2014年8月18日月曜日

「みえ女性活躍推進連携会議」議事録が、おもろうて、哀しい

 第1回「みえ女性活躍推進連携会議」の開催結果が三重県ホームページで公開されています。(リンクはこちら
 開催直後はメンバーの一人である三重県漁業協同組合連合会会長が発言した「漁業者の立場から言う と、私たちは古い人間なので『女は下や』『女のくせに』という概念から逃れられない。」という内容が、一部のマスコミに女性差別発言として大きく取り上げられ、後日、漁連は釈明に追われることとなったのが記憶に新しいところです。
 しかし、議事録によると、発言は
「漁業者の立場から言うと、私たちは古い人間なので『女は下や』『女のくせに』という概念から逃れられない。例えば、課長を女性にした場合、浜に入札に行ったときによそに対抗できるかと言うと、よっぽどでない対抗できない。そういう面もあります。」(以下は省略)
というもので、ご本人の認識として漁業界の現状をありのままに発言しているに過ぎません。もしこのような私見すら率直に披瀝することができないのであれば、この場は「会議」などと呼ぶには値しません。
 もちろん、発言内容を肯定するわけではありませんが、今の日本の一定年齢以上の国民層の多くは、実はこの認識に近いとわしは思います。こういった本音が語られなければ、それは地下に潜ってしまうだけのことで、決して無くなるわけではないのです。

 しかし今日の本題はここではありません。
 会議録を読むと、大きく騒がれた報道とは違ってここで議論の核心になっているのは、今回の「みえ女性活躍推進連携会議」の役割と位置づけの確認と、事務局である県当局から示された 女性の活躍推進に向けた「行動指針」(案) なるものの内容についてであることがわかります。

 この行動指針案も資料3として公表されています。内容は以下のようなものです。


 会議の議論の中心は、この「行動指針」の3つの・(ポツ)の文章は、順序がおかしいのではないかということでした。

 すなわち、まず最初に挙げられるべきは「女性の管理職等への登用推進」ということではなく、女性管理職が輩出するための前提となる、「男女がいきいきと働く職場づくり」への努力がまずあって、女性の管理職登用という問題はその次にで出てくるべきではないか、というごく常識的な議論です。

 この意見には多くの委員が賛意を示す一方、三重県男女共同参画センター所長という人物は反対意見(まず数値目標の設定が重要)を述べています。「いきいきとした職場づくりも大事ですが、そこが上になるよりも、数値目標のほうが中身や行動が変わると思います。」と言うのです。
 確かにアメリカではアフリカ系やプエルトリコ系の国民の大学進学や管理職への登用に数値目標を定め、大学や企業、団体に実行を強制しているそうですし、多くの国々でも女性登用に関して厳しい数値目標を課しているそうで、このような強制規定がない日本はある立場の人々から見れば物足りなく思えるでしょう。
 結論として、事務局である県当局は、この行動指針案の文の順序などを見直し、再提案するということで議論を引き取ります。

 しかし、会議は次の議題、すなわち 「女性の大活躍推進三重県会議」への加入要請書(案) に関することでも混迷します。冒頭の三重県漁業協同組合連合会会長の発言はここで飛び出すわけですが、議事録を読んでいると、前提となる「行動指針案」の内容が不了承に近いのに(だからこそ事務局が修正を約束して引き取ったのに)、それを無視して、行動指針案の内容に同意し、県が音頭を取る官製の女性優遇組織に企業や団体が加盟することを強く要請するような文章案に議論が進むのです。普通に考えると、あり得ない議事進行のように思えます。
 この加入要請書案に対しても、三重県商工会議所連合会会長から「行動指針の議論に合わせて、加入要請書も、もう少し議論いただくということでよろしいでしょうか。」と、これまたしごく常識的な意見が出て、当局も修正を約束せざるを得ませんでした。

 もし女性の社会での活躍に関心がある方は、ぜひ三重県ホームページにアクセスし、議事録と資料をお読みいただきたいのですが、会議の一番最後にコメントする三重県知事の発言の意味不明ぶりといい、なかなか笑えますし、次に少々不安になってきます。
 まさに「空気」が支配する会議。理よりも情が、事実よりも理念が優先する、非常に日本的なあいまい合意であることがよくわかります。(経営学部で意思決定論などを学んでいる大学生には、最適な教材ではないかと思います。)

 この会議の冒頭、知事からは「男女雇用機会均等法が施行されて30年くらい経つのに、まだまだ女性が活躍できる土壌が整っているとは言いがたい。県としては、なんとかその状況を打破したいという思いで、今回、会議をスタートさせていただく。おそらく、この施策をやれば完璧、これで女性活躍推進できますというものはたぶんなく、家庭での男女の役割分担、職場でのワーク・ライフ・バランス、男性の育児参画とかいろんなことをやっていかないといけないし、大事なことはムーブメントをしっかり作っていくということ。」という発言がなされます。
 そのとおりかもしれません。
 しかし、問題は、まさに法施行から30年、厚生労働省や地方自治体が営々とさまざまな男女共同参画、女性登用の施策を打ち続け、少なくない予算やマンパワーを投入し続けたのに、満足する現状になっていない、「その理由はなぜなのか」ということです。
 必要なのは過去の施策の検証です。過去を検証せず、「ムーブメントが大事」などと軽挙妄動していては、また失われた30年と同じことの繰り返しになるでしょう。そのことがわからないのは(わからないふりをしているのは)この人だけなのです。

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