2014年7月14日月曜日

尾鷲特産の青唐辛子トラノオ

 本日の伊勢新聞に、三重県尾鷲市特産の青唐辛子「トラノオ(虎の尾)」が大きく取り上げられていました。
 トラノオとは形が虎のシッポに似ている(わしはよく見たことないけど)ことから名付けられ、おそらく「伏見甘長とうがらし」が原種で、交配により辛みがかかった品種であると推測されています。

 尾鷲では、かつてワサビの代わりに刺し身の薬味に使われるなど一般的な食材だったそうですが、食習慣の変化と共に次第に忘れられていました。それに危機感を持った市内の農事生産塾「向井の里」が平成19年から栽培を再開し、現在は約1トンの収穫量があるとのことです。
 同紙によれば、トラノオと命名したのは現在の尾鷲市長である岩田昭人氏だとのことで、市長の発案により辛みを生かしたアメも新商品として開発され、関係者は普及に意欲を燃やしているとのことです。(リンクはこちら

 三重県(庁)でも平成19年度当時から、トラノオは地域固有種を再興するユニークな取り組みとして「バイオトレジャー発見事業」に選定するなど、支援を行ってきました。
 それ以来、関係者の努力もあって、いくつかの関連商品が生まれましたが、実は、わしもこの「トラノオ」を愛好しており、お刺身の薬味は今ではほとんどこれ。
 そのほかにもそうめんとか、おそばとか、チャーハンとか、野菜の辛味炒めなんかにも応用でき、我が家には欠かせない調味料となっています。




 ただ、生産量1トンというのはあまりに生産量が少ないし、収穫の時期が夏場中心なので、生のトラノオは尾鷲地域以外ではほとんど入手できないも同様です。
 なので、わしが愛用しているのは(株)モクモクしお学舎が製造している、トラノオのペーストです。
 商品名は 尾鷲に伝わる漁師薬味 尾鷲生とうがらし 虎の尾 といい、瓶入り45gで価格は360円。
 全国のデパートの食品売り場や、尾鷲市の土産物店などで販売されています。

 これは、ぜひ皆様におススメします。料理の心得がある人なら、単なる薬味以外にもいろいろなメニューに応用できるのではないかと思います。

■モクモクしお学舎 虎の尾  http://shiogakusha.shop-pro.jp/?pid=36774065


 このように忘れ去られたかつての地域食材を再興しようという動きは、全国で見られます。日本はもともと多様な食文化だったものが、スーパーなど効率化した流通業の浸透や、学校給食、料理番組普及など、食の標準化、中央集権化の動きが進み、地域固有の食材や調理法は、ほとんどが姿を消しています。
 地域振興の観点からは、復興させた食材で地域を代表するメニューや加工食品を開発し、それを都会に売り込んだり、都会からの誘客に利用しようという発想になるわけですが、難しいのは、肝心な地元住民の食嗜好がすっかり「都会化」してしまっており、再興しようとする生産者は熱心なのに、地元民がほとんど食べない、知らない、という皮肉な現象が往々にして見られることです。

 尾鷲市も、トラノオとほぼ同じ時期、全国的にブームだった海洋深層水の取水事業に巨費を投じて参入しました。尾鷲の海洋深層水は品質が高く、それゆえに飲料メーカーや、モクモクしお学舎のような食品メーカーが市内に立地し、夢古道おわせのように海洋深層水を使った温浴施設(入浴施設)も作られました。
 ところが、一時の熱狂が過ぎ去ると市民の海洋深層水への関心も低くなってしまい、今では尾鷲市民が率先して海洋深層水を活用しているとか、飲用しているとかはあまり見られないようになっている気がします。
 これは大変残念ですし、市民が食べない、使わないものは、地域外の消費者にも受け入れてもらえないのは当然です。

 この意味で、トラノオの再興を通じて、尾鷲の食文化のルネッサンスに取り組むという意気込みで、メニューや食材の浸透を図るべきではないかと思います。少なくとも、「尾鷲よいとこ定食の店」では100%、わさびの代わりにトラノオを使ってみることから始めてはどうでしょうか?

 
 

4 件のコメント:

三碧星 さんのコメント...

猿や野生動物の食害も多い地域ですし、
ブランド品を作る片手間、撃退用に畑に植えるのも一つの手ではあります。
唐辛子を使った害獣駆除も、これから真剣に考えていかなければなりませんね。それを見込めるなら一石二鳥になるでしょう

maro さんのコメント...

市内の同じ地区でも、栽培者が違うと虎の尾と名乗れないような特許になっているようです(特許の関係?)。
交配しやすく種が保存しにくい問題もありますが、獣害にも強い作物なので、せめて市内全体は栽培が可能なものにするのがよいと思いますが・・・。
市(長?)を中心としたPR活動とは裏腹に、市全体としては盛り上がりのないものになってしまっています。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

三碧星さま
 獣害対策の作物というのは全国で模索されていて、東紀州でも「葉ミョウガ」が推奨されていたことがありました。一石二鳥は狙っていきたいですよね。
maroさま
 知財の状況をIPDLで簡易検索したけどよくわかりませんでした。必要なのは知財戦略で、まずは大量の商品を流通させて市場を作るのか、そうではなく少量生産にこだわるのか(その結果、事業は大きくならない)がポイントですね。この意味では「トラノオ」のビジネス化は岐路にあるようです。

maro さんのコメント...

商標登録でした。(虎の尾で検索すると2件あります)
http://www1.ipdl.inpit.go.jp/syutsugan/TM_DETAIL_A.cgi?0&2&0&1&2&140551263700388505218540