2012年10月20日土曜日

伊勢古市「両口屋跡」の建物が解体へ

 今日は天気が良かったので、久しぶりに旧古市街道(伊勢神宮外宮と内宮を結ぶ街道で、江戸時代から明治時代にかけて芝居小屋や遊郭等が立ち並ぶ最大の繁華街だった場所)を散歩してきました。
 すると、なんと、旧両口屋旅館跡の巨大な建物がすっかり解体され、更地になってしまっているのに気が付きました。

 
 
 古市は大火や戦災によって、往時の繁栄をしのばせる建物はほとんど現存していません。
 ここにあった両口屋旅館は道路に沿って積み上げられた石垣の上に、長さ数十メートルにわたる木造の旅館建築が残っており、非常にシンボリックな建物だっただけに、青空がぽっかりと広がっているのが、何とも見慣れない光景で、ある種の空虚感を漂わせていました。
 
 

 戦前の伊勢市の歴史を丹念に振り返っているブログ「いにしえの伊勢」によれば、両口屋(角屋)という項目が置かれ、「古市の坂を上がり、三交バス倭町近くの三叉路に蔵をもつ家があります。ここは元、「角屋」という旅館兼寿司屋でした。しかし、2度の焼失の後、角屋を買い取った人が両口屋として旅館を経営しましたが、昭和45年に廃業したそうです。」という説明があります。
 
 わしが高校生の頃(昭和55年ごろ)には壁が赤っぽいベンガラだったような記憶がありますが、確かこの頃にはもうすでに空き家となっていたはずです。
  最近では相当に老朽化が進み、屋根は波打って瓦がずれ落ちそうであり、壁も羽目板が落ちて土壁がむき出しになっている箇所が多数あって、廃屋に近い状態でした。
 ひとたび地震でもあれば隣家や道路上に崩れ落ちてしまう可能性もあり、今回の解体撤去となったのではないかと想像されます。

 
 古いもの、懐かしいものが姿を消してしまう瞬間に立ち会うことは悲しいことです。跡地はどのように利用されるのか、これからも散歩するたびにウォッチしたいと思います。

■いにしえの伊勢 古市散策1 小田橋から倭町
 http://inishienoise.blog.so-net.ne.jp/2008-01-02

 

4 件のコメント:

jyugemu さんのコメント...

はんわしさん拙ブログのご紹介有り難うございます。私も先日現地を確認して参りました。「知られざる文化財」を残すのはとても難しいことですね。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

jyugemuさま
コメントありがとうございます。貴重な資料などをたびたび拝見しております。またいろいろ勉強させてください!

匿名 さんのコメント...

はんわし様
在りし日の両口屋をご紹介いただきまして誠にありがとうございます
2000年ごろまでは、住んでいました

小学校から帰って来ると、玄関のあがりはなに火鉢がありキセルに巻きタバコを刺しふかす着物の曾祖母が待っていてくれていました。
丸窓には桜の木が飾られ、とても風情のある生活でした。
うぐいす、高砂、橘、みどり、若松など各部屋に名前があり、台所ではなくお勝手と呼ぶ。

この度、更地になってしまいましたが、しっかり私の中に刻まれています。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

匿名さま
 住んでいらっしゃったのですか!
 大きな建物だったので、一般住宅に比べて何かと買っても違ったでしょうし、風情もあったのだろうと拝察いたします。
 所有者ではないので勝手なことを書きますが、古き良き古市の賑わいを今に伝える建物として、何とか保存できる方法はなかったのかと考えたりもいたします。
 コメントありがとうございました。