2014年8月4日月曜日

まさかキャンプ場が河川法違反!?

 今月1日、神奈川県山北町にあるキャンプ場「ウェルキャンプ西丹沢」で親子4人が乗った車が、川の増水から避難するために渡っている最中、流されて車が横転、3人が死亡するという痛ましい事故が起こりました。
 川の中州はたまたま水が少ない時は水面上に出ているというだけで、報道の中でアウトドアの専門家が発言していたように「中州は川底と同じ」なので、そもそもなぜこんな危ないところでキャンプをしたのか、大変失礼ながら被害者の方々も自然を甘く見ていたのではないか、と思ったのがわしの第一印象でした。

ウェルキャンプ西丹沢HPより
 しかし、報道によると、このご家族がテントを張っていた中州は、キャンプ場運営会社が四輪駆動車専用キャンプサイト「アドベンチャーゾーン」として整備したもので、無許可で河川内を造成し、原状を変えて増水しやすくなったことが一因であるとの見方が強まっているとのことです。

 河川法によれば、河川区域が民有地であっても、河川管理者である県の許可を得ずに堤防を造ったり、土地を削ったりすることは禁止されています。水の安全な流下を阻害し、下流での洪水や土石流の危険性が増すからです。

 しかしこの会社は平成20年以降、河川を管理する神奈川県西土木事務所から河川法に違反する恐れがあるとして6回の行政指導を受けていたとのことです。
 毎日新聞によると、県の見解としては、現時点では「河川の形状変更と今回の事故が直接結びつくわけではないが、違法な状態が確認されれば行政指導で原状回復を求めるなどの措置をとる考え」とのことです。(ヤフーニュースより。リンクはこちら
 事実とすれば、被害者の方は誠にお気の毒というほかありません。


 ただ、難しいのは、河川という自然公物の特性です。河川にしろ、海岸にしろ、原則として自由使用であり、河川法や砂防法、漁業法といったさまざまな法律の趣旨に反しない限りは ~キャンプにせよバーベキューにせよ、イカダやボートでの航行にせよ、水泳にせよ~ 法律で規制できないことです。よく、「遊泳禁止地域」というものが設けられていますが、これは任意で規制されているだけで、河川法に基づくものではありません。自然公物たる河川は誰でも自由に使用できる権利があり、同時に自己責任も負うのが原則なのです。
 しかも、河川は常に地形が変化しているため、河川管理者にとっても原状がよくわからず、大掛かりに重機を使ったような地形改変をしている場合はともかく、小規模にゲリラ的に工事を積み重ねられれば、それが違法だと断定する確信が持てないという現実があることです。

 今回の件では、ここと隣接するキャンプ場の経営者が県西土木事務所に対して、ウェルキャンプ西丹沢が繰り返す違法工事を取り締まるよう抗議文を提出したことがあったそうですが、同事務所の回答は「事業者の責任において実施し、キャンパーも自覚して行っている以上、自由使用の範囲と認識している」との内容だったようで、このあたり、しっかりした検証が必要でしょう。

 いずれにせよ、全く手つかずの原野や山林に見えても、日本の大部分の土地は人の手が入っています。その意味では、キャンプも「キャンプ場」という人工の環境で過ごす牙が抜かれたアウトドア体験に過ぎないとも言えます。
 しかし、それ以上に未知で恐ろしいのが自然の猛威です。なまじ人間が整備した疑似自然環境に慣れてしまうと、実際に豪雨や洪水が襲った時にまったく手だてがなくなることには自覚と心構えが必要だと思います。

 わしが住む三重県伊勢志摩地方や東紀州地方にもキャンプ場や、自然とのふれあいを売りにした施設は多くあります。これらは安全な施設であるとわしは信じていますし、また、豊かな自然を「地域資源」と捉えたこれらの自然ビジネスはますます活発になっていくでしょう。
 きっと行政も「観光振興」と称してそれらを支援するでしょうが、留意が必要なのは、行政の本当の仕事、つまり民間には不可能で行政にしかできない仕事とは、法による規制であり、これらの施設が本当に安全か、法を守っているか、といった情報を公正に公開することではないかということです。
 今や全国各地に行政による観光PRやお国自慢は溢れていて、利用者(消費者)のほうも眉唾になっているケースは多いと思われます。そうではなく、行政が公正・公平に、安全性についての審査をし、それを公開することは、実はほとんどの自治体では手が付けられていません。自治体はこのような部分で観光競争すべきではないでしょうか。

(補足)
 自然公物は自由使用が原則ですが、日本に手つかずの自然がないように、日本に法の網がかかってない土地やモノや事象はほとんど存在しません。これも事実です。
 川で魚を獲るのは自由ですが、実際には漁業法や自然環境保全法などの規制があるため、現実には禁止されます。河原で小石を拾うのは自由ですが、常識の範囲を超えると河川法や砂利採取法の規制があり許認可が必要です。
 このように、見えない法律で世の中はがんじがらめになっています。だから安全とも言えるわけなのですが。

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