2014年7月9日水曜日

アルプスの少女を凌辱する酷いCM

 家でテレビを見ていたら、かの名作アニメ「アルプスの少女 ハイジ」をおちょくったような、下品なCMをやっていて嫌な感じがしました。

 トライなる「家庭教師」の企業らしいのですが、程度の低い子供をダシにして親から「教育費」を巻き上げるビジネスなのかと疑わせるに十分です。
 驚くことに三重県内にもいくつかこの塾の「教室」があるようですが、名作を凌辱する、こんなCMを流すところに我が子を通わせる親の気が知れませんし、この会社で子供を教える教師の気も知れません。
 
 大変残念ではありますが、いかに多くの人々に感動を与えたアニメキャラクターであっても、あるいは、映像作品、絵画、小説などであっても、知的財産の権利者、すなわち著作権者が承諾すれば、パロディー化はいくらでも可能です。
 その時、一番の問題となるのはおそらく金銭です。つまり、著作物の使用料(ライセンス料)さえ折り合えば、実際に作品に触れた視聴者や読者といったファンが抱いた個人的な感動や感激はいともたやすく乗り越えられ、踏みつぶされることになるのです。

 なので、品のないCM ~それはパロディーと呼べるような知的な諧謔精神は微塵もなく、ただ汚らしい感じしかしない贋作に過ぎません~ は、それを作って流すオカバ以上に、そのようなオカバに著作権の使用を許諾する「著作権者」の大オカバな姿勢が問題です。


 そこで、調べてみると、アルプスの少女ハイジの著作権は、アニメを制作した瑞鷹株式会社(旧瑞鷹エンタープライズ)から承認を受けたという、サンクリエートなる会社が管理しています。(ホームページはこちら
 同社は、ハイジの他にいろいろなアニメやキャラクターの版権も管理しているようなので、そして、そのライセンス基準は、用途についてはわりあいと「ゆるい」(というか不問に近い)のようなので、これからもどんどんファンの夢をぶち壊すひどいCMが出てくるのでしょう。

 実はこれは難しい問題をはらんでいます。
 やや大げさな話になりますが、日本は社会の成熟を迎え、モノを作って輸出する、という「ものづくり立国」や「輸出立国」はもはや成り立たなくなります。特許や著作権のような知的財産を活用して、それから利益(ライセンス収入)を得る「知財立国」に脱皮しなければ経済は成長しないでしょう。
 今流行のクールジャパンも、アニメや漫画やポップスといったサブカルチャーそのものを「売る」こと以上に、これらから波及するキャラクターグッズなどの「ライセンス料」を稼ぐことが大きな柱になっています。このことはアメリカのディズニーのビジネスモデルを見ても明らかです。
 ライセンス料で儲かるようにするには、どんどんいろいろな関連商品やサービスに使用を許諾すればいいわけですが、同時に、あまりヘンなもの、いかがわしいものにまで使用許諾をしていると、かえってキャラクターのイメージを毀損してしまい、結果的にライセンス料の価値を下げてしまいます。知財で、特に著作権でビジネスするためには、使用許諾に関するこのような絶妙のバランス感覚が必要です。

 日本でも、使用許諾基準が厳しいと言われているサンリオのように成功している知財ビジネスもあります。が、ハイジのように無残にアホCMやパチンコに許諾してしまう事例も出てくるわけです。一般論としては、日本の著作権ビジネスはまだまだ先進諸国に比べて巧みとは言えず、これからもさまざまなせめぎ合いは続くことでしょう。
 
 一方で、この問題はアニメ作品などを受け入れている視聴者や読者、つまり一般国民の芸術への関心度やリテラシーも大きくかかわってきます。あまりに酷い改ざんや贋作は、原作を毀損するものとして、すなわち、それによって感動したファンを貶めることとして、はっきりと異議申し立てをする。そのような責任も求められていると思います。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私もこのCMは嫌いです。流用には作者の宮崎駿や高畑勲の意志は尊重されないのですね。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 コメントありがとうございます。ハイジの版権(他人にライセンスする権利)は管理会社にあるので、作者の意思は考慮されないと思います。

匿名 さんのコメント...

あんまり見たことないので、面白いなあくらいにしか思わなかったですが、愛着持ってる人からすると、確かに不快というかイラッとするかもしれないですね。

John Carpenter さんのコメント...

作者の意志の尊重と言ってますが、宮崎駿は80年代のミルクキャンディのcmでさえ愚痴垂らしてるんで、cmの作り方はあまり関係ないと思います