2014年5月28日水曜日

JR津駅ではTOICAが使えない

 先日、津市にJRでやって来たお客さんが、「津駅ではTOICAが使えないのですね!」
と言って驚いていました。
 TOICA(トイカ)とはJR東海が運営しているIC乗車券で、簡単に言えばSUICAのJR東海版です。
 ただしSUICAと大きく異なる点の一つは、TOICAはJR東海の主要幹線以外の在来線では、つまり「ローカル路線」ではそもそも使用できないということです。
(TOICAの利用範囲はこちらです。)

 三重県内のJR路線では、関西本線のうち四日市駅までの区間でのみ使用可能ですが、四日市以南の関西本線と、紀勢本線の全線、名松線の全線、参宮線の全線では使うことができないのです。つまりIC乗車券が使える区間は、三重県内のJR東海の総延長(約300km)のうち10%ほどしかないのです。
 
 三重県は、平成25年の観光客数(推計値)は4千万人を超え、現在の集計方法になった平成17年以降で最高の数字となりました。この記録は伊勢神宮の式年遷宮の集客効果が大きかったと言われていますが、このように多くの観光客を集める三重県のJR東海のインフラはなぜここまで貧弱なのでしょうか?

 三重県内にある鉄道路線は、東西に近接する名古屋と大阪からの路線について、それぞれJRと近鉄が並走している構造になっています。これも言うまでもなく、国家神道の聖地であった伊勢神宮へ関東、関西からの参詣客の運ぶためで、三重県の人口規模や都市集積度から見るとやや過大な鉄道インフラと言えると思います。
 しかし実態としては列車の運行本数、所要時間、運賃、車両や駅の設備面などほとんどあらゆる点で近鉄がはるかにJRに勝っており、運送旅客数の比率でいうと近鉄とJRは8:1くらいの圧倒的な差が生じています。
 また、近鉄はほぼ全区間で一部の無人駅などをのぞいてIC乗車券(PITAPA)が使用可能です。

 JR東海にとっては輸送量が改善する見込みもないためか、四日市駅以南は電化も複線化もされておらず、津市はJRが電化されていない(ディーゼルカーのみの)数少ない県庁所在地です。
 ましてやICカードの設備投資などできないということなのでしょうが、これは観光振興に注力している三重県当局や沿線の市町、さらに観光施設にとっても非常に残念な姿勢ではないでしょうか。

 言うまでもないことですが、現在はスマートフォンが普及しており、さまざまな企業がスマホにカードリーダーを装着することで簡単にクレジットカード決済できる機能を提供しています。(たとえば、楽天スマートペイとか、コイニーとか)
 これらは、小規模な小売店などがクレジット決済機能のついた高額なレジなどなかなか設備投資できないことから、簡易な決済手段として普及を進めたもので、商店にとっても顧客にとっても双方にメリットがあるサービスです。
 IC乗車券でもこのような決済は決して不可能ではないはずです。少なくとも技術的な課題が障害になるとは思えません。
 むしろスマホでもTOICAをどんどん普及させるほうが結果的に列車運行の定時性が確保できるのは確実ですし、何よりIC乗車券が常識の都市部からの観光客、ビジネス客の利便性を向上させることも間違いありません。

 よく言われるように、観光振興とは地域の総力戦で、観光資源を提供する観光施設や宿泊施設だけでなく、行政も、住民も、各セクターが目線を同じにして訪問客をもてなす姿勢が重要です。もちろん、鉄道、バス、タクシーなどの交通事業者もその重要な当事者であり、率先して改善に取り組むべきだと思いますが、どうもJR東海だけはその意識が希薄なようです。

2 件のコメント:

三碧星 さんのコメント...

電化路線で架線が張ってあったり、鉄道用ケーブルで高速通信網が完備してあれば、
列車が往来するだけの線路用地を遊ばせることなくケーブルTVやネット事業も展開できるはずなのですが。

一番簡単な、各駅舎に電話会社の基地局を作る、ということもしていませんし。

「へたに他業種に手を出すと、被災して廃線にするときに余計な手間がかかる」ことを恐れているのかもしれません。

はたからみていると、鉄道会社って、もっと色々と面白いことが出来そうな気がするのですが・・・

半鷲(はんわし) さんのコメント...

東海に限りませんがJRは各社とも多かれ少なかれ官僚的で、特にローカル線の経営は積極性のなさが目立ちます。
 わしが心配なのは紀勢自動車道の全通によって紀勢本線の存続がますます危うくなるのではないかということです。仮に大規模な災害でもあって不通になればそれを奇貨として一気に全面廃止に持っていく・・・・これは最悪のシナリオですが。