2014年6月9日月曜日

ややマンネリ感が出てきた外宮奉納市

 先日の土日、伊勢神宮・外宮(げくう)前の広場で、伊勢を始め県内外の特産品を集めた 外宮奉納市 が開催されていました。

 今回は42事業者の出店があったとのことで、梅雨の季節ながら両日とも晴天で、多数の来場者があったようです。
 わしも日曜日の午後1時ごろに会場をのぞいてみましたが、よく言えば回を重ねてきた「安定感」を、悪く言えば正直なところ、「マンネリ感」を強く感じました。

 この感想についてはさまざまな意見や異論があることでしょう。
 しかし、平成23年10月15日の第1回目の奉納以来、今回の奉納で13回目にもなり、今までにのべ350社近くの事業者が奉納を行っている ~そのうち少なからずは、過去何回か奉納しているリピーターである~ ことを考えると、良くも悪くも伊勢市民にとっては完全に定着してきた感があって、今後は一見さんの参宮客にターゲットを絞っていかざるを得ないように思います。

 そもそも、伊勢神宮・外宮は正式には豊受大神宮といい、食や農業を司る豊受大神がお祀りされています。古来から多くの参宮客を集めてきた伊勢神宮ですが、日本の祖神としての位置づけ以上に、大多数の人民が農林水産業に従事していた往時は、実利的な農業神である外宮に、内宮(皇大神宮)以上の多くの崇敬が集まっていました。

 この史実を踏まえ、伊勢商工会議所が主体となって、農業者や漁業者、食品製造業者といった「食」に関する生産者が、外宮の祭神「豊受大神」に対して、「正直なものづくり」などを綴った宣誓書と共に、自社の産品を奉納する、という事業を開始しました。
 奉納した生産者と産品には、伊勢商工会議所が「奉納の証マーク」を発行します。これは一種のブランドとして、消費者への差別化の証にもなるわけです。そして、これら奉納生産者を集めた物産市が「外宮奉納市」というわけです。(詳しくは、伊勢商工会議所 外宮奉納のホームページを)

 わしは、この事業、ストーリーとして伊勢ならではのものであって、実にいいアイデアだと思います。
  一般的に地域ブランドは全国の都道府県、市町村、産地の組合などが立ち上げていますが、そのほとんどは、生産者の製品の品質などが、ブランドが定める基準に適合しているかどうかを審査し、及第したものにブランドを名乗ることを認める仕組みになっています。
 しかし、外宮奉納のほうは、生産者が「正直なものづくり」を神様に誓うという、いわば「神様と生産者」の関係が土台であり、伊勢商工会議所はこれを仲介しているだけです。
 消費者にブランドの説明責任を負うのは商工会議所でなく、神様に誓約した生産者であって、もし仮に生産者がブランドを毀損した場合、彼には神罰が下ることでしょう。
 神がかっていますが理屈としてはそうなります。これは江戸時代の御師(おんし)以来の、神威を借りる伝統的な伊勢ビジネスです。

 もっとも、これには弱点もあります。次々に正直な生産者が産品を奉納すると ~正直なものづくりが広まることは、消費者にとって良いことなのですが~ アイテム数が多くなり、ブランドのイメージが拡散してしまうことです。
 このためか、奉納の証マークがある商品を、伊勢市内のスーパーや小売店で見かけることはあまりなく、あくまで参宮客や観光客相手の土産物の差別化の一手段になってしまいがちです。
 繰り返しますが、これはこれで良いのです。しかし最近のように2か月おきに奉納が行われ、産品の種類もどんどん増えていくと、これはもう「モンドセレクション」と同じで、お酒からジュースから、お菓子から餃子の皮から、何でもかんでも対象となってインフレ状態となり、本当に差別化要因に働くのか疑問なしとしない状況になってきます。

 なので、これは「モデル事業」と考えるべきで、他の産地、たとえば熊野三山が有名な熊野地域でも同じように奉納と認証制度を行い、三重県内なら白馬伝説の多度大社とか、伊勢国一ノ宮と自称する椿大神社とかでも同じように横展開し、最終的に日本の有名な霊験あらたかな神社仏閣に「正直」を誓約した産品同志がネットワークを作る、といったような横展開を志向するべきではないでしょうか。
 少なくとも、伊勢と熊野とか、伊勢と出雲とかではこの連携ネットワークは有効だと思います。

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