2012年4月25日水曜日

起業支援の補助金は有効か?

AGARA紀伊民報が、起業を目指して和歌山県内に移住する青年が増えていることを受けて、和歌山県が移住者の起業を支援する補助金を新設したと報じています。(4月25日付け

この記事によれば、この補助金は、
・県外から移住推進12市町(田辺市(旧田辺市街地除く)、白浜町(日置川地域)、すさみ町、新宮市(熊野川地域)、那智勝浦町(色川地域)、古座川町、串本町など)の支援で移住する50歳未満の個人で、10年以上定住する意志がある人が補助対象
・また、U、Iターンは問わないが、今年4月1日以降の移住者であること。
・農林水産物や伝統文化、自然環境などの地域資源を生かした起業に最大100万円を支援する。 また、農林水産業で県の要件を満たして独立経営する移住者に最大50万円を補助する制度も設けた。
・8月末まで計画を公募しており、審査で最大10件を選ぶ。
とのことです。

和歌山県では田舎暮らしを支援する県の事業が始まった2006年度以降、自治体の窓口を通じた移住者は254世帯470人にのぼっており、11年度は最多の65世帯109人で、昨夏の台風被害後も問い合わせは多いとのこと。
年代別では30代が最も多く3割を占め、20代も1割いるそうですが、移住の課題となるのが「仕事」と「住居」で、就職先が少なく、青年層は起業資金も限られることが補助金制度設立の理由のようです。

さて、では実際に起業した人のニーズや意識はどうなのでしょうか。
経済産業省中小企業庁が毎年公表している中小企業白書の2011年版は、我が国における起業の実態を特集していますが、この中で起業者を対象に実施した、起業した動機や起業した形態などのアンケートが掲載されています。起業時の課題については下のグラフのようになっています。


これによると、各課題の中で、実際に資金調達(左端)を挙げる割合が最も高いことがわかります。
しかも、これは「創業時の課題」(赤ドットで着色部分)であって、「創業後の課題」(黄色ドットで着色部分)では、大きく後退していることがわかります。(中小企業白書の該当部分へのリンクはこちら

したがって、和歌山県のこの補助制度もニーズに応えているのは確かです。一般的に創業時の資金はなるべく自己資金を多くするということが定石なので、預貯金や親類縁者などからの借り入れなどに加えて補助金が100万円あれば、開業は楽になるでしょう。

しかし、気を付けなければならないのは、創業後の運転資金の確保のほうです。
原材料の仕入れや人件費の支払いなどの日々の事業に必要となる現金のことです。
起業を果たし、事業が順調に軌道に乗ってきた時、あるいは売掛金の回収が何らかの理由で遅れた時等に十分な運転資金がないと、経営は行き詰ってしまいます。多くの起業支援者が指摘するように、運転資金の重要性を自覚せず、十分な準備もしていない起業者は決して少なくないのです。

和歌山県統計年鑑(平成23年刊行)によると、 和歌山県の2009年度の人口は100万5710人(国勢調査推計人口)。うち、転入者が22470人。転出者が30099人となっています。転出超過傾向の中で100人程度のU・Iターン者は貴重とも考えられ、総額1000万円の補助金で起業を支援することも意味がなくはないのかもしれません。
スタートアップの時だけのバラマキにならないよう、県には事業継続のためのフォローと運転資金のための融資や投資の制度充実をぜひ忘れずにお願いしたいと思います。

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