2012年11月8日木曜日

スマートホン絶望工場

日経ビジネスオンライン(11月7日付け)に 中国iPhone工場の憂鬱  という記事が載っています。(リンクはこちら
 
 

 米アップルのスマートフォン「iPhone5」の主力生産拠点であるEMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手の富士康科技(フォックスコン)の河南省鄭州市工場で、数千人規模のストライキが発生したニュースは日本にも伝えられましたが、その背景に迫った興味深いルポです。

 鄭州工場では10万人を超える(!)従業員が働いていますが、ある従業員によると、
「会社は『8時間労働』と言うけれど、実際には毎日2時間は残業しなければならない。残業を拒否すれば皆勤手当がもらえない。夜勤や休日出勤は当たり前で、繁忙期には月に1日しか休めない。」
  との過酷な労働条件であり、このため離職率が異常に高く、品質管理部門と生産現場の組立工との対立や、トラブルがあるとライン責任者は部下の中間管理職を怒鳴りつけ、中間管理職は現場の組立工を怒鳴りつける(時には暴力沙汰にも発展する)ことがごくありふれているという殺伐とした労働環境であることが伝えられます。

 この記事の結論は「労務管理の改善が必要だ」という至極もっともなものですが、その一方で従業員の中には仕事はきつくてもいいからたくさん稼ぎたいという人も多く、月100時間残業して4600元(約6万円)の月給を手にした人の話も出てきます。

 もっとも、このような労働環境が持続可能とはとても思えません。
 中国でも、改革開放政策が定着した90年代以降に生まれ、比較的裕福な生活環境の中で育った若者たちが社会の主役となりつつあり、労働条件の改善や格差の是正を求めて暴発する危険性が高まっています。

 日本も、かつては女工哀史的な過酷な労働搾取が行われていましたし、戦後の高度成長期も鎌田慧氏の名著「自動車絶望工場」に書かれているように、季節工(出稼ぎ労働者)の劣悪な労働条件が製写真の雇用を土台で支えているような構造が見られたのは事実です。
 しかし、 労務管理は次第に改善され、今では顧客満足度と共に、従業員満足度を高めることが生産性の向上や品質の向上に大きく貢献していることはほぼコンセンサスになっていると思います。従業員満足度と生産性の相関関係は客観的にも明らかであり、そのような良好な労使関係こそが日本の製造業の強みの一つとなっているからです。

 日本でも非正規労働が増えており(というか、非正規が雇用全体の4割を占めているので、もはや少数者とかイレギュラーを暗示する非正規雇用という雇用そのものがふさわしいのかという問題はありますが。)、必ずしもかつてのような大家族的な雇用関係は成り立ちにくくなっていますが、それでも、労使関係の強みは中国製造業に対して大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。

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