2014年2月13日木曜日

継続の難しさ

 尾鷲市にある、物産販売・レストラン・浴場の複合施設である 夢古道おわせ の名物であった、レストランの「お母ちゃんのランチバイキング」から、NPO法人 天満浦百人会 が3月をもって撤退することが決まったと報じられています。

 ランチバイキングは、尾鷲市内の主婦グループなど3団体が、1週間交代で調理を担当する仕組みになっており、尾鷲特産の魚介類や甘夏みかん、野菜などの食材を使って、それぞれのグループが趣向を凝らしたランチメニューを提供しています。

 この手作りのお母ちゃんの味は尾鷲市内外から多くのファンを集めると共に、地域振興に携わる関係者の間からも高く評価され、平成20年4月には経済産業省表彰である「農商工連携88選」に選定されると共に、平成22年3月には農林水産省の「第19回食アメニティコンテスト」大臣賞を受賞しています。

 天満浦百人会は、平成19年に夢古道おわせがオープンして以来、参画し続けてきた団体でした。しかし報道によれば、中心メンバー全員が65歳以上となり、「立ち仕事で重労働。年齢には勝てない」と3月いっぱいでレストランから撤退することを決めたとのことです。(平成26年2月4日付け 読売新聞より)

 この問題は、いわゆる「地域おこし活動」の難しい面をよく表しています。
 今や、全国の市町村レベル、特に中産間地域や離島など過疎化や少子化、高齢化が顕著な、いわゆる「条件不利地」では、多くの(ほとんどの)地域が、その土地に固有の特産物や自然環境などを「地域資源」として、それらを活用した商品やサービスの開発、都市部への販路開拓、都市部からの観光客誘致などに取り組んでいます。
 失われた20年は日本の経済を全体を縮小均衡させましたが、中でも「地方」の危機感は相当なものがありました。国も地域資源活用促進法、企業立地促進法、農商工連携促進法などの「都市部と地方の経済格差を是正する」という名目の法律を次々と成立させ、これら地域産業振興のために莫大な予算をつぎ込んだのでした。

 その結果、多くの地域資源活用ビジネスが立ち上がりました。
 そして、全国各地で、次のような一つの「流れ」や「型」ができあがっていったのです。
1)まず住民たち自身が、身近にある地域資源を再認識する(地域の宝探し活動、などと言われました)
2)そしてこれらの資源(ものだけでなく、風景や観光資源も含みます。)をどう製品やサービスに変えられるか、つまり「商品化」できるかを考える
3)あるいは、これらの商品を使ってビジネスモデルを構築できるかを考える
4)そして商品を都会の消費者に売り込んだり、都会からの集客のためにプロモーションを行う
 これらの取り組みが、莫大な補助金をバックに、全国各地の行政機関、商工会議所や商工会、民間コンサルなどが入り乱れて行われたのでした。

 もちろん、この夢古道おわせのように取組みが功を奏し、ビジネスとして成立し、地域雇用の確保や交流人口の拡大に貢献した例も多々あります。これは間違いないことです。

 ただ、残念なことに全国ほとんどの地域では、ビジネス的な成功はしていません。
 これにはいろいろな原因があって長くなるのでまたの機会にしますが、一言で言えば、地域にある地域資源とは、そこの住民にとっては誇らしく、唯一の価値があるものだと信じていても、全国的に見渡せばどこにも似たような産品や景色はあり、しかもプロダクトアウト的な発想で商品化しても目が肥えた都会の消費者には全くアピールしない、ということです。
 厳しいですが、これが現実です。

 そして、わずかな地域活性化の成功例においても、事業が起業して安定飛行に移ってくると、マンネリ化する経営の革新(イノベーション)や、後継者の育成が次の大きな問題となってきます。そして、多くがこの壁を乗り越えるのに悪戦苦闘しているのです。

 わしが記憶している限りでも、三重県飯高町で地域一帯が農家民宿となり、全国から山村のファンを招いていた「月出の里」が、やはり住民の高齢化と後継者不足で数年前に惜しまれつつ民宿街を廃業しています。
 
 これなど、当時の飯高町役場と住民、商工会、農協などの官民一体による成功例だっただけに、事業を継続する難しさ、運営組織のモチベーションを維持し続ける難しさを知らしめた出来事でした。

 今でも、地域ビジネスの中心人物たちに話を聞くと、「何とか若い人を仲間に入れたいが、今の人は自分達の世代のような濃密な近所づきあいを嫌うことや、給料のいい地域外のパートやアルバイトに行ってしまう人が多い。この活動もあと何年続けられることか・・・」という切実な答えが返ってくるのをわしは良く経験します。

 以前このブログにも書いたように、日本の地域おこし、地域活性化の取り組みは、アーリーステージは完了し、事業として、組織として、どうマネジメント(経営力)を強化していくかに焦点は移っています。
 突き詰めれば、それは経営力を持つ人(スタッフ)をどう確保し、どう育成していくか、という問題ですが、そもそもの前提である「過疎化、少子化、高齢化」は変わらない前で、人材確保に苦労する  ~というか、ほとんど不可能~ という事態に直面するのです。
 大変難しい問題です。

 天満浦百人会に話を戻せば、レストラン以外のまちおこし活動は継続するとのことですし、天満浦百人会が担当するランチバイキング(2月24日〜3月2日、3月17日〜23日)は全力投球するとのことです。永らくご苦労さまでした。


■ 夢古道おわせ   http://yumekodo.jp/

3 件のコメント:

maro さんのコメント...

確かにこの手の事業は新たなフェーズに入ってきたと思います。
夢古道は、事業活動としてだけみると(様々な無理がある)レストラン部門は撤退し、風呂を核とし、物販とカフェを行う方が健全です。
しかし、市がこの施設においてどのような方向性をもっているのかは未だに分かりませんので、これ以上の展開は望めそうにありません。

匿名 さんのコメント...

寂しい。松井さんら好きやった。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

コメントありがとうございます。
maroさま>わしは個人的には、観光施設の核としてはレストランは欠かせないと思いますし「おかあちゃんのバイキング」は尾鷲ならではで(よそで同じことをした例もありますが撤退や縮小しています)、いいのではないかと思います。やはり正攻法としては、後を継いでくれるグループを育成することではないでしょうか。

匿名さま>いつもありがとうございます。