2014年2月6日木曜日

アンテナショップは赤字でもやむを得ない(ふたたび)

 三重県庁が、アンテナショップとして昨年、東京都中央区に開設した「三重テラス」の運営状況を公表しました。
 単なる物産販売施設やレストランであれば、赤字ではそもそも経営が成り立ちませんから売り上げの向上とコストの節減は不可欠になります。しかし、アンテナショップとは、地域の産物や観光情報を地域外の市場に提供してマーケティングを行うことが目的であり、いわば一種の「戦略的施設」であって、運営が赤字になることはやむを得ません。

 この点、たとえば「(三重テラスの)連日のイベント開催が誘客効果を発揮した一方で、物販・レストランの売上額は七千七百万円余りと伸び悩んでいる。」などと報じている中日新聞の記事は、ややピントが外れているように思います。(2月6日付け「足りてる?生鮮食品 東京・三重テラスで物販伸び悩み」 リンクはこちら

 新聞記者は、以下のような質問をすべきだったのです。(もちろん、本来は新聞記者自身が調べるべきことです。)

その1 運営のためにどれだけのコストがかかっているのか?
 記事にもあるように、三重テラスでは毎日のように三重県をPRするイベントが行われているようです。その効果によって、来館者が昨年9月のオープン以来、今年1月末までの累計で18万4千人あまりになっているという書きぶりです。
 しかし、そのために、どれくらいの経費がつぎ込まれているのかとは考えないのでしょうか。
 そもそも、行政の予算経理は複式簿記でなく、現金をいくら支払ったかという小遣い帳方式なので、モノとカネの関連性がわかりにくいのは事実ですが、それにしても、いくら経費が投入されて~もちろん、人件費も~、どのような成果が出たのかはワンセットになっているべきで、そこに考えが及ばないのは不可解です。

その2 客単価はいくらなのか、坪単価はいくらなのか?
 記事にも、そしてこの記事のもとになったと思われる三重県庁の発表資料にも、来店者数と売上高は記載があるのですが、これ自体に大きな意味はありません。
 問題は、ショップやレストランで一人一人のお客さんが実際にいくら使ったかであり、アイテムやメニューの価格設定に比べて、お客さんがこちらが期待しているようなおカネの使い方をしてくれているのかどうかということです。わしがざっと計算したらこのような感じになりました。


 これによると、ショップの平均客単価は300円、レストランは2700円です。あくまで感覚ですが、都心という立地に比べて客単価が低い印象は否めません。この原因は何かを考えるほうが重要です。
 あわせて、売り場の面積がいくら稼いでいるかという「坪単価」も大事な指標です。この三重テラス、ビル所有者に支払う年間の賃料が5千万円以上と言われています。坪単価を計算すれば、賃料がペイするのかの参考にもなるでしょう。

その3 そもそも本来の目的は達しているのか?
 三重テラスに来たお客は、ここに来て、ここで買って、食べて、あるいは体験して、本当に「三重県のファン」になったのでしょうか。今後、三重県のものを買う、三重県に観光に来る、といった具体的な消費行動に結びついているのでしょうか。
 また逆に、ここに産品を卸している三重県の生産者やメーカーは、ここでのお客の反応や声をきちんとフィードバックされ、それらを商品やサービスの改良・改善に結び付けているのでしょうか。
 三重テラスの本来の目的は、まさにここにあるはずです。そのために、県はどのようなリサーチをし、その結果をどう分析しているのでしょうか。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ショップの客数はレジ通しではなく来店者数だと思います。三重テラスで取り扱っている商品で300円とかいうものはなかったような。レジ通しならおそらく倍になっていると思います。
私が行った時もショップもレストランもがらがらでしたけど。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 正直申しますと、わしはまだ行ったことがありません。
 日経MJや商業界にもほとんど取り上げられていないし、わしが信頼する流通関係者でも(県の関係者や出店している関係者以外から)三重テラスの話を聞いたことがありません。首都圏では話題にすらなっていないのが実際ではないかと思います。(しかし、競争が激烈な東京ではそれも無理もありません。)
 なのであまり関心がないのです。今回は話題提供ということで。
 コメントありがとうございました。また御教示ください。