は明治期は繊維や窯業などの軽工業からスタートし、軍需産業と結びついた製鉄や造船などの重工業がこれに続く形で発展してきました。
 戦後になると繊維、製鉄、造船に石油化学工業が加わり、高度成長期、石油ショック期と時代が進むにつれ、家電、自動車、さらに半導体などの組み立て型の製造業に主役が変わってきました。これは広く製造業のジャンルの中での構造転換であり、県が進めてきた「知識集約型産業」なるものもこの文脈で理解すべきと思います。

 しかし、近代製造業は、技術革新がコアなのは間違いないにしろ、産業化という切り口で考えれば、本質的に大量生産こそがビジネスモデルの主流であるため、人件費その他の生産要素のコストが低い後発国に勝ち抜くことは非常に難しいと考えられます。

 知識集約化によって第2次産業を構造転換しても、それは第2.5次産業にバーションアップするだけであり、経済のサービス化に対応した新しい産業の創出に結びつくとは限りません。
 ハッキリ言って、リーマンショックによる世界的な需要の蒸発、さらに円高やデフレなど、製造業を取り巻く環境がますます厳しくなる中で、知識集約によるバージョンアップでは先行きに不透明感が漂っていたのは間違いないところでした。

 しかし、一方で地域密着型産業なるものが具体的に何を指すのかはよくわかりません。伊勢新聞の記事から推測すると、介護や福祉、医療などのサービス産業や、地域資源活用や農商工連携による食品、バイオ、または6次産業のようなものを指すようですが、まだ理論化途上のような気がします。

 これに関連して、先日読んだ池田信夫著「希望を捨てる勇気」のことが思い出されました。池田さんはマクロ経済や財政政策に精通した超人気ブロガーであり、この本もブログの内容を基にしたものです。彼によると
・日本のものづくり技術は高いが、コモディタイズした商品で新興国と競争することは困難
・これからは中国と競争しにくいサービス業に重点を移していくことになる
・この分野で成長率が高いIT産業は、日本に残る社会主義的な規制によって成長が制約されている
・雇用吸収力が大きいのは福祉・医療であるが、これも公的保険システムに組み込まれている
・市場規模が大きく、かつ成長も見込めるのは流通。そのリーダーがユニクロである
・サービス業も国内に引きこもるのでなく、グローバル化する必要がある
とのことであり、同時に「流通業も大店法などの規制で守られてきた側面があるので、福祉・医療産業も含めた規制改革が課題である」と述べています。

 地域密着型産業に、グローバル競争下の製造業に代わる日本の成長産業であることを(もしも)期待するなら、規制緩和も地域レベルでの実行が必要になります。
 切れば血が出る過酷な改革になることでしょう。
 地域密着型産業は果たしてそこまで視野に入れているのかどうか、それを見極める必要がありそうです。


 

2009年12月18日金曜日

で、定額給付金はどうやねん?

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 日本経済はデフレが深刻化し、危機的な状況であることは大多数の国民のコンセンサスではないかと思います。
 また、デフレスパイラルに陥っているのは日本の将来に対する先行き不透明感による企業や消費者の「萎縮」が大きな原因の一つであり、年金や医療など国民生活に密接な問題の見通し方針の明確化などによって、不安感や不透明感を取り除くことがデフレ脱出のきっかけになる可能性がある、ということも多くの人々は合意しているように思います。

 このような状況の中で、キチンと検証し、明確に結論付けておかなくてはならないとつくづく思うのは、例の「定額給付金」の経済効果です。
 果たして経済効果はあったのか、なかったのか。
 
 はんわしは、以前、この評論家気取りの前身のブログで、典型的バラマキ政策である定額給付金は「政策とは呼び得ない」と批判しました
 その後、1月頃から全国の市町村で給付が始まりましたが、多くの自治体でプレミアム商品券を発行したり、大型小売店や商店街では定額給付金キャンペーンが実施されたりして、意外にもそれらが功を奏し、消費を押し上げる効果があったという報道もされたようです。

 ■朝日新聞 「給付金、思ったより消費を刺激 地域独自策に効果」 リンクはこちら

 この記事は、いわゆる全国紙の中で給付金効果を肯定的に検証したものとしては、現時点でネット検索できる唯一のものです。
 逆に言うと、多くが批判的な立場だったマスコミは、政権交代があったせいもあるのか、定額給付金の事後検証すらロクにしていないということは言えるようです。

 その一方で、定額給付金に関して多くのブログ記事は検索できます。しかし、そのほとんどは「マスコミはボロカスに言っていたけど、自分の家は給付金で家計が助かった!」みたいな、身の丈の生活実感の話であって、マクロ的に検証しているのは小宮一慶氏の「定額給付金 効果はあったのか? なかったのか?」という記事だけのように思います。
 これによると、今年の5月と6月の消費支出は、同年4月まで一貫してマイナス基調だったものが2ヶ月間だけプラスに転じていることから、この効果は定額給付金によるものではないかと言っておられます。

 ■リンクはこちら

 冒頭の話に戻ります。
 ドバイショックなどで、どうも世界の不況は2番底に突入しそうな気配です。財政赤字の懸念はあるものの、消費の回復を目指すためには「減税」か、「消費者向けの直接的な需要喚起策」が新たに必要になる可能性が高まっています。

 その意味で、愚策、バラマキと批判された定額給付金も、ちゃんと検証し直して、もし効果がなかったのなら二度とやってはいけませんし、もし効果が認められるなら、新たな工夫のもと、第2弾を検討することも視野に入ってくるのではないかと思います。
 何しろ2兆円もの税金を使った政策です。民主党政権も、何でもかんでも自民党時代の否定・抹殺ではなく、客観的、公平中立に効果を測定し、是非を判定する姿勢が必要ではないのでしょうか。

 もっとも、はんわしは、市町村の発行する「プレミアム商品券」の財源も、その多くが国の交付金を使って行われたことを仄聞していますので、トータルで考えて、やはり「タコ足」的なレベルだと考えるのですが・・・

2009年12月17日木曜日

すき家の牛丼でデフレを実感


 牛丼を280円の激安価格に値下げしたすき家の客足が、急激に回復しているそうです。
 はんわしも、今日の昼食に立ち寄ってみたのですが、このボリュームと味で280円なら、まあ、とりあえずは行ってみてもいいわなあ、という感じでした。正直言って。
 このようなジャンクフードといい、スーパーの弁当といい、特に外食という局面ではデフレを実感することが多くなっています。

 しかし一般の国民にとって、世間でマスコミや経済学者が「デフレは罪悪である」と騒いでいるほどには、物価が下がっていくことに対して危機感があるとは思えません。現実に給料は下がっているのですから、安売りしてくれなくては困るのです。生活できないのです。

 経済は多分に感情によって動いているわけですが、今の日本では、金利政策も手詰まり。財政政策も、国家財政は事実上破綻確実であり、これ以上国債を発行することに対しては大多数の国民は不安しか感じないので、これまた効果なし。デフレ退治が緊急の課題だとは言っても、どうやれば国民が将来に対して持つ漠然とした不安感を払拭できるのかはかなり難しい問題のように思えます。

 話は変わりますが、文藝春秋の「ユニクロ型デフレを克服しよう」みたいな対談はしょーもなかったですね。現状に至ってしまった原因はグローバリズムだとして、小泉改革によって日本経済の国際化が急速に進みすぎたのが悪かった、みたいな分析をしているのですが、ではどうすればいいのかの肝心な部分は何もないのです。肩透かしでした。つまりは、専門家にも(確たる)処方箋はない、というのが現実なのでしょう。

 喩えは良くないのですが、過去の歴史を見ると、戦争に勝利して国民が熱狂するとか、革命的な大異変が起こらないとデフレ脱却のきっかけは見えないのかもしれません。逆に言うと、何か「ひょん」なことで歯車がインフレに逆回転し始めるとも限らないのです。

 自戒も込めてしつこく書くのですが、「こうやれば、こうなる」のようなセオリーは、経済や産業においては存在しないという時代認識を持たなくてはならないと思います。

 何がダメになって、何が当たるのか(成功するのか)は、サッカーの試合のように攻守が瞬間で入れ替わる、変化の早い時代においては誰にも確信はないのです。あり得るのは、可能性を高めるレベルの議論だけでしょう。確信ではありません。
 したがって、まず世の中の変化をよく見ること。次に、反射神経を研ぎ澄ましておくこと
 当面は、これしか対処法はないのではないでしょうか?

 やや肥満気味のはんわし、急にボールがこっちに飛んできたとき、上手くヘディングできるのかどうか・・・
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2009年12月16日水曜日

イオンがGMSの見直しを鮮明に

 イベントでも新商品でも何でもけっこうです。
 もし、あなたが宣伝部長に任命され、法被着て、ノボリ旗を持って、チラシを1000枚配らないといけなくなったとしましょう。
 どこで配りますか? 人のたくさん集まるところでなくてはいけません。
 ターミナル駅の駅前?
 商店街の中?
 
 もし三重県でやるとしたら、どちらも間違いです。

 三重県民の8割以上はこう言うでしょう。
 そら、ジャスコの中でやるんが一番エエに! と。

 ジャスコ(イオン)は、元々四日市市の岡田屋呉服店が前身で、三重県が発祥の地のためか、主要都市にはことごとくジャスコがあります。
 車で走っていると20分おきにジャスコ(イオン)とマックスバリュが交互に視界に入ってくるのは三重県独特の光景であって、他の全国いかなる地域でも、このような景色は見られません。
 そして、三重県内に林立するジャスコとマックスバリュの多くが、GMSと言われる、食料品を中心に衣料や日用雑貨を幅広く品揃えした総合スーパーです。

 今日の朝刊各紙には、イオンの岡田元也社長が、GMS事業のうち、売り場部門とデベロッパー部門を分社化するなど、GMS方式の見直しに着手すると語っているインタビュー記事が大きく取り上げられています。(例えば日経ネットはこちら

 この中で岡田社長は、
・GMSは1980年代のビジネスモデルですでに時代遅れ
・人口が減少していく中、それに合わせて事業分野もシフトしていく
 という興味深い内容を語っています。

 思い起こせば、GMSは功罪相半ばしています。
 今まで、バスや電車を乗り継いで街の商店街まで買い物に行かなくてはならなかったような田舎に、目を見張るような巨大なジャスコができました。
 そこには何でもありました。野菜も魚も肉も。ファッションも、靴も、カバンも。洗剤もシャンプーも。
 間違いなく人々は豊かな生活を実感できたと思います。まさに、GMSには夢があったのです。

 一方で、モータリゼーションは不可逆的に進み、中心市街地商店街の壊滅と、郊外のファスト風土化が決定的になりました。この現象は、自動車交通による物理的な地域の連帯感の遮断、24時間化、住民の流動化を招き、地域コミュニティの弱体化に拍車をかけました。今や、これも非常に大きな問題になっています。

 そして、今、そのビジネスモデルが見直されようとしています。
 GMSそのものは中国など発展途上国にますます「輸出」されることでしょう。日本国内では消費者の高齢化に合わせ、近隣型で小型化したスーパーの出店が進められるようです。

 しかし、いったん商店街などの近隣型地域商業が焼け野原状態になったところに、さらにGMSが撤退、縮小されたら、今までの自動車交通を前提とした三重県内各都市のまちづくりは根本から見直しを迫られることになります。郊外の住宅団地などには多くの買い物難民が新たに生まれる懸念もあります。
 果たして、まちづくりを見直せる体力や知恵は残っているのでしょうか。
 素朴に、そう感じます。そして少々、不安になります。
 
 

2009年12月15日火曜日

熊野灘の座礁フェリー 解決は遠い?


 自分のアンテナが低いせいもあるのかもしれませんが、地元ではおそらく大問題になっているのであろう熊野灘のフェリー座礁事故の現状が、よく伝わってきていません。

 フェリーの運航会社は来週にも、三重県熊野市と御浜町地先の七里御浜に横転・座礁したままの船体の撤去について来週にも方法を提示することと、燃油の流出により操業を中止している地元漁業者への損失補償を速やかに行うことを関係者に確約しているようです。

 熊野灘は伊勢えびの優良な漁場であり、年末のこの時期、縁起物として珍重される伊勢えびの漁獲が止まってしまうことは、漁業者にとってまさしく死活問題だと思います。運航会社が誠意ある態度を見せているのは、当然とは言え、漁業者へのダメージも少しは和らぐのかもしれません。

 しかし、報道ではよくわからない点は、実際に伊勢えびの漁場などに油が漂着している様子です。普段はテレビのローカルニュースを見る機会もあまりないので、現場がどうなっているのかがよくわかりません。そのせいか、地元である東紀州以外の地域での関心も、実は今ひとつのような印象を強く持っています。
 現実に、県や市町などの行政機関が、この件についてホームページを特設している様子はありませんし、地元の誰かがウオッチャーをつとめている気配もネット上ではなさそうです。

 これと対照的なのが、10年ほど前に福井県沖の日本海で起こった貨物船の事故です。
 ロシアという民度の低い国の船籍であったことも災いして、優良な越前の漁場に大量の重油が漂着し、漁場という面だけでなく、環境的からも海岸の機能は完全に壊滅しました。この様子が報道されると、ただちに全国から多くのボランティアが駆けつけ、地元の人々と共に油の回収作業を行ったことは記憶されている方も多いと思います。

 今回の熊野灘では、そのような光景は見かけません。
 これは、幸いにも、福井のように壊滅的な被害ではなかったということなのでしょうか?
 それとも、何か他に理由があるのでしょうか?
 誰か教えて。
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2009年12月14日月曜日

三重県庁もクラウドコンピューティングを導入!

 新しいITサービスのスタイルとして注目を集めているクラウドコンピューティングですが、このたび三重県庁もASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)を導入することになったようです。

 三重県は2010年2月中旬から、物品調達や役務関係業務といった物件の電子入札や見積もり合わせに使う電子調達システムをASP方式に移行する。ASP方式は、外部のシステムを利用し、電子入札1件ごとに利用料を払う仕組み。外部のシステムを利用することで経費を削減する狙いがある。更新期を迎えている上、セキュリティー強化が必要な県独自のシステムを改良して利用するよりも、14年度までの6年間で3億3900万円の経費削減効果が期待できるという。
 05年度に導入された現行システムは、年間8300万円の運用経費が掛かる。さらに、セキュリティー強化のため、入札参加業者をICカードで認証する方法に移行するには、1億4900万円の改修経費が必要となる。
 ASP方式は、単価契約などの機能がないため、6600万円掛けて県仕様にカスタマイズする必要がある。それでも、認証方式がICカード化されている上、年間約1万2000件の利用を想定した利用料1600万円を含めた年間費用は3100万円。県がシステムを更新する必要はなく、経費抑制が可能になるという。(時事通信社の官庁速報より)

 ASPは、プロバイダと呼ばれるソフトウエア提供業者から、インターネットを通じてソフトウエアのサービス提供を受けるシステムのことです。一例をあげるとヤフーメールとかグーグルメールのように、自分のパソコンにメールソフトをダウンロードして使うのではなく、インターネット上のサーバーに入っているメールシステムを、ブラウザから利用できるシステムです。巷で話題のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)とほぼ同義語かと思います。

 有名なところでは、確か日本大学が学生や職員用の電子メールやスケジューリングのシステムを、自校の独自システムからグーグルメールに変更するというASPに取り組んでいるほか、多くの企業や学校などが採用しています。もちろん、中小企業にとっても、ASPはコスト削減やIT化による業務の効率化に大きな効果が既定できます。特に税務会計のように毎年制度が変更されるような事務処理では、ダウンロード方のソフトは毎年更新が必要になりますが、ネット上のASPならそのようなわずらわしい管理は提供業者が行うので、利用者の手間は大きく省けることになります。
 一方で、全面的にプロバイダ側のサーバーに依存することになるので、データの安全性や秘密が保持されるかのような不安はどうしてもつきまといます。この辺は、よくよく調べて導入を検討する必要はありそうです。

 最近、経済産業省が中小企業向けにJ-Saasというサービスを提供していますので、ご関心がある方は一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
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2009年12月13日日曜日

成長戦略という秘策

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 今日(12月13日付け)の中日新聞の社説 「成長戦略」という秘策 はヒットです。
 リンクはこちら

 デフレ、円高などでわが国の景気の先行きが見えません。
 目先の資金繰り対策などはもちろん喫緊の問題ですが、経済全体を引き上げていくためには中長期的な取り組みを考えてかなくてはならない。
 そのために「成長戦略が必要だ」というのが、多くのマスコミや政治家の結論です。
 そして、これは往々にして、経済成長を定めないままどんな政策をやっても効果がない、という話にすりかえられてしまいがちです。

 では、成長戦略とは何か?

 中日新聞の社説は明快です。
・この戦略を実行すれば、いつどこの国でも必ず成長するというような秘策はない
・秘策はないと分かっていながら、あるふりをして売り込むのが成長戦略である
・官僚たちが、これが成長戦略ですと宣伝するのは、ほとんどが「ダメもとで試してみる」「やらないよりマシ」程度のもの
 つまり、何が近い将来の成長産業になるのかは政府にも、企業にも、誰にもわかっていません。わかるものでもありません。人口(労働力)を増やすとか、産業の生産性を高めるとか、教育の質を上げるといった漠然とした方策は思い描けるとしても、では、そのために国は何をできるのか、というと、その影響力も限定的です。

 ここで再確認したいのは、先進国に追いつけ追い越せの時代ならともかく、変化の速い現代にあっては、国にしろ地方自治体にしろ、本質的に産業政策は「ダメもと」「やらないよりはマシ」という当たるも八卦、当たらぬも八卦という形にならざるを得ないことです。

 もちろん、まったく徒手空拳で競争を戦うのは危険ですから、ある程度は科学技術の研究開発を支援したり、IT化を支援したり、投資ファンドを整備したり、という方針は立てたほうがいいでしょう。
 しかし、そのうち、どの研究の成果がモノになるのか、どの投資先が大成功するかはわかりません。せいぜい可能性が高くなるだけでしょう。

 競争促進的な産業政策とはこのようなものです。
 生産者の保護とか、競争制限などによる規制的な産業政策とは根本的に異なる世界です。
 繰り返しますが、恐ろしいことに、経済成長につながるイノベーションは、いつ、どこで、どのように生まれ、どのように次世代の産業につながるのは誰にも分かりません。イノベーション研究センターといった類の官製の研究施設も、多くはマユツバもので可能性の一つを高める以上の効果はありません。
 あらゆる情報にアンテナを張ってイノベーションの芽を見つけ出し、それをビジネスに育てていくアイデアや柔軟性、コーディネート力こそ競争力の本源になっています。その場面において「選択と集中」という考え方が大きな危険性をはらんでいることは容易にご理解いただけるでしょう。

 

2009年12月12日土曜日

世界遺産風呂 尾鷲ヒノキの入浴木


 尾鷲まるごとヤーヤ便が届きました。

 以前にも書いたように、内容は干物とか、鮮魚とか、漬物とか、お菓子とか、いわば尾鷲特産の食品などです。
 尾鷲出身の人とか、はんわしのように尾鷲に住んでいたことがあるとかの何らかの縁がある人にとっては超ウレシイものなのですが、1回5千円の頒布会の商品としては(残念ながら)パンチが小さいように思えます。

 また、生産者(丸高さん、はし佐商店さん、三紀産業さんなど)はスタッフの写真がパンフレットに印刷されていて「顔が見える」のですが、頒布会自体の主催者である尾鷲観光物産協会のチラシは「尾鷲観光物産協会会長」と肩書きが書かれているだけで、それが誰なのか、名前もわからず、顔も見えず、したがって情熱が伝わってきません。
 
 前々回、前回、そして今回も・・・
 どうやら改善する気はないようなので、尾鷲観光物産協会が「モノを売るプロではない」ことだけは確かなようです。


 話は変わりますが、はんわし的に今回のヤーヤ便の目玉は大きな鯛が入った尾鷲漁師鍋セット以上に、世界遺産風呂 尾鷲ひのきの入浴木でした。
 これは、簡単に言えば尾鷲ヒノキの間伐材丸太を長さ15センチほどにブツ切りしたもの。ただそれだけ。
 しかし、これを沸かしたての湯船に浮かべると、えもいわれぬヒノキの芳香が立ち昇り、まるで世界遺産熊野古道のヒノキ木立に囲まれているかのような安らぎを与えてくれます。


 これは、尾鷲海洋深層水を湯源に使った入浴施設を持つ夢古道おわせで企画・商品化されたもので、本家の夢古道おわせのお風呂のほうでは長さ1メートル以上ある完全な丸太が湯船にプカプカ浮かんでいます。(朝日新聞の記事はコチラを)

 このブログの、一つの大きなテーマは、イノベーションです。
 地域産業を活性化するためには、今までの、「作って売る」従来型スタイルや、「発注元の言うとおりに作る」下請型スタイルから脱却し、「消費者が求める商品を自分で考え、作り、売る」イノベーション型の業態を増やしていかなければいけません。
 イノベーションとは科学技術の革新だけを言うのでなく、新しい商品やサービスの創造、新しい生産方法、販売方法の創造など、新しい原材料の発見や開発など、ある要素とある要素を結びつけて、一つの新しいカタチを作るという「創新性」にこそ本質があります

 尾鷲ヒノキの丸太を切っただけの入浴木。確かにそうに違いありませんが、入浴用丸太というアイデアと、世界遺産熊野古道というストーリーを組み合わせた発想からは、既存の林業業界による間伐材活用のアイデアだけでは決して生まれてこなかったであろう創新性が感じられます。
 これは、地域産業活性化に取り組んでいるすべての方に認識していただきたいことです。

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2009年12月11日金曜日

三重県は中部か?近畿か?

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 三重県人にとっては実はあまり重要性がない問題なのですが、世間でよくある「雑学」的な疑問として、三重県は中部地方か近畿地方かどちらなのか、ということが話題に上るようです。

 結論から言うと、三重県でも、桑名市から四日市市、鈴鹿市、津市、松阪市、伊勢市、鳥羽市と来て、志摩市に至るまでの伊勢湾岸の地域は間違いなく「中部地方」です。
 伊勢湾は古来から内航海運が発達しており、歴史的に愛知県側と頻繁に行き来があったことや、テレビ、新聞といったマスコミ、経済活動の中心となる大企業群や、ターミナル駅、インターチェンジなどは名古屋付近に集中しているため、生活圏が完全に中部圏(と言うか名古屋圏)になっているためです。
 しかし、三重県でも忍者で有名な伊賀地方は地形的にも奈良県や滋賀県に隣接しており、生活圏も文化も近畿圏です。ちなみに熊野灘沿いの東紀州、熊野市以南の地域も和歌山県と奈良県に隣接しており、生活圏、文化圏とも近畿の影響下にあります。

 これは不思議でも何でもありません。
 三重県は、京阪神を中心とした近畿地方と、名古屋圏の中間に位置しており、その地理的な条件を生かして繁栄してきた歴史があるのですから、ちょうどその真ん中、近畿と中部の習慣や風俗が交じり合っている地域なのです。
 このようなことは何も三重県だけでなく、山口県は中国地方ですが九州の大都市圏(北九州市や福岡市)の影響を大きく受けていますし、福井県も近畿と北陸の両方にまたがったポジショニングです。
 県というのは面積も大きく、多様な文化圏を抱えているので、そもそも近畿だ中部だとスパスパ区分けできないのが当たり前です。繰り返しますが、近畿と中部の両方にまたがっているのが三重県の強みなのです。

 こんなことをあらためて考えたのは、今日、帰りがけに本屋で立ち読みしていて、ある有名なエコノミストが監修しているという、日本経済の早分かり、みたいなブックレットを見つけ、ぱらぱら見ていると、データが良くまとまっていて文章も読みやすいし、値段を見ると手ごろだし、電車の中で読むのに買ってみようかなーと思ったときのことです。
 日本の各地域別の景況情勢という欄があり、北海道地方、東北地方、ともに大変厳しい経済情勢で、失業率も高い。関東甲信越はまあまあ。中部も悪いなりに堅調。なるほどと思ってみると、中部地方の中に三重県が入っていない!
 近畿地方のページを見ると、三重県はこちらに入っていました。
 経済情勢の分析は大阪のことばかりで、三重県の基幹産業であるトヨタ、ホンダ関連の自動車産業や、シャープ、東芝などの電子部品産業の記述はほとんどありません。
 しかし、こと、経済の分析に関して言えば、この地域区分は間違っています。
 このエコノミストは、いったい何を監修しているのだろう? 三重県のことはあまり知らないようです。
 ということは、全国の他の地域、山口県も福井県も福島県も、それぞれ中国地方、北陸地方、東北地方、という括りでしか把握できていないのでしょう。
 残念ですが、お里が知れたような気がして購入はあきらめました。

 政治にしろ経済にしろ、ジャーナリズムが東京目線なのにはウンザリしますが、こういった本質的な無知が、時として地方の経済政策を誤らせるのだろうな、と再認識した次第です。

2009年12月10日木曜日

電気自動車 ベンチャー企業が続々参入

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 電気自動車:ベンチャー企業が続々参入 価格下げに期待という、今日の毎日新聞の記事が面白かったです。

 エコカーの本命といわれる電気自動車の製造販売に、国内外のベンチャー企業が続々参入しているとのこと。ベンチャー参入が相次ぐ背景は「部品点数がガソリン車の10分の1」と言われるほど、車両構造がシンプルで、動力源は電池とモーターのみで調達も簡単なため、設備投資や運転資金などの新規参入の敷居が低いためのようです。 
 ただ、車載用電池には明確な安全基準がなく国交省が現在基準作りをしているなど、安全面に解決すべき課題はあるようです。しかし、これは過渡的な問題でしょう。

 このように、新規参入が容易で、いわば「多産多死」型の競争と淘汰を経て、結果的に一つの産業分野は大きく成長していくわけであり、これは「国が成長戦略を作って、効率的に競争せよ」という次元とはまったく別の話で、本来はやはり市場競争原理が経済の前進につながっていくという、ごく当たり前のことなのではないかと思います。

 一つ思い出したのは、数年前読んだ、アルビン・トフラーの「富の未来」という本の内容です。
 うろ覚えではありますが、たしか「これからは、非営利セクターによる経済活動が市場の大きな部分を占めるようになる」とか、「欲しいものを自分で自由に作れる個人向けの工作機械が新製品として売られるようになるかもしれない」というような話があったと思います。

 前者は、地域課題を解決するビジネスであるソーシャルビジネス(社会的企業)の隆盛とか、クックパッドのように不特定多数の消費者が自分のレシピを持ち寄って、食のコミュニティを作るというまったく新しい集合知型のビジネスモデルの到来を予言していたような気がするのですが、後者はまさに(毎日新聞の記事にあるように)、今はベンチャーのメーカーがプラモデル感覚で電気自動車を組み立てているものが、まもなく消費者自身が自ら組み立てる電気自動車キットの出現を予感させるように思いました。

 素人がプロのものづくりを越える という新しい製造業の幕開けかもしれません。
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2009年12月9日水曜日

ソーシャルビジネスへの過剰な期待

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 12月8日、政府が「明日の安心と成長のための緊急経済対策」、いわゆる追加経済対策を公表しました。(内容は首相官邸HPから)
 現在の経済状況を、需給ギャップの大幅な供給超過、円高・デフレ状況であると認識し、景気回復とデフレ克服のために、「雇用」「環境」「景気」を三本柱として財政や金融対策を講じていくことが書かれています。

 同じく、政府が10月に「緊急雇用対策」も公表しているのですが、この緊急雇用対策においても、今回の追加経済対策においても、新しい雇用創造の方法として「社会的企業」(ソーシャルビジネス)を重視しているのは、自民党政権時代との際立った違いといえます。

 以前もこのブログに書いたとおり、社会的企業とは「医療、福祉、教育、環境、文化などの社会サービスをビジネスとする事業者」のことであり、「官の非効率と悪平等、形式主義」と「民の利益優先、効率主義」のすきまに陥ってしまっている社会課題をビジネスの手法で解決しようとするものであり、これ自体は、まさしく現代という時代の要請によって生まれてきたものと言えます。
 社会のさまざまな部分にひずみが現れ、閉塞感が漂っている今、あらためて社会的企業が見直され、そこで働く人を増やそうという考え方も間違いではありません。

 しかし、本当にそれが雇用対策と呼びうるほどに大きな雇用吸収力を持つのでしょうか?
 行政も、企業も関与しないものが「地域課題」ですので、そもそもマーケットがニッチでごく限られています。サービスに支払える対価も限られているケースがほとんどでしょう。つまり、ビジネスには違いないけれど、儲かるビジネスでは決してありません。
 次に、例えば製造工場での組立作業のパートや、スーパーでのレジのパートのような「単純作業」がほとんどありません。もちろん、組立作業やレジもスキルは必要ですが、社会的企業において反復継続的な作業のニーズはあまりないので、求められる人材は多分に知識やヤル気といった素質が求められます。
 国はインキュベーション事業として、人材育成やプランコンペなどに取り組むようですが、マーケットは所与のものではなく、自分でゼロから切り開いていくことが必要になるので、過激なアントレプレナーシップも必須です。

 そして、最も重要な問題は、社会的企業の進出によって自分の権限やカテゴリーが侵食される(=既得権を失う)官や民の猛烈な抵抗が予想されることです。
 課題解決、例えば失業問題が、もし仮にきめ細かいアドバイスによって就労を支援するような社会的企業の登場によって解決してしまったら、今のハローワークだのは何の役にも立っていないことが白日の下に晒されてしまいます。これは役人にとって死活問題です。
 例えばガラの悪いタクシー会社しかないところへ、エコカーを使って、高齢者や障害者を優先する社会的企業のタクシー会社が参入し、既存タクシーは駆逐されてしまったら、それが適正なサービス競争の結果であったとしても、いろいろ難癖をつけてくることは大いに考えられます。

 つまり、社会的企業の成功は、「規制緩和」による新しいマーケットの創造と表裏をなしています

 どうも民主党政権は掛け声倒れが目立ってきたようなので、社会的企業による雇用創造も、頑強な既得権者の抵抗によって足を引っ張られないか、それが気にかかります。
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2009年12月7日月曜日

忙しすぎかも・・・

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 最近、雑誌か何かで読んだ寓話が強く印象に残っています。
 気が付くといつの間にか師走も7日。明日は太平洋戦争の開戦記念日と同時に、確かジョン・レノンの命日かあ。
 このブログの読者にも忙しすぎる人はいませんか。
 自戒も込めて共有します。

 賢者が山道を歩いていると一人の木こりが斧で木を切っているところに出くわした。
 木こりは一生懸命に斧を振り下ろしているが、大木の切れ込みは遅々として進まない。
 賢者は言った。
 「あなたは忙しすぎです。少し休憩したらどうですか。ついでに、斧を砥いだほうが今よりずっと早く切れるようになるのではないですか。」
 木こりは答えた。
 「俺はもう4時間もこうやって切り続けているんだ。忙しくて休むヒマはないし、斧を研いでいるヒマもない!」

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2009年12月6日日曜日

伊勢河崎「町家とうふ」に行ってみた

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 伊勢志摩経済新聞にも11月25日付けで記事がアップされていましたが、伊勢市河崎に最近オープンした町家とうふに行ってみました。

 同紙によると・・・

 おからが出ない製法で大豆本来の成分を丸ごと閉じ込めたこだわりの豆腐が製造できるミナミ産業(四日市)製の豆腐プラントを導入し、築100年以上の町家 を再生してできた同店は、三重県産の大豆と尾鷲の天然にがりを原材料に毎日豆腐を生産する。
 飲食店では、伊勢春慶の「くるみ膳」に乗せた11品の豆腐づくし料理「本日のおまかせ御飯」(1,000円)のみを提供。作りたてで店頭でしか味わえな い自慢の「枡豆冨(ますどうふ)」、味噌や粕、たまりなどでつけ込んだ「醍醐豆冨(だいごどうふ)」、豆腐のフライなどユニークな豆腐料理で楽しませ、 オープン以来連日20席の店内は3回転するほどのにぎわいをみせる。

 とのこと。


 今日は日曜で晴天だったせいもあってか、はんわしが行った12時半ごろが来客のピークだったようで20分待ちの混雑でした。



 写真は、3つのメインメニューから選択できるおまかせ御飯のうち、ひりょうずの含め煮です。
 食前に出てくる豆乳(ミニグラスで食前酒みたいな感じで出される。)や、いわゆる「すくい豆腐」である枡豆冨、さらにデザートも入れると全部で10品ほどあり、もちろん味も大満足です。

 かつて参宮客で賑わう神都伊勢の物流を一手に担っていた運河と蔵のまち河崎では、近年、町屋を使ったレストランや店舗の参入が活発ですが、この町屋とうふのスタイルがややユニークなのは、伊勢志摩経済新聞にもあるように、伊勢の伝統工芸品である伊勢春慶をお膳に使ったりしているというだけでなく、自家製豆腐と一緒に、特産品の岩戸の塩を販売したり、河崎町内の老舗が扱っているお茶や、花かつおなど、一見特産品でもなんでもない地味な製品も販売していることです。
 伊勢春慶は一部の関係者は熱心にビジネス化を目指してはいますが、市内でも食器などに使っている料理店はほとんどなく、市民への広がりが見られないことがネックになっています。
 その意味で、カジュアルな豆腐レストランで伊勢春慶が普段使いされていれば、お客の目に留まる機会も多くなるでしょう。普段は入りにくい河崎の老舗の品物も、ついで買いしてもらえるかもしれません。

 このように、河崎全体を盛り上げていこうという意気込みのようなものが感じられました。

 ■伊勢河崎町家とうふ http://machiya-tofu.com/

 

2009年12月4日金曜日

事業仕分け反論者の大いなる誤解

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 先日、事業仕分けにより商工会議所などが国から委託を受けて、中小企業の経営革新を支援する「地域力連携拠点」のことをこのブログで書きましたが、何と100を越えるページビューがありました。商工団体の方も事業仕分けに対するある種の不条理はお感じになっているのでしょうか。

 ここへ来て、事業仕分けへの巻き返しが本格化してきています。スポーツ関係の予算を仕分けされたことに対して、オリンピックの金メダリストなどが集団で抗議したりしていますし、三重県内でも地球温暖化対策関係の予算が事業仕分けされたことに対し、環境団体が抗議声明を出したりしています。

 個別の問題はそれぞれの背景があるので軽々に是非は言えないのはもちろんですが、どうも世間一般に広まっている「誤解」があるような気がします。

 それは、事業仕分けは、
「1事業につき審議時間が1時間程度で短すぎる」というものと、
「仕分け人は個別の問題については素人で、専門的な見地からの仕分けはできない」というものです。

 結論から言うと、これは両方とも間違いです。都市伝説と化してきたのかもしれません。

 地方自治体では、国の来年度予算の概算要求が出揃う秋から冬にかけてが予算編成、予算査定のシーズンになります。正確な数字はわかりませんが、県レベルなら間違いなく数千の事業があるはずで、当然ながら、そのすべては予算を要求した担当部局(原課)が、財政部局の査定を受けることになります。
 つまり、
(1)原課が事業の予算案を作成
(2)財政部局がそれを査定(ほとんどの場合は減額査定)
(3)査定済みの予算案がすべてまとめられ、知事原案として議会に上程
(4)議会で審議して議決
(5)予算成立
 という流れになります。(はんわしは、事業仕分けは、上記のうち(2)が一般公開されて行われたイメージを持ちます。もちろん、通常の予算査定は密室で行われます。)

 では、実際の(2)の予算査定はどのように進められるのかというと、もちろん個別案件の背景や、予算額の大小によっても違いますが、1事業、せいぜい30分くらいではないでしょうか。過去からずっと継続している事業なら5分という査定時間も珍しくありません。
 しかも、実際に査定している財政部局の職員は、当然ですが、その事業の専門家ではありません。実際の事業については、公共事業であれば建設課や道路課、福祉であれば福祉課といった原課が一番詳しいに決まっています。財政担当者は、書類の字ずらを読んで、全体のバランスを取りながら数字を合わせているに過ぎません。

  繰り返しますが、重要な事業、困難な事業ではもちろん例外もたくさんあります。真摯な議論が繰り返され、厳格な査定が行われますが、全国の大多数の官庁では、ほとんどの事業の査定はこの程度の「流れ作業」なのです。

 では、(4)の議会による審議はどうか。
 これは、国会の予算委員会はTV中継されていますし、ほとんどの市町村議会、県議会でも委員会はオープンになっていますから、ぜひその目で予算審議の模様を傍聴されることをお勧めします。
 失礼な言い方ですが、議員さんは個別案件に対しては素人か、やや毛の生えた程度の知識です。しかし、着眼点は鋭く、庶民感覚を持ち合わせた質問を執行部にされる場面も多く見受けられます。素人の仕分けだからダメ、というなら、住民の代表としての「大いなる素人」である議員による審議そのものが意味を成さないことになります。

 国の事業仕分けへの批判は、地方公務員から見ると、このようにピント外れなものが多く、批判する人は、普段いかに政治に無関心だったかということを裏返しているようにしか思えません。
 これは、予算査定の経験のある公務員ならほぼ同感なのではないでしょうか。
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2009年12月3日木曜日

田舎力 ヒト・夢・カネが集まる5つの法則

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 食環境ジャーナリストを名乗る、金丸弘美さん(女性のようなお名前ですが、男性です)の著書です。
 一時、新聞の書評などにたいへん多く取り上げられていたのですが今まで読む機会がありませんでした。

 長らく、山間地、過疎地と呼ばれた地域、それに離島などは「経済的に弱い地域」として都市地域の後塵を拝してきました。治山治水は国土管理の要諦であり、本来、これらの地域は都市地域の生活を支える存在として対等であるはずです。
 しかし、戦後日本が経済成長を遂げ、輸出型の製造業が産業の主流になると、労働力が田舎から都会へ流出するようになりました。次いで、巨大化してきた都市の生活者に向けたサービス業が発展し、農林水産業などが主産業である田舎は完全に取り残された「後進地」となってしまっていました。

 ところが、ここへきて状況は変わってきました。

 ごく一部の地域ではありますが、特産品開発や、6次産業などのいわゆる「農村ビジネス」を興し、地域活性化に大成功を収める例が全国各地に多数出てきているのです。

 この本では、その具体的な取り組み事例や、どこに成功の秘訣があったのかのエッセンスが紹介されています。(三重県では「伊賀の里もくもく手作りファーム」の事例が紹介されています。)

 金丸さん理論では、このエッセンスは「ヒト・夢・カネが集まる5つの法則」にまとめられます

・発見力
・ものづくり力
・ブランドデザイン力
・食文化力
・環境力

としてまとめられています。

 ごく乱暴にまとめてしまうと、地域おこしのためには、よその成功事例を猿真似してもダメで、

○ その地域に固有の資源、風土、歴史、文化などを再発見、再評価し、これらの資源を活かすビジネスモデルを考えること。

○ 商品化(商品にはモノだけでなくサービスも含みます)にためには、大消費地である都会のニーズを知っている、若者やよそ者の視点を生かす。また、女性も参画させ、女性特有の視点やネットワーク力を活用する。

○ モノやサービスには、地域固有のストーリー(ものがたり)が必要

などのセオリーがあり、この成功セオリーを、おのおのの地域地域でカスタマイズしていく努力が必要、というようなことになると思います。

 ただ、本書はあくまで入門編であり、すでに地域おこしの問題意識を持ち、実践を始めている方にとっては特に目新しい話はないかもしれません。紹介されている事例も有名どころが多いからです。
 もちろん、アタマではわかっていても、行動に移せない、または行動してもなかなか成果が出ない、というケースは多いので、迷ったら原点に返る意味で、本書の価値は何ら変わりません。ぜひご一読を。
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2009年12月2日水曜日

不景気なのか、構造不況なのか

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 現状を不景気と捉えるか、構造不況と捉えるか、 これは大きな違いです。
 不景気と捉えるなら、景気は好況と不況が一定のスパンで循環しているので、供給(生産)に対して需要(消費)が不足しているという現在の「ギャップ」を埋めれば良いことになります。
 政府が発表した景気対策のための大幅な補正予算措置が有効であり、そのために国の財政赤字が深刻になっても、景気が元に戻って税収も回復すれば赤字はいつか埋め合わせることができるでしょう。

 一方、構造不況と捉えるとどうか。
 この経済状況は、景気の波(循環)ではなく、少子高齢化による労働力人口の減少や消費市場の縮減によるもので、現在の産業構造を変えて、成長力の高い、新しい産業を創出していかなければ、ますます経済の規模は縮小していくと考えます。
 実は、決して少なくない経済学者はこの説をとっており、政府の景気対策(ましてや日本銀行による通貨供給量の増加や金利政策)などほとんど意味はないという見方が大勢です。

 県のような地方自治体の立場としては、政府の見解を完全に無視するわけにはいかず、かと言って、過去20年近くにわたって景気対策としての財政支出を増加させてきたため、これ以上の財政負担は事実上不可能であるという状況にあります。
 また、肝心の景気対策の効果も、愛知万博の頃(00年代前半)の好景気につながった実績はあるものの、その影響は地方のすみずみにまで行き渡らなかったという教訓もあって、半信半疑なのが現実ではないかと思います。

 最近、大手企業やマスコミばかりでなく、知事や市町といった地方自治体の首長までもが「国は早く成長戦略を示せ」みたいなことをよく言っています。
 が、欧米の先進国がお手本だった時代は、それを見習っていくらでも成長戦略が描けたのでしょうが、もはや21世紀の今、実際問題として「この産業分野は成長する」「こうやったら成長する」などとい戦略がが明確にある訳がありません。
 現代は情報化が進み、官民の情報格差もなくなって、成長しそうな分野にはとっくに企業が進出していますし、イノベーションの猛烈な競争状態となっています。国の示す戦略に従えば企業も、地方も潤う時代ではなくなっています。

 自分の五感を信じ、アタマで考え、行動する

 この当たり前のことが、まさにすべての経営者や地方自治体に求められている気がします。
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2009年12月1日火曜日

2009年度「日本経営品質賞」が発表されました!

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 日本経営品質賞委員会は、本日、2009年度の「日本経営品質賞」受賞組織を発表しました。
 三重県の万協製薬株式会社
日本経営品質賞/中小規模部門受賞を受賞されています。

 同社の松浦社長は、三重県経営品質協議会でもご活躍いただいており、今年2月には、三重県経営品質賞の最高賞である三重県知事賞を受賞されています。

 以前にもご紹介したかもわかりませんが、元々神戸市内にあった万協製薬は、平成7年の阪神大震災で被災し、工場が壊滅してしまいます。
 失意の松浦社長は、家族で縁もゆかりもなかった三重県多気町に移住。そこで三重県の企業立地支援制度も活用し、万協製薬の製造工場を再興されました。
 クリームなどの外用薬専門の製造メーカーとして、大手製薬会社に製品の企画提案を行い、生産を受注するというビジネスモデルで業績を拡大し、今では3つの工場と100名近くの社員を擁する中堅製薬メーカーにまで発展させました。

 さらに、顧客重視、従業員の満足度重視という経営品質プログラムを経営に導入し、社内のコミュニケーションを高めることにも配意され、万協スピリッツとでも言うべき、明るく風通しの良い社風を確立しておられます。
 確かに同社にお邪魔すると、社員の方は皆、愛想がよく、礼儀正しくてこちらもうれしくなります。

 ウルトラマンを始めとしたフィギュアのコレクターとしても有名な松浦社長には、普段から経営品質に関するセミナー講師をつとめてもらったり、工業高校生を対象にした経営者との意見交換シンポジウムでパネラーになっていただいたりと、色々なご協力をいただいています。
 また、社長業のかたわら三重大学大学院の地域イノベーション学科にも在学し、一学生として大学とのコラボレーションにも取り組んでいます。まさに八面六臂の活躍ぶりです。

 この場を借りて感謝申し上げたいと思います。本当におめでとうございました。

 ■日本経営品質賞 ホームページ  http://www.jqaward.org/
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2009年11月30日月曜日

ちょぴりエコ生活

 今日は11月30日。今年も押し迫ってきたという感慨よりも、30日はジャスコお客様感謝デーだということのほうが気になっていたはんわしでした。
 5%オフの日に、前々から、もう1年以上も前からチャンスがあれば購入しようと思っていた、トップバリュの充電式電池セットを思い切って購入することにしていたからです。

 はんわしが尾鷲時代、LOHASビジネスの提唱者である大和田順子先生をセミナー講師にお招きしたことがあったのですが、その時「イオン(ジャスコ)のPBの充電式電池は、三洋電機のエネループのOEMなので、品質も良いし、1300回再生できるからオトクですよ。」という話を聞いていたのです。
 余談ですが、大和田さんの東京のお住まいの近くにはイオンがないので、セミナー終了後、ご本人のたっての希望でご案内したのは「ジャスコ尾鷲店」でした。鮮魚売り場の豊富な地魚と、雑貨売り場でトップバリュの充電式電池をご覧なり、ものすごく感激しておられました。


 話を戻して。
 この電池が優れモノなのは、ベースになっているのは単三電池で、単一とか単二としても使えるような「アダプター」が付いており、単一サイズのプラスチック製のケースに単三電池を差し込むと、単一電池として使えるようになっていることです。

 我が家は、各部屋にポータブルラジオと時計があるので、なんやかんやでけっこう乾電池を使います。いつも捨てるのはもったいないなーと思ってたので、ちょっぴりですがエコ生活を始められそうです。

2009年11月29日日曜日

2011年 新聞・テレビ消滅


 2011年というから、もう再来年に迫っています。
 毎日毎日、アホなバラエティー番組を垂れ流し、決して本質を突かないピントはずれな報道番組で視聴者を愚弄しているテレビ局が消滅するというのです。テレビ局を資本関係で支配している新聞社も、ついでになくなってしまうというのです。
 なんとハッピーで、胸のすくタイトルでしょうか!

 しかし、同時に恐くなります。
 一種の「フィクション」であるとはいえ、一応は「マスコミは客観的で公平な立場」なのがタテマエです。記者は正義感を持って仕事をしており、能力も高いと考えられています。
 新聞代は月3000円ほど、NHKの受信料も1000円くらいのはずで、政治、大企業、宗教、暴力団といった権力を監視し、自由な報道を確保する費用と考えれば、めちゃくちゃに高価なわけではありません。
 しかし、新聞社もテレビも会社としての収益は年々減少しており、アメリカでは新聞社の倒産が続出しています。
 日本でもそうなった時、言論の自由は確保できるのでしょうか?

 マスコミが衰退してきた原因として一般的に言われるのは、新聞社、放送局とも政府に過度に保護されてきたことがあげられます。新聞は再販制度があり、放送局は免許制度で、ライバルの新規参入はありません。
 同業者だけでぬくぬくとビジネスを続けてきた結果、もはや読者や視聴者が求めていないような、過度の情緒主義、反知性主義、権力へのすりよりなどがはびこり、国民からもスポンサーからも見放されてしまった、というものです。はんわしもそう思っていました。

 しかし、著者は、マスコミ衰退の原因の根はもっと深いところにあると言います。
 新聞やテレビのビジネスモデル、つまり「一般大衆」に「一方的」にニュースや情報を送り届ける、というスタイルが成立しなくなっていることが原因なのだと指摘するのです。

 その理由は大きく二つあって、
1.マスメディア(新聞・テレビ)が対象としている、マス(大衆)が消滅し始めていること。
2.メディアのプラットフォーム化が進んでいること。
 と著者は書きます。

 1つ目の大衆の消滅については、すでに多くの有識者が指摘しています。以前にもこのブログに書きました。もはや不特定多数の消費者に向けた、大量生産・大量消費が日本では成り立たなくなるのは時間の問題です。この時流に乗れなければ、消滅するばかりでしょう。

 2つ目は少し説明が必要ですが、「IT化」と密接に関連する問題です。著者はプラットフォーム化の考え方について、グーグルの及川卓也氏の説を使って、「コンテンツ」、「コンテナ」、「コンベア」の3つの流れで説明します。
 今までの新聞社のビジネスは、
  ・コンテンツ(内容のこと、つまり、新聞記事の中身)
  ・コンテナ(コンテンツを入れる入れ物、つまり、印刷された新聞そのもの)
  ・コンベア(顧客に届けるシステム、つまり、戸別配達や駅売りなどのシステム)
 の3つが垂直統合になっていました。
自社の新聞記者が取材して記事を書き、新聞に印刷して、専売店を通じて読者に配達する、という具合です。
 しかし、IT化の進展により、これが以下のように変わってしまいます
  ・コンテンツ(新聞記事)
  ・コンテナ(ヤフーニュース、グーグルニュース、どこかの検索エンジンかとブログとか)
  ・コンベア(インターネット)

 新聞社は、コンテンツ、コンテナ、コンベアをすべて自社で握っていたので大きな利益を生んでいたのが、IT化によってさまざまなコンテナの形が生まれ、利益を生み出す部分をヤフーやグーグルなどに奪われてしまったのです。これが、新聞社の影響力が低下し、したがって広告も集まらず、読者も減っていく原因です。

 これを立て直すのは容易ではありません。新聞社も自社のニュースサイトで有料サービスを始めていますが、ビジネスとして成功している例はあまりありません。一方で、コンテナやコンベアに関するイノベーションはどんどん新しく生まれてきます。著者は、これは必然であって、マスコミが昔に戻ることは決してないと断言します。

 くわしくはぜひ本書をお読み下さい。新聞もテレビもなくなった後、我々を待っているのはどういう世界なのか? マスコミに代わる公的な言論の仕組みを新しくどう構築していくべきなのか? 論点は尽きません。

 余談ですが、「マーケットとなる大衆」の消滅とか、生産から流通までを「コンテンツ」「コンテナ」「コンベヤ」のレイヤーで捉える考え方は、ビジネスや行政サービス全般にも応用できる考え方だと思います。IT化の波から逃れられる人は誰もおらず、イノベーションと、それによる新しいビジネスモデルを創造する意外に、時代の変化に適応するための方法はない、ということも再認識できます。

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2009年11月28日土曜日

「地域力連携拠点事業」が事業仕分けで・・・



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 世間を賑わせていた事業仕分けが終了しました。毀誉褒貶、さまざまな意見がありましたが、基本的には国の予算査定の過程がオープンになったことに対して、肯定的な声が多かったようです。

 中小企業振興に関する経済産業省の事業仕分けは26日に行なわれていたのですが、ここで「地域力連携拠点事業」について、来年度の予算計上は見送りという仕分け結果となりました。今日はこのテーマを書きたいと思います。

 ご存知でない方のためにおさらいすると、地域力連携拠点事業とは、簡単に説明すると、地域の中小企業、特に小規模企業や個人事業主、これから起業しようとする人を元気にしていくための支援事業です。
 中小企業とひとくちに言っても、経営課題は実にさまざまなものがあります。そこで、経営コンサルタントや、法律や税務などのそれぞれの専門家、技術指導ができる大学や研究機関、それに金融機関など、それぞれの強みを持つ支援者が相互に連携する仕組み(連携体)を地域ごとに作って、きめ細かく多様な支援活動を行なおうという内容です。

 連携体の中心となる機関が「地域力連携拠点」と呼ばれますが、これは、自ら拠点になることを希望する団体が手を挙げて、本当に実行力があると認められた団体が、国から「地域力連携拠点」としてのお墨付きをもらって運営します。運営費は国が負担します。
 三重県内には、三重県商工会連合会や、四日市商工会議所、尾鷲商工会議所など5つの団体が認定を受けており、昨年度から活動を始めています。

 はんわしが見るところ、国が昨年にこの「地域力連携拠点」制度を作ったのは、以下の3つ理由があると思います。
 その1は、先に書いたように、中小企業支援は複雑化・高度化しており、さまざまな課題を総合に支援できるスキームを作る必要があったこと。
 その2は、市町村合併が進み、市町村の区域と既存の会議所、商工会の区域が不一致になっている例が出てきているなど、会議所や商工会が広域的に支援活動に取り組める準備段階とする意図があったこと。
 その3は、一部の県で補助金返還事件となった「カラ巡回指導事件」のような、既存の会議所・商工会の事業の「形骸化」、組織の「官僚化」への対策の必要性です。これは会議所や商工会が地域内で独占的に中小企業支援を行っていたために起こった事態であり、地域力連携拠点事業は、やる気のある機関を国が「公募」することで、商工団体以外の機関、たとえば金融機関や大学なども拠点になれる制度設計となっており、人為的にライバルを作るようにした意図が読み取れます。

 以上のように、はんわしは、基本的な意味づけでは地域力連携拠点の考え方は間違っていないと思います。しかし具体的な事業の内容が、「応援コーディネーター」と呼ばれる専門家を雇用し、無料で派遣相談を行なうなどマンパワーが中心であったため、きめ細かい施策である反面、厖大な数にのぼる中小企業の数に対し、実際に支援ができる数が限られていることや、派遣サービスを無料で行なうことが中小企業に甘えを生むなどの問題点もありました。

 ただ、事業仕分けによって全国の連携拠点が来年度閉鎖されることになると、その影響は少なからず生じることになります。来年度の予算策定の中で、「事業仕分け」の結果がどう位置づけられるのかはまだまだ不透明な部分がありますが、中小企業支援に関わる方はぜひ関心を持っていただきたいと思います。

2010年3月27日追記
 中小企業庁が平成22年度新規事業である「中小企業応援センター」の採択を発表しました。
 この件に関するブログはこちらをご覧ください。中小企業の方、支援機関関係者の方のご意見をぜひいただきたいです。

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2009年11月27日金曜日

今日は業務連絡

 議会待機で帰りが遅くなり、ブログを書く気力が残っていましぇん。
 というわけで、業務連絡。

 このブログをご覧になっている皆さんから、コメントでなく、直接メールをいただくことがあるのですが、非常に有益なご意見やご感想が多く、せっかくですのでなるべく公開の場で意見交換したほうがいいのではないかといつも思っています。

 そこで、一部の方には不評だった、コメント時にパスワード入力をお願いしていた(スパム防止の目的だったのです)のを止めることにしました。

 比較的簡単にコメントいただけるようになると思いますので、お気軽にお寄せください。

2009年11月26日木曜日

IT化の先頭を走る中小企業になろう

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 今日は(財)三重県産業支援センター主催による、商工会や行政職員など支援者向けの中小企業IT化セミナーが開催されました。これは経済産業省の事業である「IT経営応援隊」事業の一環として実施されたものです。
 非常に有益なものでしたので内容をご紹介します。

 中小企業にとって販路の開拓は常に重要な問題です。経営資源が限られている中、どうしても固定客との取引関係に重点が置かれてしまいますし、顧客との接点もルートセールスという形が中心なので、新しい商品の紹介や、顧客が求めている課題の解決を提供できないというきらいがあります。これを何とかしなくてはいけません。
 同時に、新規の顧客開拓も必要です。ではどうしたらいいのでしょうか。

 一つの明確な回答は、IT化です。
 自社の商品やサービスのデータベース化、顧客リストのデータベース化により、現在の取引関係を深く分析し、新たに食い込む余地がないかの検討を行うことがIT化の眼目の一つ。
 もう一つはインターネット活用による顧客開拓です。具体的にはマッチングサイトの活用により、物理的な制約を越えて、従来なら出会えなかったような遠距離、他業種の取引先を開拓することです。

 ネットによるマッチングにはさまざまなものがあります。Yahoo!や楽天もビジネスサイトをやっていますし、製造業に特化したもの、食品に特化したもの、行政が運営しているものなど実にたくさんありますが、反面、どのサービスを選んだらよいのか、費用対効果や信用面も含めて気になるところです。

 今日のセミナーはまさにそこがポイントでした。
 まず取り上げられたのは、ザ・ビジネスモールです。これは、全国の商工会議所、商工会が共同運営している企業情報サイトで、30万の事業所が登録しており、アクセス数は月250万に上っています。BtoBを支援するものであり、ザ・ビジネスモールに登録した企業は、自社のデータベース(簡易ホームページのようなもの)が公開されるほか、具体的な商談情報も提供され、全国で多彩な出会い・商談が生まれているそうです。
 最も魅力的なのは、このモールはあくまで商工会議所などの会員向けサービスとして運営されているため費用が無料なことです。ただし、条件が二つあって、一つは、中小企業が所属している商工会議所や商工会が、ザ・ビジネスモールに協賛し、「登録団体」として運営に協力していることです。ちなみに、登録団体となっているのは、今のところ、津、伊勢、桑名、鈴鹿の4会議所と菰野町商工会の計5団体です。もう一つの条件は、会員になろうとする中小企業は、これら登録団体となっている「会議所などの会員であること」です。

 ザ・ビジネスモールの会員になるとSEO上も非常に有利です。モールの会員データベース(簡易ホームページ)上に自社のURLがリンクされるため、検索エンジンの上位に押し上げられる効果があります。実際に会員になった後、アクセス数が5倍になった企業もあるそうです。
 何度も言いますが、このサービスは無料なので、本気でネット活用に取り組みたい事業者の方で、もし県内5団体以外の会議所会員、商工会会員の方は、さっそく会議所に掛け合って、ザ・ビジネスモールの登録団体になってくれ!と要求しましょう。

 ■ザ・ビジネスモール  http://www.b-mall.ne.jp/index.aspx

 セミナーのもう一つのテーマは、(株)インフォマートが提供するFOODS Info Martについてでした。このシステムは、食品業界に特化し、農畜産物、水産物、加工食品などの食材などの売り手と買い手がマッチングできる会員制サービスです。
 こちらは使用料として月2万円程度が必要ですが、自社の商材を、写真とデータ、セールスポイントなどの項目別に整理したデータベースの作成と、そのDBを活用して商談に使えるカタログなどにすぐに加工できるシステムとなっており、商談成立に非常に効果的とのことです。

 もう一つ、同社がユニークなのはプロ同士の取り引きであるBtoBとは言え、顔の見えないネット取り引きでは代金回収に不安を持つ会員企業も多いことから、インフォマートが与信審査のうえ、販売先への代金回収を行う「決済代行システム」を行っていることです。まさにネットの特性をよく理解されていると実感します。もしご関心のある方は同社のサイトをご覧になってみてはいかがでしょうか。

 ■ FOODS Info Mart   http://www.infomart.co.jp/


 

2009年11月25日水曜日

滑稽な学者たち

 当たり前のことですが、いくら野球が大好きで上手であったとしても、誰でもがプロ野球選手になれるわけではありません。阪神タイガースや中日ドラゴンズに入団できるわけではありません。
 プロ野球選手は、そもそも身体のつくりがしっかりしていて健康なのが大前提で、優れた素質が土台としてあり、さらに小学校、中学校、高校と野球部で地道な努力・鍛錬を重ね、素質を磨くことで能力が開花したものだと思います。これは凡人とはまったく違う世界にいる、一種のエリートであり、だからこそファンから応援もされるし、スター選手は巨額の報酬を手にすることができるのでしょう。

 しかし、です。
 ならば、日本のプロ野球選手が世界の「超一流」かというと、決してそうではありません
 情報化社会で、アメリカのメジャーリーグも見、ワールドベースボールで世界の強豪国のプレーも目の当たりにできる我々は、すでに「日本のプロ野球は、(表現は悪いですが)メジャーリーグに行けないクラスの選手たちがプレーするリーグである」ということを知っています。
 もちろん、日本のプロ選手を卑下するわけではありません。いたずらに日本だけを買いかぶるのでなく、世界は広いし、さまざまな活躍のステージがある、ということを理解すべきだと言っているのです。繰り返しますが、誰もがプロ野球選手になれるわけでは決してないのですから。

 日本の、いわゆる一流大学と呼ばれる9大学の学長が、民主党の事業仕分けで科学技術関連の事業予算が大幅にカットされたことなどに対して抗議の声明を発表しています。

 【共同声明】大学の研究力と学術の未来を憂う -国力基盤衰退の轍を踏まないために-
  → 東京大学のHP http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_211124_j.html

 しかし、一部のブログで指摘があるように、この声明の内容が世間で通用するとはとても思えません。アタマの体操になりますから一度読んでみて下さい。
 
 誰も大学の研究費用がムダだとは言わないでしょう。一流大学の学者先生が難しそうなことを一生懸命に研究しているのだから、いずれ何かの役に立つのだろう、と漠然と思っていると思います。つまり、大学での研究や科学技術
の費用がムダだと明確に断言できるほどの知識を多くの人は持ち合わせていないということではないかと思います。

 この件については、以前にもこのブログで書きましたが、もっとも大きな問題は、大学の研究者が天文学的に巨額の、莫大な税金が投入されている科学技術の研究開発に対する説明責任を、ほとんど負っていないことです。
   由らしむべし、知らしむべからず。
   素人は黙っていろ。
 そんな風潮が大学を覆っているのが問題なのです。
 その結果、自由に議論する空気が失われ、学閥や情実が横行する閉鎖的な空間になる。コスト意識がなく、ほとんど成果の見込めない研究にジャブジャブとカネをつぎ込む。結果責任は負わないのですから、要は研究費を使って研究することが、そのことだけが自己目的となる。
 このような日本の大学に対する批判は、今までも多くなされてきましたが、ほとんど改善されないようです。その結果、研究予算は利権となり、日本の大学にはメジャーリーグに行けないクラスの研究者がゴロゴロしている、というのが残念ながら国際的な常識なのです。(もちろん、立派な研究者もたくさんいらっしゃいますが。)

 科学技術費や大学の研究費の予算確保については民主党内でも既得権者の巻き返しが始まったようですが、一切のタブーを排する事業仕分けが、大学にとっては皮肉なことに鳩山内閣の支持率を押し上げています。国民もバカではない、ということなのでしょう。

 

2009年11月24日火曜日

産業政策でNPOを支援する理由

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*産業支援に従事する立場以外の方は読み飛ばしてください*


 11月22日付けの日経新聞に、政府が検討している雇用対策の概要が明らかになった、という記事が載っていました。「地域雇用創造マネージャー」なる役職を新設し、介護や保育などの企業やNPOの創業者、いわゆる社会起業家を育てることにより、1万人程度の雇用を新たに創出することを目指す、というものです。

 わかっている人にはわかっているが、わからない人には全然わからないことの一つに、「産業政策として、なぜNPOを育成しなくてはいけないのか」ということがあります。
 行政機関でもこのことがわからない職員はいて、数年前に、はんわしがコミュニティビジネスの振興施策として「コミュニティビジネス相談窓口の設置」や、「中間支援組織(インターミディアリー)育成のための人材養成講座」の事業化のために予算書を作って上司に提案したら「我々がやるのは産業政策や。NPOの育成は他の部署の担当やないか。なんでそんなことを商工部がやらなあかんのや。」と怒鳴られた経験があります。
 このような思い込みは、「地方自治体である‘県’が、なぜ産業政策(特に商工業の振興策)を行うのか」ということが正しく理解できていないからです。

 言うまでもなく、県が産業政策として中小企業などに支援を行うのは、主に2つの理由からです。すなわち
・産業を活発化することで、事業者の設備投資や利益を増大させ、税収を増やすこと。
・同じく、事業活動が広範に行われることで地域の雇用が増大し、完全雇用が達成されること。
 の2つです。(※)

 1番目については非常にわかりやすいのですが、これは課税対象となる「利益」を生み出すことを目的とする、会社や事業協同組合などの営利組織が主役とならざるを得ません。その意味では、特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)をはじめ、社会福祉法人、医療法人、学校法人などの非営利組織(広義のNPO)は主役になれない部分があります。(これには重大な例外もあるので後述します。)

 しかし、不景気になり失業率が上がってくると、地域で雇用を確保するという2番目の役割が非常に重要になってきます。特に、ご近所付き合いの減少などの地域コミュニティの弱体化に対応するためには職住接近型のコミュニティ構築が重要であり、その意味では、営利組織であろうが、非営利組織であろうが雇用を作り出すのであれば、その形態はどのような形でもかまわないことになります。

 したがって、産業政策としての非営利組織(NPO)に対する支援策は論理的に何ら矛盾しないし、むしろ地方財政の逼迫により公共サービスの選別化が進まざるを得なくなったり、少子高齢化など社会環境が変化していく中で、国や自治体に代わって公共的なサービスを担うセクター(三重県風に言えば「新しい時代の公」)が生まれざるを得なくなるとすれば、これらのセクターのマネジメントを円滑にし、売り上げを向上させ、収益を増やすための支援は、どうしても必要になってきます。

 ここでポイントになるのは、NPOの「非営利性」についてです。NPO法人を例にとると、NPO法人は収益活動を行うことが禁じられているわけではありませんし、収益を上げることが禁じられているわけではありません。ただ、事業によって得た儲け(収益)を、役員で分配してはいけない、という規定があるだけのことです。
 株式会社の場合は、収益は株主(社員)に分配することが原則です。これに対してNPOは利益を分配してはいけないので、必然的に積み立てるか、事業に再投資することになります。
 製造業の企業などでは、収益の一定額を新たな研究開発に再投資する企業を「研究開発型企業」などと呼びますが、NPOの場合もこれと同じで、活発に収益を上げ、事業に再投資すれば、それはいわば「再投資促進型組織」とでも呼ぶことが可能です。
 つまり、「新しい公」の分野(それは国が言うような介護や保育もあるでしょうし、医療、教育、環境、防災、治安、異文化共生など無数のテーマがあります)を充実させるために民間の再投資が活発化し、これらの課題の早期解決に資する可能性すら生まれてくるのです。
 これは、地方自治体による産業政策の1つ目の理由、すなわち税収の再分配による地域課題解決以上に、低コストで能率的に行えることにつながるかもしれません。

 いずれにしろ、国が社会起業家の存在価値を認めるようになり、その創業促進に一定の支援を行おうとするのは大きな前進です。
 地方自治体にとってスタンダードな産業政策であった企業誘致や、製造業に対する技術開発支援など従来の手法も陳腐化していくのかもしれません。頭の切り替えが必要なのでしょう。

※県が産業政策を行う3つめの理由として、他の地域との競争に勝つためという競争政策があります。企業誘致などは他の府県との競争が激化しているので、それに勝ち抜いていかに優位性を保つかという問題も重要になっていますが、これについてはまたの機会にさせていただきます。
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2009年11月23日月曜日

30年ぶりくらいに旧鳥羽小学校校舎へ

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 平成20年に閉校した鳥羽市立鳥羽小学校の校舎は、昭和4年(1929年)に建築されたものです。当時、三重県内でも非常に珍しかった鉄筋コンクリート3階建ての建物で、正面には3連のアーチを配しており、室内の装飾にも欧風様式が多用されている非常にハイカラな建物でした。建築費は当時の金額で25万円。鳥羽市(当時は志摩郡鳥羽町)の財政だけでまかなうことはできず、御木本幸吉など地元篤志者から多額の寄付もあったようです。保守的な鳥羽の人々が、よくこんな高額な建物を建てる決断ができたものだと、あらためてこの英断には感心させられます。

 実ははんわし、30年近く前にここを卒業したOBです。鳥羽小は城山と呼ばれる市街地にそびえる小高い山の頂上にあって、鳥羽城跡の城郭をそのまま利用した配置になっています。子供の足で坂道を通学するのが大変でしたが、その当時(昭和40年代後半)は鳥羽の市街地も賑やかであり、子供もたくさんいて、教室の窓から青い海にたくさんの船が行き交うのを見下ろすのが楽しかった思い出があります。
 しかし、その当時から「古い建物だなあ」とは子供心に思っていました。はんわしの在校中にはすでに建築から50年近く経っていたわけで、雨漏りもあったし、何しろ夕方はかなり薄暗くなるので廊下が怖かった思い出があります。

 しかし、少子化の波には勝てず、平成に入ると児童数が激減し、ついに他地域の小学校と統合され、郊外に移転しました。
 小学校は、まちがいなく地域の象徴的な存在であり、賑やかにはしゃぎまわる子供の声が地域から消えてしまったことで、衰退する鳥羽市の中心市街地に拍車がかかったような気がするのが残念です。
 しかし、これは地元住民が議論を重ねた上での結論ですし、鳥羽市役所や地元有志による保存・活用の活動も活発に行われていて、まだ将来的に活路が見出せるのが希望といえば言えるのかもしれません。

 今日はここで、「さよなら旧鳥羽小学校展」というイベントが開かれたので行ってきました。
 風は強かったものの晴れ渡った温かい一日。懐かしい卒業生の写真展やステージイベントなどがあり、OB,OGの皆さんを中心に多くの鳥羽市民が来ていました。

                               はんわしも30年ぶりくらいで校舎の中に足を踏み入れました。
 もっとも、はんわしは就職してからも10年近く鳥羽市の実家に住んでいたので、外観は毎日のように見ていましたし、時々は散歩に校庭を歩いたりしていましたから、懐かしくて泣き出すほどの感動でもなかったのですが。

 しかし、このときの感慨は、どういったら言いのでしょうか。
 はるか遠くの過去ではなく、しかし、大人になってあらためて「廊下の狭さ」や「教室の小ささ」を見ると、自分が児童だった時代はやはり昔に押し流されてしまっている。そしてその時代には絶対に戻れない。
 その事実をあらためて発見したような、不思議な感慨でした。

 自分が今こうして、校舎の中に足を踏み入れていることなど、子供の時には想像すらできないことでした。
 同級生や先生はみんな元気だろうか。
 お蔭様でワシも元気でやっております。

 ■旧鳥羽小学校(城山)校舎の保全活用を考える会
   http://toba.in/s/pc.html
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2009年11月22日日曜日

津市に「ゆるキャラ」が大集合・・・しかしイタい


このブログで時おり誹謗中傷している、津市の中心市街地である大門商店街(だいたてアーケード)で、「津観音開創1300年記念イベント」が開催されているというので行ってきました。

津観音とは恵日山観音寺というお寺であり、現在の津の市街地はこのお寺と、藤堂高虎が築城した津城を中心に発達したものです。大門(だいもん)という商店街の名前も、津観音の寺門の門前町から由来しているものと思われます。

しかし、津市民にとって大門は、衰退した中心市街地の典型的実例として認識されているといっても過言ではないかと思います。 
県庁所在地として、メガバンクや一流企業の三重支店はほとんどが津市に立地しており、本来なら金融業や流通業、サービス業などで県内他都市をリードできる立場に十分ありながら、自他共に認める「地味」なまち、言い換えれば、あふれ出てくる活気がなく、どこか醒めているようなまち(決して冷たいという意味ではないのですが。)という印象が強い津市。その商業面での象徴が大門商店街です。

しかし、有志による活性化事業も活発に行われており、今回のイベントもご当地B級グルメとして全国展開を目指している「津ぎょうざ」VS「四日市トンテキ」の試食対決である「うなとん対決」なるものも企画されていたりして、それなりに興味深い内容となっています。

残念ながら、はんわしは午後2時くらいに会場に来たので、とんてきはすでにソールドアウト。メインステージでは数十名の家族連れを相手にローカルヒーローのショーが行われていました。

センターパレスのほうへ薄暗いアーケード内を歩いていくと、ご当地ゆるキャラパレードがゲリラ的に行われており(つまり、意味もなくぞろぞろと連れ立って歩いている)、こういう被り物には本能的に反応してしまう幼児が駆け寄ってくるのに愛想を振りまき、親が我が子の記念写真を撮ろうとケータイを出すと、進んでポーズを決めるなど、魅力を最大限アピールしていました。

 よくわけがわからなかったのは、3枚目のドレスを着ている岐阜柳ケ瀬商店街の「やなな」なる女性キャラです。1枚目の津市のシロモチくんが藤堂高虎に由来しており、2枚目の小入道くんが大四日市祭りのメインキャラであることは、ゆるキャラへの昇華はそれなりの合理性を有しているのでしょうが、「やなな」は頭部がダンボールというキュービックな外観。首から下は生身の若い女性というもので、美川憲一の柳ケ瀬ブルースに代表される、ウエットでオトナの夜の柳ケ瀬と「やなな」は、ひょっとすると強い関連性があるのかもしれません。わかりませんけど。
しかも、はんわしがカメラを向けた途端、やななは手に持ったカバンからごそごそと何かを探し出すという挙に出るなど行動も不可解でした。

それにしても、時間的にピークを過ぎていたせいもあるのでしょうが、イベント自体、観客よりもスタッフのほうが人数が多いという「店じまい」状態になってしまっており、キャラクターショーのえいっ、とか、とうっ、とかの台詞やチープな効果音、BGMがアーケード内には響き渡り、ゆるキャラパレードからは異次元的なイタさが漂ってきていました

 津観音1300年のイベントだというのに、午後2時でこの人出、この状態。四日市から来た小入道も、岐阜から来たやななも衝撃を受けたことでしょう。

 しかし、このダメさ加減が「だいたてアーケード」への愛着に転化し、この商店街には決してたくさんの買い物客など押し寄せてほしくない、永遠に自分だけのプライベート商店街であってほしい、というレベルまで倒錯すれば、それがすなわち「ダメな子」津市に対して本当の愛情が芽生えたことになるのです。
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2009年11月21日土曜日

外宮さんにちなんだ「どんぶり」を創ろうプロジェクト


 伊勢商工会議所が、平成21年度の地域資源∞全国展開プロジェクトで取り組んでいた「外宮(げくう)さんにちなんだどんぶりを創ろうプロジェクト」の成果として、「御饌丼(みけどん)」なるご当地メニューを開発した、というニュースは、何ヶ月か前に読んだ記憶がありました。(たとえば、伊勢志摩経済新聞の10月16日付けの記事

 御饌(みけ)というのは神様に供える食事のことで、伊勢神宮の外宮は、内宮(ないくう)の主祭神である天照大神に食事を提供する、豊受大神が祭神であり、古から農業の神、食料の神として崇敬を集めていることにちなんだ着想と思います。

 そして、今日、この御饌丼を提供している伊勢市内のレストランの一つであるい~菜に行ってきました。10月オープンしたばかりという店内は、やや狭い感じはしますが明るく清潔な感じで、ボサノバのBGMが流れています。

 はんわしは、鈴鹿医療科学大学と産学連携で開発したという「風邪予防丼」というのを食べてみました。

 大紀町の名産である七保鶏(ななほどり)のレバーを甘辛く煮付けたものがあしらわれた丼で、他に小鉢やスープ、デザートが付いて800円ほどでした。

 店員さんのお話では、丼の主原料であるレバーとほうれん草にはビタミンAが豊富に含まれており、風邪やインフルエンザの予防に効果があるのではないかということです。もちろん、あくまでも気持ちの問題、シャレだとは思うのですが、いわゆる薬膳料理のような堅苦しさ、薬くささはなく、カジュアルな感じで、味もとても良かったです。

 ■レストラン い~菜のサイトはこちら
         http://don.e-na-world.com/

 ややマニアックな話になりますが、日本商工会議所や、全国商工会連合会が経済産業省の委託を受けて行っている地域資源∞全国展開プロジェクトは、地域の商工会議所などが主体となって、特産品の開発や、観光資源を活用した観光プラグラムなどの開発を行い、それを地域だけでなく全国に展開していこうという趣旨の事業で、毎年、全国で200件近くの取り組みが行われています。

 しかし、この事業により特産品などが開発され、試作されても、それらのうち実際に全国的な市場へ出て販売されるものは、(厳しい言い方をすれば)ほとんどないのが現状ではないかと思われます。
 その理由として、
・個々の地域ではイチオシの地域資源であっても、全国レベルでは特に珍しくもなく、ありふれている素材が多いこと。
・それを使って開発される特産品やご当地メニュー、観光プランなども独創性がなく、どこかで見たようなどんぐりの背比べ的なものが多いこと。
・仮に特産品などが市場に流通しそうな可能性があっても、実際に試作品を作っている製造業者の規模が零細で、大量の発注や、厳しい納期に対応できないこと。
 などさまざまな理由があります。

 特に、伊勢の御饌丼のようなご当地メニューものは、コンビニとタイアップした弁当化(以前このブログでも紹介した津ぎょうざのように)などの手法以外は、地道に地域の飲食店やレストランの定番メニューとして浸透させていき、地元のファンを増やしながら知名度を上げていくという息の長い取り組みが必要になります。おそらく、「赤福」にような地域ブランドの代名詞になるには数十年かかるのでしょう。
 オシャレ気なカジュアルレストラン、い~菜での取り組みに期待したいと思います。
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2009年11月20日金曜日

誰が必要とされ、誰が必要とされていないのか?

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 今日も三重県内の何社かの中小企業を訪問していました。
 最初に訪問した金属加工メーカーは、金型製造と特殊プレス加工を得意としており、昨今の不況にもかかわらず比較的安定した業績を確保しているとのことでした。来春の新卒者採用の見通しを聞いたところ、社長が言うには「現在の経済情勢では、例年なら大企業に流れてしまう優秀な学生を中小企業も獲得できるチャンスだと思う。しかし、まだまだ経済の先行きは不透明で、今はまだ新卒採用には踏み切れない。」とのことでした。
 その言葉の端々に、中小企業にとって今年は稀有な人材獲得のチャンスであることはわかっているのに、みすみすチャンスを取り逃がしてしまうことへの悔しさのようなものがにじみ出ているのを感じました。

 次に訪問した水産業者も、高い加工技術を持ち、新しい商品開発に取り組んでいます。しかし、開発計画を立てたのは昨年で、それから準備を重ね、実際の試作に取り掛かった今年、リーマンショックの波がこの業界にもやってきて本業は青息吐息とのことです。社長は「現状を何とか乗り切るためには、社運のかかるこの開発計画の実行を急がなければ」とおっしゃっていました。また、ここも、若い人手は欲しいが、新卒者採用はリスクが高いと判断しているようです。

 朝日新聞によると、三重県は来春卒業予定の高校生の就職内定率は57.7%で日本一高くなっていますが、数字そのものは不況の影響で前年同期比は14・1ポイントもの大幅減となっており、下げ幅は過去10年で最大。高校やハローワークなどが就職支援に乗り出しているとのことです。(朝日コムより)

 以前にこのブログでも書きましたが、こと就職に関して、日本社会は不思議なほど若者に冷淡です。
 職が見つからない高校や大学の新卒者は、春からアルバイトで当座をしのぐことになるのでしょう。以前なら派遣社員という道もありましたが、今はそれも考えられなくなっています。
 一方で、すでに正社員になっている人、特に大企業社員や公務員は終身雇用が保証されています。恐ろしいことに、終身雇用は年功序列とセットなので、社員の能力の有無、仕事の出来不出来に関わりなく給与は毎年増えていきます。
 そして、このエスカレーターの上に、4月時点になっても職が見つからない新卒者が乗り込める可能性はほぼありません。

 この問題は深刻です。
 今日のトップニュースは、菅副総理兼経済財政担当相が、現在の日本経済はデフレ状態にあることを正式に認めたことですが、消費、雇用など、次世代に向けての社会的な再生産が不可能な状態にまで落ち込んでいるということなのです。

 若者には職がなく、従って収入もない。
 当然、クルマも家電も買わない(買えない)。
 生活できないから、結婚し家庭を持つ人も限られてくる。
 その結果、ますます少子化が進み、経済が落ち込む。
 このスパイラルです。

 若者が経済活動からスポイルされるので、物理的に、新しい感性や挑戦的なパワーが発揮される機会も少なくなり、日本にイノベーションが起こりにくくなります。これも経済の沈滞に影響していきます。能力とやる気のある若者は、見切りをつけてどんどん外国に出て行くことでしょう。

 この事態を打開する方法ははっきりしています。年功序列的な賃上げは廃止し、50歳代の勧奨退職を進め、定年延長や定年退職者の再雇用も抑制し、世代交代と人件費の抑制のため若者の雇用を増やすことです。一定の若者雇用率に達しない企業や事業主にはペナルティを課すこともやむを得ません。
 では、高齢者はどうするか。今までの知恵と経験を生かしてベンチャーを起こすもよし、地域課題解決のためのコミュニティビジネスを起業するもよし。つまりは新しいソーシャルキャピタルを作り上げていくための先兵になっていただくほかはありません

 いつまでも若者を踏みつけ、高齢者だけが「我なき後に洪水は来たれ」とばかりにエゴをむき出しにして決して自分たちの地位は譲らず、「石の上にも三年」式の時代錯誤の価値観を押し付けている間に、本当の意味でわが祖国は滅んでしまうことでしょう。
 

2009年11月19日木曜日

手を汚さない人々

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 日本中が話題沸騰の「事業仕分け」は、鳩山首相による肯定的な評価もあって、24日からは第2弾が始まることになるようです。はんわしは、あるジャーナリストのメールマガジンを定期受信しているのですが、彼によると、仕分け会場は都心にしては交通不便な場所(市ヶ谷駅から徒歩20分の場所とか)にもかかわらず、1000人を越える聴衆が押し寄せている(しかも大多数が中年以上の男性)とのこと。ボディチェックもわりと簡単で、分厚い資料はくれるは、どのワーキンググループも見放題だわで、けっこうな時間つぶしになるようです。ネット配信も一日2万人が見ているそうです。

 しかし、一昨日ごろから、「切られた側」の巻き返しも本格化してきました。
 特に、けちょんけちょんに斬られまくった科学技術関係のプロテストは、毛利衛さんのようなスターもいるためか、テレビ露出が増えてきている感じです。
 知らなかったなあ「日本科学未来館」なんて。科学技術版の「私のしごと館」みたいなものなのでしょうか。行ったことないけど。
 スーパーコンピュータも笑えます。建物は神戸にあって、ほとんど完成しているのですね。次に中身になるスーパーコンピュータを作る計画なのだとか。仕分け人に切られた研究者たちが徒党を組んで「スパコン開発が中止されると、日本の科学技術は世界ナンバーワンの座から落ちてしまう」みたいなことを言って凄んでいますが、この方たちはいったい今まで何をしていた人たちなのか、という疑問も多いわけで。

 さて、ここからが本題です。
 はんわしの仕事も、どちらかというと「仕分ける側」「切る側」ではなく、「仕分けられる側」「切られる側」に当てはまります。国の有様を冷ややかに見ているけど、明日はわが身。神ならぬ立場ですから、そして何よりも、「大きな政府」であることは他ならぬ主権者である国民がかなり強く望んでいることなのですから、経済学の「公共財」の定義や、政治学の「補完性」原則には決して当てはまらない事業は、現実にゴマンとあります。というか、そんな事業が90%以上を占めているのが現実の地方行政の姿です。
 
 三重県に関して言うと、年末くらいから来年度予算の事業部署に関する査定が行われるのですが、これがまた、「無知」と「無理」をダンゴにしたような無茶苦茶な「査定」なのです。国の仕分け人も、テレビで見ていると結構強引ですが、まだ公開しているだけマシです。県の予算査定は完全な密室であり、しかも、予算する側とされる側の情報非対称がはなはだしいので、ほとんど思いつきのような勝手な理由でどんどん事業予算が切り込まれ、削り取られてしまいます。一切の反論は許されません。(もし機会があれば、たぶん今年もお目にかかれるであろう「お馬鹿査定」の実例をぜひブログでも公開したいと思っています。もちろん守秘義務があるので無理かもしれませんが。)

 予算を査定する側(切る側)は、予算を使って何かの事業をする立場ではありません。つまり、住民と向かい合う立場ではありません。役所の中で、役所の職員だけを相手にし、お金の勘定を合わせるだけが仕事です。
 無駄遣いはもちろんいけませんが、予算を切られることで、現実にどのような影響があるのかに思いを致すことはありません。事業を期待していた住民に怒られたり、嘆かれたりすることもありません。つまり、決して手を汚さない人々です。

 繰り返しますが、一国民としては事業仕分けは、予算査定の「見える化」であり、勉強にもなるし、面白い政治ショーでもあります。拍手を送りたくなる場面も多々あります。
 しかし、「ムダ」と決め付けられ、仕分けられ、切りまくられた事業が死屍累々と積み重なるのを見て、空恐ろしくなるのも事実です。本当に、これが正しい姿なのでしょうか。
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2009年11月18日水曜日

ガラパゴス化を実感「複雑すぎるテレビ」

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 やっと時流に乗って、我が家も薄型テレビを買い替える話が急浮上してきました。消費不況が言われていますが、伊勢郊外では先週末に、ある大型電気店が開店しました。そのオープン記念セールに対抗して、周辺の大型電気店数店も、すべて特売価格を前面に出して迎え撃っており、ちょっとした家電安売り戦争状態でした。

 そこで、ショップシッピングというのか、ライバル大型電気店何店かで下見も兼ね、価格調査も兼ねて色々なメーカーの薄型テレビを見てまわりました。普段ならぶらぶらと冷やかしてみる程度ですが、かなり買う気になって、本気モードで売り場を見て歩いていると、実にたくさんの種類のテレビがあり、ほとんど比較不可能な状態です。
 まずメーカーが、シャープ、パナソニック、ソニー、東芝、日立と5社くらいあります。安いものでは何だかあんまり聞いたことがないメーカーのもあります。
 そのそれぞれに、37型、40型、42型、47型などいろいろなサイズがあります。さらにさらに、その大きさそれぞれに品番があります。あるものは録画用ハードディスク内臓。あるものは高輝度・動きが滑らかで目が疲れない。あるものはLFDバックライト。あるものは省エネ性能ナンバーワン・・・
 結局、どこかどう違うのか。

 店員さんが親切で、聞いてみると色々と教えてくれます。聞けば聞くほど、それぞれが一長一短あって、結局は、こちらの予算額で機種を決定せざるを得ません。ついでに言うと、テレビを置ける部屋の大きさ、CMに出てくるタレントのキャラクターの好き嫌い、それぐらいの要素しか、事実上の判断材料がありません。

 よく日本の電化製品はガラパゴス化していると言われます。
 良いものを安く、という哲学を一貫して追い求め、それで世界競争を勝ち抜いてきた日本の家電メーカーは、基本的な性能の良さは当たり前。故障しないのも当たり前。
 そでに、より多くの新しい機能を持たせることで製品の差別化を図ってきました。
 消費者側も、それを素晴らしいことと受け止め、何か新しい機能、優れた機能が付けば、その新商品を争って買い求めました。

 しかし、日本人の生活も豊かになり、電化製品の性能も向上し、高止まりすると、ベーシックな性能には各メーカともほとんど差はなくなり、あとは、極めてニッチな、マニア向けの機能のあるなしに競争の争点が移ってきました。
 そして、はんわしのようなやや機械オンチなものの、わりと平均的な消費者にとっては、それらの機能など、「わけのわからない差」であり、ほとんど「どうでもいいような差」に過ぎなくなります。
 成熟した消費者が、一斉に「やーめた」と言って、新しいものに飛びつかなくなったら、いったいどうなってしまうのでしょうか?

 実は、この消費者の成熟が、日本の経済構造を変える大きな要素になる気がします。
 以前もブログに書いた「無印ニッポン」のように、消費者は新しいものに魅力を感じるのでなく、身の丈にあったもの、自分が満足度を感じるものに魅力を感じるようになってきています。
 ここが非常に難しいところです。「消費者にとってニーズは潜在化しており、消費者自身も気づかないウォンツを発掘し、提供することがメーカーのつとめである」というのは最近の定説でしたが、もはや、はんわしレベルの疲れた消費者には、ウォンツさえもなく、何にもなく、ただ普通のテレビ、最低限のNHKと民放が映る機能があるだけのテレビ、で満足。というところが本音なのではないかと思います。
 探すのも疲れる、選ぶのも疲れる。ただ「普通」のものがほしい。そんな感じではないでしょうか。商品化する側にとっては夢がない話かもしれませんが・・・
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2009年11月17日火曜日

あなたには「仮説」があるか

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 昨日今日、丸二日間、会議室にカンヅメでした。詳細は書けないのですが、ある事業の審査にオブザーバーとして立ち会っていたのです。申請者の審査自体は専門家や有識者が当たるので、行政の立場から補足質問をしたり、確認したりという立場でしたが、事業者の方、経営者の方と直接接する機会が減っているので、現在の景気状況や、それに立ち向かうために考えていることなどをまじかでお聞きでき、しかも立場が違う人たちが同じ目的(事業化の成功や、商品化の実現)に向けてディスカッションする機会に立ちあえたことは、最近では貴重な経験でした。

 自戒の念もこめて感じたことを書くと・・・

 行政の支援には限界があります。
 補助金にしろ、認証制度にしろ、融資にしろ、異業種交流にしろ・・・
 いろいろ美辞麗句はありますが、結局のところ、自分の事業について一番心配してくれる人は、当の自分をおいて他にありません。他人である行政職員が親身になるはずがないのです。身もふたもないですが、この冷徹な事実は前提条件として踏まえておかなくてはいけません。

 しかし、行政はそれなりに広い視野を持っています。多くの例外はあるにしろ、将来的な目利きもある程度はききます。さまざまなネットワークも持っているので、人、もの、カネなど自社にない新しい経営資源に出会えるキッカケに、行政の支援がなるケースも少なくはありません。社会一般に対して、それなりのPR効果も期待できます。
 つまり、マイナス面と、プラス面、両方を考慮したうえで行政支援は活用すべきです。

 同時に、行政支援の大きな限界の一つは、支援メニューの一つ一つには、それぞれの行政目的があって、支援対象となる事業や経費の内容が決まっています。スケジュールも決まっています。なので、これを効率的に活用しようとする場合、経営者は、補助を受けようとする事業活動の内容に、一定の「熟度」を持っていることが必要です。
 熟度とは色々なケースがありうるとは思いますが、、例えば、ものづくりなら試作品があること、サービス業ならビジネスモデルが確立していることなどでしょう。「タイミング」と言い換えてもいいかもしれません。 
 そして、「この事業を実施するにあたってはAのような課題が考えられる。これはBのような理由(原因)があるからで、その解決にはCが必要である。この補助金では、Cを解決するためにDという研究に取り組む。」というストーリー~仮説と言うべきか~があることが、決定的に重要になります。

 あらかじめ経営者が立てた仮説の検証というピンポイントに絞って努力を集中するのと、仮説もなく、行き当たりばったりにあれこれ試行錯誤しているのでは、同じ経営資源、同じ時間を費やしていても結果は大違いだからです。窮屈で融通が利かない行政の支援制度だからこそ、この差は決定的に開きます。

 ぜひ「自分には仮説があるか。その仮説を検証するための準備があるか。」を常に心がけたいと思います。もちろん、仮説がデタラメなものであっては意味は半減するのですが、それにしても仮説すら心もとないケースが現実社会に多いのは、民間でも行政でも同じなのではないでしょうか?

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2009年11月16日月曜日

現職はなぜ落選する?

 はんわしが聞いていた下馬評を覆して、昨日の伊勢市長選挙では現職を破って、33歳の新人候補が当選しました。
 今回の市長選の最大の争点は、前市長が中部国際空港セントレアから伊勢への航路を新設するための船着場(会場ターミナル)を6億4500万円の費用をかけて整備した、その是非についてでした。

 セントレア開港時、伊勢湾をはさんだ対岸に位置する三重県には海上アクセスが次々整備され、四日市、津、松阪、鳥羽の4カ所に航路が開通しました。そのころ、名古屋は円安バブルで輸出型製造業が好景気であり、日本一元気な街などと呼ばれ、運送需要も旺盛だったので、そこへ伊勢航路も参戦する計画だったのです。
 しかし、やがて起こった原油高騰などの影響で鳥羽、四日市の2航路は廃止され、ほぼ同じ頃、伊勢航路に就航する予定だった船会社も景気後退などを理由に急遽不参入を決定したため、伊勢には海上ターミナルだけが整備され、肝心の定期航路は就航していない(つまり、まったく利用されておらず空き家になっている)という異常事態になっていました。

 このことが市長選の最大の焦点であるべきことは間違いありません。現在の経済情勢では新規に参入しそうな船会社などそうそう見つかるとは思えません。かといってこのまま放置すれば建設にかかった費用を国に返さなければならず、撤去するにも新たに莫大な費用がかかる。これは本当に市民にとって大問題です。
 
 しかし、結局、市長選挙では、この海上アクセスだけ、このことだけが各候補者で争われ、その他の重要な問題、地域医療の再生、下水道整備問題、観光政策、商工業政策、福祉の充実、などには抽象的なスローガンが示されるだけで、いわゆる「マニュフェスト選挙」のレベルですらない戦いでした。

 その結果、市民は33歳の青年を市長に選びました。
 確かに伊勢でも変化は起こっているのでしょう。伊勢神宮を抱える伊勢市は保守的で、かつてならこのような選択は決して考えられなかったからです。
 しかし、それと同時に、海上アクセス以外の問題には手腕が未知数なリーダーを選んだことに、市民は責任を負わなくてはなりません。
 観光客の誘致がメインである海上アクセスよりも、むしろ市民生活に直結するよほど深刻な問題は、これからいったいどうなっていくのか、誰にもまったくわからない状況です。
 これを「新しい時代の胎動」としておもしろく、ワクワクする事態と捉えるべきなのでしょうか。戦国時代などは今から思うと内乱状態、無政府状態で民百姓は大変だったと思うのですが、旧来の社会秩序が崩壊して新しく再編された結果、近世の新しい社会につながりました。
 伊勢に限らず、市町の首長選挙で現職が落選する例が過去に比べても増えているように感じるのは、今までどおりで変化がない市民の選択から、新時代に一歩踏み出したと見るべきなのでしょうか。

■参考新聞記事
 朝日新聞 http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000000911160001
 伊勢新聞 http://www.isenp.co.jp/news/20091116/news01.htm
 中日新聞 http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20091116/CK2009111602000146.html
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