2014年6月3日火曜日

たまり醤油がアメリカで大ヒットしているらしい

日経トレンディネットより
 やや旧聞に属しますが、三重県桑名市にあるサンジルシ醸造(株)の工場を見学する機会がありました。

 サンジルシ醸造の前身は、桑名藩の御用商人を勤める回船問屋でしたが、文化元年(1804年)に藩命を受けて、味噌とたまりの醸造業を始めることとなり、明治時代に入ると醸造業の専業になったとのことで、210年もの歴史を持つ老舗メーカーです。

 恥ずかしながら、~というか、たぶん多くの人はわしと同じレベルだと思うのですが~ ここの見学をしてお話を聞くまで、わしは「たまり」と「しょうゆ」の違いをよく知りませんでした。
 しょうゆを仕込む過程で、樽だか桶だかの底の方に溜まったのが「たまり」で、上澄みが「しょうゆ」なのかなあ、くらいに思っていました。

 しかしまったくそうではなく、そもそも原料が異なっているということだそうです。
 しょうゆは、蒸し大豆と炒った小麦をほぼ同じ分量混ぜたものが主原料で、麹菌を付け、さらに塩(塩水)を加えて醸造します。わずかにアルコール分も含んでおり、そのぶん、香りが引き立つことが特長です。

 一方、たまりのほうは、原料は大豆のみで、蒸し大豆に麹菌をつけて「みそ玉」とするところまでは味噌とまったく同じ工程です。
 その後、そのまま1年近く熟成させたものが味噌となり、汲み掛けなどもろみの発酵を促す工程を経たものがたまり(溜りしょうゆ)となるということです。
 たまりはしょうゆに比べてトロミが強いほか、うまみ成分であるアミノ酸を多く含み、また、香りが弱いため洋食用にはむしろ向いているそうです。

 で、ここまでの説明に加えてさらにおもしろい話を聞きました。
 たまりは大豆と塩、麹が原料であり小麦を含まないため、小麦アレルギーを持つ人にとっては安心度が高いのですが、小麦(その主成分の「グルテン」)を含まない食事を摂ることによって体調の改善や美容に役立てようという、いわゆる「グルテンフリー」の食生活を実践している人にとってもニーズが高い調味料だというのです。
 このような、本当に効果があるのかどうか疑わしい(失礼!)、一種のブームのようなことは必ずアメリカでまず流行し、それに憧れている日本のような後進国が追随する図式が多いと感じますが、実際にネットで検索すると日本でもグルテンフリーに関するサイトはたくさんヒットします。

 NAVARまとめによると、
「グルテンの中に含まれるグリアジンという物質には食欲を促進させる働きがあり、パンやスイーツを食べだすと止まらないという現象を起こします。」
だの、
「小麦を食べると 血糖値が急上昇し、それを下げるためのインスリンが過剰に分泌されると、脂肪を溜め込み、結果として太りやすくなるため、シミやシワといった老化の体内時計を早めることにもなりかねません。」 
だのの情報が提供されています。(NAVARまとめは単なる情報提供なので、真偽のほどは出典元のサイトで確認するほかありません。)

 また、「日本では、まだそれほど浸透していませんが、欧米では数年前から「グルテンフリー」と書かれた食品パッケージやレストランを見かけることが多くなってきました。」
 という情報もあって、どうもこのことは本当のようです。

 サンジルシの方のお話によると、同社はアメリカ・バージニア州にSAN-J INTERNATIONAL という現地法人を持っています。そこでは有機大豆・有機小麦を使用した有機たまりしょうゆの製造を行っており、市場はアメリカ全土からヨーロッパにも広がっているとのことです。
 アメリカでは(わしは行ったことないけど)もはや日本食は完全に定着しており、しょうゆやたまりの需要が増えていることに加え、グルテンフリー食品としてもSAN-Jのたまりは広く認知されているそうです。(たとえば日経トレンディネットの関連記事を参照のこと。リンクはこちら

 このように見てくると、実に意外なものにも海外展開のチャンスはあることがわかります。闇雲に海外に出て行く戦略だけが中小企業にとって有益とは思いませんが、地理的に名古屋に近く、味噌文化の食生活も接点が多いと思われる桑名ならではの「たまり」のアメリカ席巻ということだとすれば、まだまだサンジルシのほかにも海外に受け入れられる食品や加工品のポテンシャルはあるのかもしれません。

■サンジルシ醸造ホームページ  http://www.san-j.co.jp/public/top


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