2014年7月18日金曜日

山中松阪市長が違憲確認訴訟の団体設立

ピースウイング facebookより
 安倍内閣による集団的自衛権行使容認の閣議決定は憲法に違反するとして、国を提訴する方針を示していた山中光茂 松阪市長が、運動母体となる市民団体「ピースウイング」の設立を表明したことが各紙に報じられています。

 山中市長は7月3日の記者会見において、違憲確認訴訟の提起を視野に入れていることを明らかにしており、席上で「憲法の原点は武力による紛争抑止ではなく、徹底した平和主義。愚かな為政者による解釈変更は許されない」などと述べたとのことです。(朝日新聞 7月3日付け)。
 
 知事や市町村長のような地方政治家は、ともすると国政上の大きな争点に対して幟旗を鮮明にすることをしません。
 沈黙するか、無責任に批判するか、逆に権力におもねって迎合するか、いずれにせよ一政治家としての政治信条や理念、哲学が垣間見えないケースが少なくないのが実情です。(というか、実利的な政治屋に過ぎないので、そんな高尚なものは元々ないのかもしれません。)

 そのような中、憲法に違反する行為として単に口先だけで批判するのでなく、実際に政治行動に移した山中市長は、まさに有言実行のリーダーだと言えると思います。わしは、この姿勢には率直に敬意を表さずにおれません。

■ピースウイング フェイスブックページ  https://www.facebook.com/wing.matsusaka/timeline

 しかし、同時に、次の3点も疑問に感じます。
 もしピースウイングが特定の政治思想や圧力団体の立場にあるのでなく、真に民主的に運営されるなら、ぜひこの疑問に何らかの形で意思表示していただきたいと願います。



その1 
 現行の法制度は、わしの理解では、閣議決定を違憲だと確認するような行政訴訟(抗告訴訟)を認めていません。個別の法律に基づく具体的な法的争点と、原告に訴えを起こすことによって守られるべき法的な利益がないと、原告となる適格はないのです。
 行政事件訴訟法は、原告適格を広く解釈する判例が徐々に積み重なっていますが、ある行為が憲法上適格か不適格かを争う憲法裁判所がなく、普通裁判所が違憲立法審査権を持つ仕組みである日本では、単に戦争に巻き込まれる危険性が高まる、とか、政府の憲法解釈が誤っている、とかの抽象的な理由で訴えは起こせない(=起こしても訴えは却下される)のではないでしょうか。
 違憲確認訴訟は、政治的な決意表明としては意味があるでしょうが、勝訴するための、少なくとも、却下でなく裁判所を実質的な審理に引っ張り込むための、勝算というか見通しというか、そういったものがあるのでしょうか。

その2
 集団的自衛権の問題には2つの争点があります。一つは憲法解釈の問題です。憲法9条は日本の軍備と交戦権を認めていないのは文理上明白なので、自衛隊の実在そのものも、海外派遣も、すべて政府の解釈変更(閣議決定)によって行われています。
 これまでの閣議決定は認めるのでしょうか。それとも、自衛隊は認め、海外派遣や国連軍参加も認めるが、集団的自衛権の容認に関する解釈変更だけは認めないのでしょうか。だとするとその理由は何でしょうか。

その3
 もう一つの争点。現実問題として、中国による脅威は高まっています。このことは日本だけでなく、台湾、フィリピン、ベトナムといった隣国をはじめ、アメリカも含めたコンセンサスになっていると思います。
 閣議決定の法的解釈の当否はしばらく措くとして、中国や北朝鮮による軍事的な挑発に対して、どのように日本の独立を守るかという国防の方針は持っているのでしょうか。そして、その国防方針は実現可能なのでしょうか。 
 

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