2014年8月26日火曜日

義務教育に一番必要なのではないかと思うこと

 文部科学省が平成26年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表しました。
 全国学力テストは全国の小学校6年生と中学校3年生を対象に4月に行われ、国・公・私立の約3万校の約215万3千人が受験しました。テストは国語と算数(数学)の2教科で、基礎的な知識の定着度をみる「A問題」と、応用力を測る「B問題」が行われています。
 文科省の公表内容は、都道府県別の各問題の正答率で、これによると、全国の平均値と下位の三県の差は昨年度より縮まっており、文科省は「学力の底上げが進んでいる」と分析しているとのことです。

 都道府県のうち正答率が高いのは、過去からと同じく、秋田県と福井県、青森県、石川県、富山県などですが、今まで下位が続いていた沖縄県は、小学校の正答率が大幅に改善し順位が上昇したとのことです。
 また、問題別の回答傾向もおおむね前回までの結果と同じで、国語、数学とも基礎的知識を問うA問題よりも応用力を見るB問題のほうが平均正答率が低く、児童・生徒たちの応用力には課題があることが見て取れます。

 さて、気になる三重県ですが、MEMORVEによると、
・小学校の全教科正答率は63.6%で全国47位、つまり最下位。(全国国公私立校の平均正答率は66.3%)
・中学校の全教科正答率は63.1%で全国37位。(全国国公私立校の平均正答率は65.0%)
 となっています。
 もともと三重県の全国学力テストの順位は芳しいものではありませんでしたが、今回も全国の平均正答率を下回る結果となっています。

■MEMORVE 
 全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)小学校 2014年(平成26年度)都道府県ランキング

 全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)中学校 2014年(平成26年度)都道府県ランキング

 三重県教育委員会では、これまでの学力テストの不振をふまえ、公立学校での学力向上に取り組んでいますが、その成果はいまだに目で見える形では現れていません。関係各位にはいっそうの努力をお願いしたいところではあります。
 しかしながら、学力向上とは息の長い取り組みであって、本来、短期的に成果が出るとは限りません。また、学校や教員の努力だけでなく、子供たち自身、保護者や家族、引いては子供を取り巻くすべての大人たちが協力しなければ持続できるものでもありません。

 短期的な努力で順位を上げたという沖縄県や静岡県の努力は素晴らしいと思いますが、これが本当に今後も持続可能なのか、もっと言えば、順位の向上のみに学校の努力を集中させた結果として、何かほかのこと ~学力以外のこと~ に、見えない不具合なり、不都合なりがないのかは、やはり検証が必要なのでしょう。
(よく言われるように、学力テストの成績が常に上位の秋田県は大学進学率が低いという事実もあり、トータルで考えた場合、そもそも学力とは何なのか、勉強は何のために必要なのか、という深い問題に突き当たるのです。)

 また、学力テストの結果報道には、各学校別の成績や順位を公表すべきかという議論が必ず付いて回ります。学校別の公表によって良い意味での競争意識が芽生えるならそれも意義はあるのでしょうが、いずれにしても興味本位、近視眼的なランキングではだめで、自治体(教育委員会)として学力向上に取り組む意義付けや、長期的な戦略と戦術、到達目標とスケジュールが、明確に関係者で合意されていなければ、結局は「学力が低いのは小中学校や教師がサボっているからだ」というポピュリズム首長によるバッシング対象(人気取りのネタ)にされるのがオチでしょう。これにもわしらは注意が必要だと思います。

 わしは職業がら、中小企業の経営者にお目にかかり話を聞く機会が多いのですが、県で実施している新商品・新サービスの開発補助金、経営革新支援制度、産学連携の研究会やセミナー、人材育成策などなどの、いわゆる中小企業向けの支援制度を説明すると、少なくない経営者から返ってくるのは「行政が動きの速い中小企業を対象に細かい支援をするのは制度が複雑になるだけである。そうではなく、経営者が望んでいるのは、行政は行政の当たり前の仕事をきちんとしてほしいということだけ。あとは企業の邪魔をしないでほしい。」というものです。

 行政の当たり前の仕事とは何か。
 言うまでもなく、行政にしかできない権力的な業務(各種の法規制や許認可を迅速、適正に行うこと)や、道路、港湾、上下水道、防災といった公共物の整備と適正な維持管理、そして教育です。
 経営者の方は、「仕事の細かい部分は企業で働きながら覚えるしかない。しかし、覚えるために必要な基礎学力とか、その前提となる働く意欲とか生活習慣などは、きちんと学校で教えてほしい。」とよくおっしゃいます。
 地域活性化や地域産業の活性化は突き詰めれば「ひとづくり」の側面が大きいのですが、これはなにも特別な事業を始める必要はなく、小中学校、高校で、しっかりと教育すること。これで十分だとさえ言えるのです。このことを我々は再認識する必要があると思います。
 

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