2014年5月6日火曜日

知る人ぞ知る、京都・船岡温泉に行ってみた

 京都市街地の北西部、西陣と呼ばれる地域は、昔は高級着物である西陣織の産地として、それはそれは景気がよく、繁栄した土地だったそうです。しかし残念ながら、現代の都市交通にとって要ともいうべき、鉄道や高速道路は西陣を通っていません。そのため西陣織産業の衰退も相まって、今では繁華街というより、閑静な住宅街と近隣商業地というイメージが強くなっています。
 往時の繁栄の名残りはそこかしこに残っていますが、その代表的な建築物の一つが、マニアの間では非常に有名な 船岡温泉 という公衆浴場(銭湯)です。


 写真が下手で恐縮ですが、高級そうな巨大庭石がまるで要塞のように築きあげられたその奥に、立派な破風の玄関を持つ純和風建築が建っています。これが船岡温泉で、大正12年に、元々は料亭として建築されたものだそうです。


 ちなみに、この場所は鞍馬口(くらまぐち)通りという市中の東西を結ぶ、道幅5mほどの路地に面しており、あたりは商店街や住居が連なっている一角です。そこに忽然と建っているのです。

 ホームページによれば、料亭であった船岡楼が銭湯に改修されたのは昭和8年のことです。京都に限りませんが、その当時の日本の住宅密集地のほとんどは、家屋が狭小であったり、火災を防止する観点から、内(家)風呂を持つところはほとんどなく、住民は銭湯を利用していました。
 船岡温泉は、今では一般的な電気風呂を日本で最初に導入するなど先見性に富んだサービスを提供し、好評を博していたようです。
 しかし何と言っても有名なのは、料亭を流用した豪華な建屋であり、脱衣所の男女の仕切りに設けられた欄間や、極色彩のタイル壁です。建築当時は超モダンな、今となってはウルトラレトロな内装は、利用客の目を引かずにはおられないものだそうです。

 わしは、実はかなり前から船岡温泉自体の存在は知っており、何回かこの前を通ったことはありました。しかし、京都のいわゆる有名観光スポットに近いという訳でなく、客層もあくまで地元住民なので、わざわざここに入りに行くという機会もなかったのでした。
 今年の連休はわりとゆっくりめに日程を組むことができたので、思い切って行ってみることにしたのです。
 行く方法はもちろんいろいろあるのですが、遠方から行くことを想定すると、京都市バスの千本鞍馬口バス停で下車し、鞍馬口通りを東に200mほど歩く方法が一番分かりいいかと思います。(京都駅から市バスの206系統で30~40分です。)

 冒頭で「マニアの間で有名」と書きましたが、インターネットでもさまざまな人が入浴記を書いているためか、国内はもちろん外国からのお客さんも多いようで、わしが行った時間(午後3時ごろ)は外国人の3人連れが前で記念撮影していました。

 破風の入口から入っていくと、玄関は意外に狭く(何と自動ドアでしたが)、下駄箱に靴を入れて、正面の番台で入浴料を払います。大人は410円です。料金表の下に、国の登録有形文化財であることを示す銘板が掲げられています。(ご主人に了解を得て撮らせてもらいました。)


 この写真にもちらっと左上に移っていますが、欄間は木製で、京の歳時記とか、建築当時の時事的なモチーフが彫刻されています。
 葵祭や賀茂競馬(上賀茂神社の神事)などが彫刻されていますが、有名なのは昭和7年に勃発した第1次上海事変において、爆弾を抱えて相手陣地に自爆攻撃を行った「爆弾三勇士」の彫刻です。三勇士は勇猛果敢な美談として戦時下の国民に広く知られることとなり、船岡温泉もそれを讃えて後世に残そうとしたのかもしれません。
 ほかにも牛若丸の立体的な(浮き彫り?)の天井画とか、いろいろキッチュなものがあり、脱衣場のこれらのオブジェを見ているだけで10分15分はすぐに経ってしまいます。(残念ながらというべきか、脱衣場と浴室は撮影禁止です。当然ですが。)

 肝心のお風呂ですが、まず打たせ湯、次に普通の浴槽、薬湯、電気風呂、泡風呂、ヒノキ風呂があり、さらにサウナ、そして露天風呂(冷水と温水の2つ)があって、全部で10種類くらいあります。スーパー銭湯のように広くはなく、洗い場も普通の銭湯 ~水のカランと湯のカラン、それに固定式のシャワーがあり、自分で風呂桶とイスを置いて洗う方式。石鹼やシャンプーは原則としてお客が持参~ です。
 わしが行った時間は空いていましたが、それでも10名ほどお客さんがおり、半分は地元客とお見受けするご老人、半分は若い人(たぶん観光客)でした。

 1時間ほどのんびりして風呂を上がり、着替えて外に出ると、やはりごく普通の街の、夕方の日常光景が広がっていました。
 番台の方に伺ったところ、当分の間は年中無休で、一応、午後3時から深夜12時ごろまでが営業時間ですが、休日は朝8時ごろから開けているそうです。観光客もたくさん来るので一見さんも安心して来てくださいとのことでした。

■船岡温泉街 キングオブ1010(せんとう) http://www.kyo1010.com/feature/funaoka/

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

京都駅からですと、9系統のバスで堀川鞍馬口で降りて、鞍馬口通りを西に行くほうが近いです。

>>京都のいわゆる有名観光スポットに近いという訳でなく

徒歩圏内に大徳寺、建勲神社、今宮神社などがあります。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 ご教示ありがとうございます!
 実は船岡山はわしの個人的なパワースポットで、伊勢から京都へ船岡山だけが目的で何度も行っています。
 でも船岡温泉だけは不思議と縁がなかったのでした。