2009年7月26日日曜日

振興とは? 活性化とは?

 今日は尾鷲市長選挙の投票日です。はんわしはもう尾鷲市民ではないので、単なるウォッチャーとして新聞報道に接しているだけですが、選挙の争点として4人すべての候補が「地域の活性化」や「地域産業振興」を(表現はさまざまですが)力説されているのが興味深いところです。

 尾鷲市に限らず、「地方」では、行政も政治家も、そして住民も、「地域の活性化」「地場産業の振興」をよく唱えますが、これらの争点は、高度成長が終わりにさしかかり、全国的に過疎化が問題となった昭和40年代後半から、誰も彼もが一貫して唱え続けていることです。
 現代の社会問題は構造的に複雑で、一朝一夕に解決するものはむしろ少ないのはよく理解できるとしても、これだけ成果のなかった「掛け声」も珍しいのではないかと思います。

 その理由は、実ははっきりしています。
 地域が目指すべき「活性化」とか「振興」の定義づけが、当事者によって意味がバラバラでベクトルが集約されなかったということです。これ以外に原因はありません。

 地域の活性化とは何でしょうか。人口の減少が問題なら、よその地域からの移住や外国からの移民を増やせばよい。真剣にその方向で検討すればよいのです。
 しかし、自分たちのコミュニティに「よそ者」が入ってくることは住民自身が心の中で実は歓迎していない。旧来の秩序を乱されることは極端に嫌う。

 本当なら自分の子供たちに戻ってきてほしいが、産業がなく、働く場所がないので戻ってこられない、という話もよく聞きます。工場を誘致してくるなどこのご時勢、日本のほとんどの「地方」では夢物語なので、唯一現実的な方策は自分たちでビジネスを「起業」することしかありません。しかし、その意欲はありません。ノウハウも学びません。
 
 三重県でも職員が人事異動により、いわばルーチンとして一定期間、過疎地で地域振興に従事させられるのですが、いくら意欲に燃えて赴任しても、活性化や振興という言葉だけが踊って、住民自身も本音では真剣に考えていない姿を見、燃え尽きて帰任していく、ということが繰り返されています。

 地域振興はもちろん大事。
 活性化も大事。

 しかし、地域振興とは何か、活性化とはどう変化することなのかが大多数の住民のハラに落ちなければ、またまた看板の架け替えに終わる可能性はきわめて大きいのではないでしょうか。

 以下は余談です。
 紀南新聞のウェブサイトに、「三重の食と農の活力向上目指す 条例制定に向け説明会」という記事が載っています。(7月24日付け)
 笑ってしまうのは、この説明会での三重県庁担当者の説明が、まさに味噌もクソも一緒にした「活性化論」であるということです。むしろ会場で参加者から出たという「(農家が)儲からないから後継者がいない」などの疑問のほうがよほど的を射ています。
 解決の核心は、いきなり個別の具体論に入ることでなく、今までのボロボロだった農政の反省であり、その上で新たにベクトルを集約化することだからです。

 財政状況がますます厳しさを増し、今まで何の役にも立たず「ノー政」と揶揄されてきた農林水産行政は存在意義そのものが問われるようになってきています。成果もなく当然に淘汰されるべき政策の予算と人員(農業技師と呼ばれる県庁内の職能集団)は、ここで何とか巻き返さなければ自分たちの地位が危ないので、いわば「起死回生」を狙って条例を制定しようなどと画策していることには十分な注意が必要です。

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