2014年6月19日木曜日

日産が「水と空気」で走る電気自動車を実用化へ

 日本マイクロニクス(本社:東京都)が開発したBattenaice(バテナイス)なるシート状の電池を見た時は本当に驚きました。
 外観は完全に、ペラペラなプラスチックのシートですが、充電と放電を1万回以上繰り返すことができ、もちろん折り曲げても性能はまったく変化しません。使用方法は無限にあるでしょう。

 これは通常の電池とは全く原理が異なる「量子電池」というものだそうで、日経新聞の記事によると
・絶縁膜(絶縁性樹脂または無機絶縁物)で覆ったn型金属酸化物半導体〔例えば、二酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)など〕の微粒子を充電層に用いたもの。
・製造の過程で、同充電層に紫外線をある条件で照射しておくことで、n型金属酸化物半導体のバンドギャップ(価電子帯と伝導帯の間の幅)内に新たなエネルギー準位が多数形成される。充電によってそれらの準位に電子を入れ、放電時にはそれらの準位にある電子を放出させることで、二次電池として機能する。
 というものだそうで ~もちろん、この説明、わしにはまったく理解できませんが~ 、液漏れの心配がない、発火の心配がない、レアメタルを使わないので資源調達の不安がない、充放電サイクル寿命が長い、出力密度が高い、などといった優れた性能があるそうです。

 しかし今日GIGAZINEを見たら、ルノー・日産が空気アルミニウム電池車なる電気自動車を2017年ごろに実用化する見通しという記事が載っていました。この車、なんと燃料は、水と空気だけだというのです!

 この自動車を開発したのは、イスラエルにあるPhinergy(フィナジー)社と、世界有数のアルミメーカーであるAlcoa(アルコア)社のカナダ法人の開発チーム。

 空気アルミニウム電池とは聞き慣れませんが、空気中の酸素をアルミで反応させることによって発電する電池で、原理自体は昔から知られていましたが、実用化にはさまざまな課題がありました。
 開発チームの電池は、負極の電極(Metal Anode)に薄いアルミ板が用いられており、これに電解液(Electrolyte)となる水と、正極としての空気の層(Air Cathode)が配置される構造です。
 通常の電池では正極にも金属を用いる必要があるのですが、今回はこれを空気に置き換える技術が開発されたことで大幅な軽量化が可能になり、高い重量エネルギー密度を実現して長い航続距離を得ることになったそうです。
 また、空気アルミニウム電池は、電池の中で化学反応を起こしたアルミ電極が水酸化アルミニウムに変化し、やがて電極として利用できなくなってしまうという問題もありました。そこでフィナジー社では、アルミ板を交換可能な「カートリッジ式」とし、寿命になったアルミ板は取り外して再利用するサイクルシステムを取り入れました。

 空気アルミニウム電池を搭載した車両はすでに走行実験を済ませており、シトロエンC1を改造した試作車がF1カナダGP会場のジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでデモ走行した様子が公開されています。


 肝心の、ルノー・日産がこの開発チームとどうかかわっているのか、そして、実用化はどのようなスケジュールとプロセスで実現する予定なのかについては記事の中では明確には触れられていないのですが、いずれにせよ、水と空気で走るというぶっ飛んだクルマが世に出てくるのも、そう遠い将来ではないのかもしれません。

 しかし、それにしても科学技術の進歩はすごいものです。再生可能エネルギーにせよ次世代電池にせよ、たくさんの技術がそれぞれの優位性を持って競い合いせめぎあっており、一体どれが実用化に一番近いのかは誰にも分からない状況でしょう。
 エコカーの本命と言われた電気自動車が今一つ普及せず、逆に従来型のガソリンエンジンやディーゼルエンジンの性能が飛躍的に高まって市場を巻き返しているように、結局、最後に実用化を左右するのは経済性(社会インフラも含めた)ということなのでしょう。
 そう考えると、究極のエコカーに思える空気アルミニウム電池車も、乗り越えるべき経済性の壁がまだ未知数のようにも思えます。

■GIGAZINE
 


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