2013年10月8日火曜日

日本で一番伊勢えびを売るネットショップ・山藤(やまとう)

MIESC

 公益財団法人 三重県産業支援センター広報誌(季刊)MIESCの、2013年秋号の特集は「地域ブランドを生かす発信力」というものです。三重県南伊勢町の活魚貝類の卸売・加工販売業である(有)山藤が取り上げられています。

  山藤の山本社長に、わしは以前お目にかかったことかあります。
  たしか楽天のカンファレンスの会場で、楽天のコンサルタント社員の方から、「楽天市場で一番伊勢えびを売っているサイトの社長さんです。」と紹介された記憶があります。

  MIESCの記事によると、もともと山藤は家族経営で鰹節や魚の干物を製造していました。
 近くにある観光地・伊勢志摩のホテルや旅館に、食材や土産物用として干物の販売を行うようになって順調に業績を伸ばしましたが、現社長の代に替わった際に、固定客が中心の事業スタイルから脱皮する意味も込めて、新たに鮮魚の販売も開始したそうです。

  その販路開拓の一環として、当時黎明期だったインターネットショップも開設したのですが、当初はなかなか売れずに苦労したとのこと。実際にパソコンの前で商品を探している消費者の目線に立ったサイトへと改善を重ねたことで、次第に売り上げを伸ばしました。

  伊勢えびは、生簀で飼っている間や運搬中に、どうしても一定の割合で脚や髭が折れたものが出てしまいます。縁起物としての市場価値が激減してしまうこれらの伊勢えびを「訳あり伊勢えび」として格安で提供。
 このアイデアが当たり、楽天市場での伊勢えびの販売を大きく伸ばしました。(楽天カンファレンスでわしが紹介を受けたのは、このころのことだったのでしょう。)

■伊勢志摩魚屋 山藤(やまとう)  http://www.rakuten.ne.jp/gold/yamatou/

  この山藤のストーリーには、いろいろなヒントが含まれています。
  まずは、山藤が既存のビジネスモデルに安住しなかったこと。山本社長自身がMIESCの中で言うように、父親である前社長へのライバル心もあったとは思いますが、それがネット販売という当時はまだ未知の領域だった販売手法へのチャレンジにまでつながったことは、山本社長自身のチャレンジ精神が旺盛だったのだと思います。

  次に、ネットショップでも試行錯誤を繰り返し、最適な事業モデルを自ら作り上げていったことです。自分が努力したうえで、直接消費者からの声も聞き、楽天のようなモール管理者のアドバイスにも耳を傾け、自分で磨き上げていったビジネスモデルは、前へと進む確信を与えてくれたことでしょう。

  よく地域産業振興や町おこしの現場に行くと、生産者から次のような声を聞きます。
「うちの商品は、品質はいいのだが知名度が低いので、なかなか売り上げが伸びない。」
「誰にでも売る気はない。手作りと素材の良さが分かってくれるお客にだけ買ってほしい。」


 わからなくはないのですが、これはあくまで「作り手側」、「生産者側」の願望に過ぎません。地域産業はもはや全国競争になっており、現実問題として、日本の他の産地に比較して突出して味がいいとか、品質が優れているといった産物はほとんどありません。勤勉な日本人の特性で、よく言えば全国の物産は均質化しており、悪く言えば横並びなのです。
 そのような条件の中で、生産者が努力する方向性は、お客(消費者)の声を聞くパイプを何らかの方法で作ったうえで、そのニーズに沿った商品開発や販路開拓を行うことです。
 つまりは、今あるものを誰に、どう売るかではなく、売れるものをどう作るか、お客が買いやすくなるにはどうしたらいいか、を考えることです。

 地味ではありますが、着実な、そして立派な成果につながっている山藤の実例は大いに参考になると思います。MIESCは無料でネットで読むことができるので、ぜひご一読いただいてはどうでしょうか。

■公益財団法人三重県産業支援センター 広報誌 MIESC
  http://www.miesc.or.jp/web/magazine/index.htm

0 件のコメント: