2014年6月29日日曜日

パチンコという「カジノ」がある

先日、出張先の駅頭でティッシュをもらいました。それも一人に2つ。
 えらく気前のいい会社だなと思って眺めると、三重県内のほとんどの主要都市で見かけることができるパチンコ店チェーン キング観光 のものでした。

 聞くところでは桑名駅前は最近大型のパチンコ店ができ、従来からのお店も負けじと対抗しているそうで、一種のサービス合戦になっているそうです。わしはパチンコをしないのでその方面は詳しくないのですが、キング観光の本店が桑名市にあると知って、帰宅した後、何の気なしにホームページを見てみました。

 すると、なかなか興味深い内容だったので、ちょっとメモしておきます。
 まず、キング観光は、通常の企業なら(上場企業などを除いて)なかなか普通は公開しない売上高を明記しています。平成19年は1472億円、20年度は1572億円、21年度は1770億円と順調に推移し、22年度は若干減少したものの直近の23年度は1804億円にものぼっています。
 三重県内に15店舗、愛知県に6店舗、和歌山県にも1店舗展開しており、単店舗平均の売上高は約83億円(!)で、この数字は業界トップクラスとのことです。


  さらに、このホームページには、特別企画 これで業界まるわかり というコンテンツもあって、これは一読に値すると思います。

 これを見ると、昭和5年に名古屋で当時の愛知県警察部がパチンコ店を営業許可したのを嚆矢として、パチンコ業界は主に風俗営業取締り法制(法規と警察)と、電動ハンドルや超特電機(フィーバー)、さらにパチスロの7ライン機などといったマシンの技術進歩とが混然一体となって進化してきた独特の業界であることがよくわかります。
 さらに、パチンコ業界は全国で19兆円の市場規模があります。パチンコ店は全国に約1万2千店舗存在し、雇用者の数は30万人以上あると言われており、産業全体の売上・雇用者数から単純計算すると1店舗あたりの売上は約16億円、雇用者数は約25人になり、「パチンコ店の店長は中小企業の社長と同等の経営マネジメントに取り組んでおり、中小企業と同等の経済効果をもたらしている。」とこのページでは解説しています。

 パチンコはいわゆる風俗営業の一種であり、庶民の娯楽として普及していることは確かですが、その一方で依存症となる人が出たり、パチンコ玉の換金が事実上の賭博に当たるのではないかとの批判も根強いものがあります。また、たびたび業者の脱税等も報道されることがあり、社会的な評価が難しい(定まっていない)業界であるといえます。
 見方を変えると、そのような業種であるがゆえに、製造業や商業、サービス業といった一般的な中小企業が受けている、行政による支援策(補助金や融資のような)の対象外となり、良くも悪くも自助努力によってここまで大きくなってきたことは客観的な事実ではないかと思います。

 さて、先日公表された安倍政権の「成長戦略」のなかに、カジノを解禁し、成長の目玉にしようという内容が盛り込まれており、今秋の成立を目指し「カジノ法案」なるものも審議が始まるとのことです。
 政府は2020年(平成32年)までに日本を訪れる外国人旅行者数を年間2000万人(現在の2倍)に増やすことを目標に掲げており、カジノ解禁推進派はカジノが外国人観光客の呼び込みに役立つと主張しています。
 また、証券会社CLSAは、仮に日本でカジノが解禁されれば、売上高は4兆円(400億ドル)を上回ると予測していますが、この金額はアメリカ・ラスベガスの売上高(約65億ドル)の何と6倍以上にもなるそうです。

 現時点のマスコミ報道ではオリンピックを控える東京都が誘致合戦をリードしているとのことですが、誘致に名乗りを上げるべきだとの議論は全国各地で湧き起っており、カジノ建設による経済効果と共に、犯罪の増加や治安の悪化などマイナス面も含めた議論も活発化しそうです。

 三重県でも以前、鳥羽市がカジノの誘致を進めていた(研究していたというべきでしょうか)時期があり、鳥羽市立図書館には「カジノジャパン」なる雑誌が開架されていたことを記憶しています。その後、日本は景気低迷の長期化もあってこの流れは頓挫していましたが、今後、三重県のインバウンドの起爆剤として議論が復活しないとは限りません。
 日本は人口が減少し、供給・需要とも縮小していく中で、産業構造のサービス化と、成熟した市場に対応できる商品(製品やサービス)の開発・提供以外に、経済が活性化する大きな方向性はありません。
 ギャンブルも、「経済成長」を熱望する人々にとっては手段の一つであり、副作用を上回る経済効果があると強く主張を始めるかもわかりません。

 わしが不思議なのは、クールジャパンなどと呼ばれ、国策と化している日本のサブカルチャーですが、日本独特の遊戯といえる「パチンコ」を外国人はクールだと感じないのだろうか、ということです。
 もし外国人に受け入れられやすいパチンコ台やパチスロ機があれば ~だって、外国のカジノにもスロットマシンはあるじゃないすか~ 、そしてこの手の遊びにじゃんじゃんカネを使ってくれそうなアジアの金持ち向けに、VIPルーム、VIP専属スタッフ、VIP用の金パチンコ玉、などといった差別化を講じたら、ひょっとして外国人観光客がそれ目当てに来てくれるかもしれません。
 そうすれば、パチンコ屋は先述のように全国に1万店以上あるので、巨費を投じてカジノを1カ所作るよりインフラの有効活用になり、かつ、全国に波及効果が得られる、ということにならないのかしらん。
 

0 件のコメント: