2014年4月24日木曜日

浜田典保氏が赤福社長を退任へ

 三重県伊勢市にある「赤福」が、先日の臨時株主総会において社長である浜田典保氏を解任し、その後の取締役会において、典保氏の母である勝子氏を新社長に選んだことを各紙が報じています。
 浜田典保氏は平成17年に父親であり勝子氏の夫である浜田益嗣氏から社長の座を譲り受けましたが、平成19年には赤福の会社ぐるみによる消費期限偽装問題が発覚。典保氏は事態の収拾に奔走し、会長に就任していた益嗣氏は、社長在職時の不祥事であったことから責任を取る形で会長を辞任していました。
 典保氏は父親である益嗣氏の個人商店的な体質が強かった赤福の経営改革に着手し、「家業から企業へ」という経営方針により近代的な企業経営への転換を図り、民間信用調査会社によると、平成20年9月期に64億円だった売上高は、平成25年9月期には92億円を超えるまでになり、その経営手腕は高く評価されていました。

 興味深いのは、
 関係者によると、勝子氏を中心に、(益嗣氏)自身に近い親族らによる「家業型」の経営スタイルに立ち戻ろうとしているという。こうした方針の違いから2人の対立が深まっていたという。典保氏は新体制で代表権のない会長に退いた。
 今回の解任について、従業員からは、信頼の厚い勝子氏の社長就任を歓迎する声がある一方「いわれ無き解任」と典保氏を擁護する声もあるという。
 
  勝子新社長は同日、「従業員の皆様へ」とする文書を社内で配布し、経営体制の刷新を「益嗣・勝子が判断した」とした上で「未来に向けた経営を志向するもので、『のれん』に象徴される理念に基づく経営や、女性の積極的な登用などを進めたい」などと説明している。
 とYahoo!ニュース(毎日新聞)などが伝えていることです。

 典保氏の経営改革は、赤福が日本を代表する老舗であり、一般的には改革が難しいレガシー組織であると認識されている中で着実な成果を生んだとして、特に経営者の二代目が多い青年会議所においてベンチマーク事例として多く取り上げられています。典保氏もそのような場には積極的に出向いてみずからの理念を熱く語っています。

 たとえば、豊橋青年会議所の平成25年4月例会では次のように述べています。

 一番の悩みは父親です。私としては社長でありながら、中間管理職的な側面をもって、若い社員をどうやってその気にさせるか。組織をどんどん革新していく必要があり、古さが伝統であるというものはもう通用しない時代であり、組織をメンテナンスしながら、新しい時代に対応していかなくてはいけない。そこで、古い伝統を重んじる世代と、新しい世代をどうやって調整するかが問題になるわけです。
 正直なところ、親父の対応は大変です。あの世代は個性とカリスマ性で組織を引っ張ってきた人達であり、絆とか共感はなく、とりあえずついてこいというスタイル。我々の時代はちょっと違います。そのようなやり方よりも、如何に社員をその気にさせるか。変な話、神輿は軽い方がいいのです。重い神輿は担ぐのが大変で、重たいリーダーよりも、軽いリーダーの方が、皆に負担をかけずにその気にさせられる。(豊橋青年会議所ホームページより リンクはこちら

 これは非常に示唆に富む話です。
 家業を近代的な企業に改革するイノベーターたらんとしていた ~そして、それは現実に花開いていた~ 典保氏が、志半ばで、仮に「不本意」に社長の座を退くことになったのだとすれば、それは同じような課題を抱えて奮闘する多くの二代目若手経営者にとって、そして、日本の地場産業、伝統産業界にとっても大きな損失といえるのではないでしょうか。

3 件のコメント:

三碧星 さんのコメント...

事態の推移を見ないと何とも・・・
降格ではなくて解任、しかも御母堂が社長就任というのは、親族経営の基盤を固めようとしているのか、それとも前会長の健康問題が?

典保氏に何か新しい会社を起こさせようとしているのか、「まだ明らかにはなっていない問題」について、発覚前に愛息子を遠ざけたのか?

今、検索してみたのですが、典保氏はツィッターは利用されておられないのですね。その点、非常に堅実な方だと思われるのですが、御本人のリアルタイムな実情が分からない以上、事が穏便に収まることを祈らざるを得ません。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 新聞によると、昨年秋ごろから経営方針の対立は表面化してきており、社内では社長交代のうわさが早い段階から出ていたとのことです。
 今回の件を評価するには情報が少なすぎるし、そもそも部外者が言うべきことではないかもしれませんが、老舗ゆえの保守性が、現在の閉塞した日本社会を象徴しているようにも思えます。

三碧星 さんのコメント...

一日の新聞を読むと典保氏はお元気そうなのですが、近況についてご存知でしたら続報よろしくお願いします