2014年5月7日水曜日

(求人情報あり)NPO向け融資のリスクは高くない

 コミュニティ・ユース・バンク momo の木村さんから情報提供があったのでメモしておきます。しかし、これは非常に注目すべき話だと思うので、どうぞ最後までお読みいただきたく。

 momoについては、このブログでもすでに何度かご紹介しています。
 ごく簡単に言えば、通常の金融機関が融資しないようなNPOの事業やコミュニティビジネスに対して融資を行う、いわゆる「NPOバンク」とか「市民バンク」と呼ばれる組織です。
 貸し付けの原資は、NPO活動などに関心を持ち、それらに共感する一般市民から出資を募って造成されたもので、momoのコンセプトである「お金の地産地消」という言葉がまさにぴったりの仕組みです。設立されたのは平成17年ですから、もう9年も前です。

 ではなぜ普通の銀行はNPOに融資しないのでしょうか? 一つには融資額が少額すぎて貸し手の儲けにならないこと。もう一つは、非営利事業であるNPOや収益性が低いコミュニティビジネスは、貸し倒れリスクが高いと考えられるためです。
 しかし、木村さんによれば、NPOに対する融資リスクは一般企業に比べて高いわけではありません。

  momoでは事業開始から2014年2月末までに、45件、累計1億円超の融資をNPOに行いましたが貸し倒れはないとのこと。また、東京にある西武信用金庫によるNPO向け融資で返済不能(デフォルト)に陥ったのは、過去10年間で203件中1件だけだったそうです。
 大きなリターンは望めないにせよ、地域の金融機関、特に地銀や信用金庫にとっては安定的な貸出先だとも考えられ、ここに着目した木村さんは、ある意欲的な取り組みを仕掛けました。

 それは、地域密着型の金融機関である「信用金庫」の職員約50名に、信金の業務で培ったスキルや経験を活かして、momoの融資先(つまり、NPOなど)の事業を支える活動に、「プロボノ」として勤務時間外に従事してもらったという極めてユニークな取り組みです。
 ちなみに、「プロボノ」とは、この例で言えば金融の知識や、あるいは医療、法律、会計などといった高度専門的な知識を持つ人材が、本業とは別にボランティアとして社会貢献活動に対し、その知識を生かす活動です。欧米ではエリート層のステイタスとしてプロボノが認知されており、日本でも徐々に広がり始めているそうです。

 momoによるプロボノ・プロジェクトに参加したのは瀬戸信用金庫と東濃信用金庫の2つで、ボランティア職員は、NPO活動による社会課題の解決がもたらす「定性的」な価値を、金銭価値に換算して「定量的」に示す、SROI(Social Return on Investment)という指標によって測定することに取り組みました。これが昨年、平成25年度のことです。

 今年度は、瀬戸信金、東濃信金に加えて新たな金融機関の参画も促してプロボノを継続する予定であり、momoでは現在、その業務のためのスタッフを募集しています。
 勤務地は名古屋市内。フレックスタイム制で給与は月20万円程度。応募資格は特にありませんが、若者のボランティアコーディネートや金融機関勤務の経験者を優遇するとのことです。これは当然そうでしょう。ご関心がある方は、ソーシャル・NPO・ベンチャー求人情報のDRIVEをご覧ください。(リンクはこちらです。)

 地域の金融機関にとって、貸出先がないというのはここ10年ほどの深刻な問題でした。大きな設備投資を伴う製造業は国内製造を縮小するという合理的な経営的選択を進めており、かといって金融機関は成長企業を自ら目利きすることもできず、資金がだぶついていることが指摘されていました。(最近になって貸出残高が増加傾向になってきたことが報じられています。)

 そこで地方銀行では、有望な貸出先が多い都市部へ競って出店していますが、これは多くの預金者が素朴に感じている「自分の預金は地域の経済活動のために役立ててほしい」という感情にそぐわない事態を生んでいます。もちろん金融機関としてはやむを得ない選択でしょうが、一方で、現実には地域に役立っているコミュニティビジネスでありながら、運転資金や新規投資資金に事欠く事業者が多くいるというミスマッチを生んでいます。

 この解決は、往々にして補助金のバラマキや「企業誘致」しか手段のない行政(国や自治体)には、ほぼ不可能です。地域市民による志のあるおカネ(志金)を地域で循環させる仕組みの確立がぜひとも必要です。
 地域振興、もっと言えば地域産業振興は、すでにこのようなフェーズに移行しており、いち早くこの循環を確立した地域こそが、経済的足腰が強い自立した地域として評価を受けることになるでしょう。
 今回のmomoの求人は、困難なミッションですが、意欲的な、そして全国が注目している仕事だと感じます。


■コミュニティ・ユース・バンク momo   http://www.momobank.net/

2 件のコメント:

三碧星 さんのコメント...

 もう十年以上前の週刊誌に、マイクロファイナンス、インドのグラミン銀行の記事が掲載されていました。
 グラミン銀行の創設者はノーベル平和賞を受賞しています。経済学部門ではないのは、欧米の経済学者の立場が無いためなのやら・・・

 日本で小額融資となるとサラ金のシノギと絡むためなのか、なかなか浸透しません。本来市況を知るための手段としても、多種多様な融資案件に接することが銀行としても利点であるはずなのですが、日本国内での大型投資先が激減している現状、大都市や国外の資金運用に向かざるを得ないのでしょうね。その弊害で、本来情報通であらねばならないはずの銀行が市況に疎くなっていく。

 大手銀行も消費者金融を傘下において、情報を仕入れた後で、過払い借金訴訟で毟られていく業者をメシウマで見守っている状況。小額融資が日本でも日の目を見るのは、まさにこれからかもしれませんね

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 わし、この三碧星さんのコメント読んでいて思ったのですが、サラ金って規制が厳しくなったですよね、数年前。
 過払い金返還訴訟代行ビジネスも、この時からブームになったはずです。
 で、その時、消費者金融への締め付けが厳しくなると高利貸しが地下に潜り、よけいに事態が悪化する、みたいな議論があったと思うのですが、それって実際はどうだったんでしょうね。
 景況が回復してくると、またこの問題が顕在化するかもしれませんね。