2013年11月6日水曜日

飛び地合併商工会という社会実験

商工会のマークのいわれは?

 伊勢新聞によると、三重県南部の東紀州地域にある2つの商工会(紀北町商工会と御浜町商工会)の合併に伴う合併契約書調印式が11月5日に開かれ、両商工会長らが契約書に調印しました。

  この2つの商工会は、間に尾鷲市と熊野市を挟む形で存在していることから、両市をまたぐ「飛び地合併」となりますが、商工会の飛び地合併は一部の例 ~後に橋でつながり飛び地でなくなった本土と離島との例~ を除いて、全国で初めてとなるとのこと。

  新商工会は来年2月には県の認可を受け、4月から現在の紀北町商工会の場所を本部として「みえ熊野古道商工会」としてスタートする予定だそうです。 (11月6日付け リンクはこちら
 この合併については以前にもこのブログで触れました。(2013年5月30日 はんわしの評論家気取り 全国初の「飛び地合併」が、三重県で
 商工会は、商工会議所が主に市部にあるのに対してが、主に郡部(町村部)に設立されており、中小企業の中でも家族経営などのように従業員数が少ない「小規模事業者」の経営を支援することが主目的の組織です。

  市部に比べて、町村部は一般的に過疎化や高齢化が進んでいます。産業構造を見ても農林水産業や建設業が比較的多く、しかも中山間地域など地理的に不利な地域も多いなどの特徴があります。中小企業の経営も、コストが高くなるのに比べ、顧客(市場)が縮小していく袋小路に陥っています。
 御浜町商工会のホームページにあるように、地域における中小企業の数そのものが漸減傾向にあります。加えて近年は、中小企業が抱える経営課題も高度化、複雑化しており、せいぜい1~2名の経営指導員を抱えているに過ぎない単独の商工会では、対応が難しくなっている状況も顕著です。その意味では、熟慮の上での合併は、商工会という組織の生き残り策として現実的な一つの方策といえると思います。

 もちろん、本質的な問題は、合併して何をやるかということです。弱い組織がいくら合併しようともそれは弱者連合であって相乗効果は何ら見込めないからです。
 今回の事例で注目すべきなのは、紀北町商工会が全国的に有名な「やり手」の商工会であるということです。

 現在、経済産業省では中小企業政策審議会が開かれていますが、その席上で全国商工会連合会が配布した資料の中でも「商工会による経営支援の事例」として紀北町商工会の「地域の小規模企業が商社、商工会が広告代理店」と題した活動が取り上げられているほどです。(配布資料のリンクはこちらを)
 紀北町商工会は、10年以上も前から、首都圏の市場をにらんだ紀伊長島ブランド(地域ブランド)の確立や、海外展開(海外市場のマーケティングと新商品開発、販路開拓)といった、当時はまだ全国的にも珍しかった取組みを主導してきました。
 今になって国が法律を作り、県などが進めている地域資源活用や地域ブランドなどの施策は、紀北町商工会のような全国の先進的な事例を参考にした(パクッた)ものなのです。

  このブログでは何度も触れているように、紀北町や御浜町がある三重県東紀州地域は今、高速道路紀勢自動車道の延伸、自動車専用道路熊野尾鷲道路の開通といった「交通革命」を迎えています。
 大都市圏への出荷時間が大幅短縮する農業・漁業をはじめ、アクセス向上によって観光客の大幅な増加が見込まれる観光産業や6次産業が飛躍するチャンスを迎えています。
 その環境変化の中で、新しい飛び地合併商工会がどのような役割を果たせるのか。
 地域振興や地域産業活性化に関心を持つ人々にとって非常に興味深い社会実験が始まると言ってよさそうです。

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