2014年8月30日土曜日

もっと真面目に、知恵を出したい

 読売新聞(YOMIURI ONLINE)に、三重県紀北町海山区にある島勝浦(しまかつうら)地区で、三重大学の学生たちが、地元住民と共同で海の魅力を生かした地域づくりに取り組んでいるという記事が載っていました。
 島勝浦は主力産業が漁業で、約280世帯の約460人が暮らしていますが、人口の7割近くが65歳以上の高齢者です。
 学生たちは、昨年7月から計11回、交代で同地区に入り、海水浴場や宿泊施設、魚市場などを見学し、地区の将来像を住民と話し合うなどして、活性化策を検討してきたとのことであり、8月24日には地区内の海水浴場で海水浴客らに海の幸をPRするイベントを企画。同地区の区長も「学生と一緒に取り組みを進めることで、住民にも活力が生まれてきた」と歓迎していると報じています。(8月30日付け。リンクはこちら

三重県ホームページより
 このような連携事例は、もちろんやらないよりはやったほうがよいだろうし、有意義なことだとは思います。この事業も、三重県(庁)による「集落支援モデルの構築事業」というものの一環として実施されているそうで、なるほど、尾鷲市でも同様の取り組みがあったことは何かで読んだような気がします。

 しかし、東紀州(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3町からなる地域)の活性化に過去から関わっている方なら、おそらく多くがそう感じるであろうように、このような事例は以前も同じようなこと ~都会の学生が東紀州の集落にやって来て滞在し、学生の視点でもって活性化策を提言するというイベント~ を何度も何度も何度も何度もやっているし、その結果、はばかりながらわしが知る限り、このような提言が実現し、成功した実績はほとんどありません。
 悪い予感ですが、おそらくこの島勝浦の事例も、過去と同じような残念な結果になるのではないでしょうか。(あくまでわしの私見ですが)


 なぜか。
 それは、連携という仕掛けが車輪のように力強く回転し始めて、実際に地域が少しでも前に進むためには、固有の知恵とテクニックが必要だからです。

 学生などしょせんは人生経験の浅い若者たちです。良い視点やアイデアを持っていたとしても、それを実現するための方法論は持ち合わせていません。
 一方、地域住民は記事にもあるように高齢化しています。人生経験も、土地勘も豊富な地元の皆さんが今まで生活を営み続けた結果が今の過疎化の現状であり、アイデアのプレーヤーとして地域住民に期待しすぎるのも本質を外した議論です。
 つまり、プレーヤーを獲得するための現実的な方法は、
1)学生のうちのだれかがプレーヤーに成長する
2)地域住民のうちのだれかがプレーヤーになる
3)地域外からプレーヤーを連れてくる
 の3つのうちのどれかしかありません。
 今のやり方は、この3つのどれにも言及していないので、将来の展望が開けずに打ち上げ花火で終わってしまうのです。

 三重県の「集落支援モデルの構築事業」のホームページを見ると、モデル事業(学生が活性化提言を行う事業)が終了した後も継続させるための戦略として「まずは、できることから取り組む」と書いてあります。
 それはその通りですが、このような無策では現状は絶対にブレークスルーできません。提言を実現するには、そもそもその提言が絵空事でなく、ビジネスとして展開可能かどうかという「ビジネスモデルの目利き」が必要です。

 次に、プレーヤーが起業家となって、資金調達、経営資源確保、人材確保に動かなくてはいけません。その具体的な支援策の青写真がないと、現状はブレークスルーできないのです。
 一方で、このブログでは再三書いているように、コミュニティビジネス(地域課題を、地域の住民が地域の資源を使ってビジネスの手法で解決する事業)の起業支援は現在でもさまざなま支援ツールが確立しています。
 なので問題はやはり、学生の活性化提言の目利きや、プレーヤー(起業家)の育成・支援の具体策ということになります。

 この重要な役割を担うのは、俗に「地域プロデューサー」とか「地域コーディネーター」と言われるような人々です。このような人たちは、決して多くはありませんが、紀北町をはじめ、東紀州には何人もいらっしゃいます。
 もし、この島勝浦の例もそうですが、本当に事業を前進させようと思うなら、こういったプロデューサー、コーディネーターを学生と住民の間に置いて、ビジネスモデルの構築と、事業展開支援を行うことが不可欠です。

 残念なことですが東紀州も、各市町が、もっと言えば各市町内の各地域が、わりと独立独歩で活性化に取り組む傾向があるため(だからこそ、各地域の個性・風土が今なお色濃く残っているわけですが)、ある地域が活性化に成功していても、そのノウハウを他の市町や地域と共有したり、そこでの地域プロデューサー人材を融通したりといったことがうまくなされていない現実があります。

 この意味では、県庁の役割は、大学生のゼミ合宿兼お勉強発表会にカネを出すことではなく、本気の学生と、本気の地域とをつなぐことができるような、コーディネート機能を発揮することです。
 そのためには、これも本気のプロデューサー人材、コーディネーター人材を連れて来て、3年間なら3年間で、カネの心配はせず徹底的にやりきってくれ、とすべてを任せることです。
 

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

最後の段落で最高に笑わせていただきました。
美し国みえのように本気のプロデューサーとやらに税金を食い物にされますね。

そんなことより過疎地域の無駄な延命措置はやめるべきです。何かしたいなら都会に出て行った世代が責任を負えと。
空き家問題といい、土地の権利関係といい、行政が税金で解決するものではありません。