2014年9月2日火曜日

自治体外交をどう評価するか

 三重県が、アメリカ・ワシントン州と、航空宇宙や医療・健康産業の分野で、お互いが連携して技術の発展や貿易拡大を目的とした共同の取り組みを進める内容の協定を締結したそうです。

 ワシントン州は、シアトルに航空機メーカーのボーイングの拠点があるなど航空産業の世界的な中心地です。今後、新興国の経済成長により市場の拡大が期待される航空機産業への足掛かりを作る意味でも、三重県は今回の連携協定締結に動いたものと見られています。
 このニュースは、中日、読売、伊勢の各紙が報じていますが、残念ながらというか、「県と州が産業連携協定を結んだ」という事実を伝えるのみで、その詳しい内容はどの新聞も伝えていません。

 もちろん、三重県ホームページにも協定の文言は公表されていないので、興味本位にネットで調べてみました。アメリカのマスコミ、特に新聞は日本のような全国紙は多くなく、ほとんどが地方紙だと聞いていたので、なんとなく ~根拠はまったくないのですが~ ワシントン州の地方紙のウェブサイトを調べたら、どんな内容なのか詳しく伝えているのではないか・・・と思ったのです。

 しかし、結果は意外なものでした。
 というか、身の丈にあった結果だったというべきかもしれません。


 ワシントン州には多くの都市があるので、ローカル紙も驚くほど多数が発行されています。なので、この連携協定が調印されたという日本総領事公邸があるシアトル市の新聞のサイトを見てみました。

 しかし、シアトルタイムズ、シアトル・デイリージャーナル・オブ・コマース、シアトルpiを調べても、三重県との連携協定のニュースなどまったく載っていないのです。
 念のためいくつかキーワードを入れて検索してみたのですが、やはりまったく引っかかりません。

 新聞以外ならあるのではと思い、シアトルのローカルテレビ局のサイトも見たのですが、これまた、まったくそのようなニュースがありません。
 三重県内各紙の盛り上がりとは対照的に、シアトル市ではどうもそもそもこのニュース自体が全然報道されていないようなのです。
(これ、ぜひ英語力のあるどなたかに再確認をお願いしたいと思います。もしわしが見つけられていないだけであったら、もちろん訂正します。)

 一昔前、「日本の常識は世界の非常識」という言葉を流行らせたタレントがいました。けだし名言だと思うのは、往々にして日本国内で盛り上がっているニュースが、海外ではほとんど話題になっていない、ないしまったく知られていない、報じられていない、ということが実際にあることです。
 もちろん、この逆パターンもあるので余計に難しいのですが、何にせよ、日本で、あるいは三重県で、グローバル化だとか、国際連携だとか、海外展開だとか、いかにもな能書きで何かが取り上げられるとき、その相手方の外国の側では、それがどう報じられているかを確認してみることは大事なことです。大本営発表を鵜呑みにしてはいけません。
 幸い今はネットがあり、検索も高機能なので、わしのような一個人でも、海外での扱いぶりを確認することが可能なのです。

 地方自治体が、海外展開に取り組む。
 このこと自体は、否応なくグローバル化が進んでいる今、やむを得ないことです。むしろ必要なことと言えます。
 しかし、本当にその取り組みに効果があるのか、かかった費用に相応するだけの成果はあったのか、こちらからの一方的な片思いではないのか、についてはなかなか実地検証することができません。
 そのためには、ネットで調べてみることも意味がなくはありません。そうすれば、ワシントン州ではこの件などまったく一般住民の話題になっていない(らしい)ことがよくわかるのです。

(補足)
 唯一、わしが見つけたご当地の記事は、ノースウエスト・アジアン・ウイークリーというアジア情報専門のブログでした。
 これには
Suzuki hopes Washingtonians will make business deals with his prefecture. Certainly, he has built a memorable first impression in Seattle. It should definitely open many doors for Mie Prefecture.
 とあって、三重県知事に高い評価をしています。

 

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

県が企業の海外進出支援とは耳目は引きますが、仕事の優先性は低いと言わざるを得ません。そのためにすでにJETROがあるではないですか。一体何をやろうとしているのか。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 コメントありがとうございます。
 全くご指摘の通りで、なんら戦略のない海外展開で県庁内も混乱しており、企業からも戸惑いの声が出ているようです。
 まもなく県議会も始まりますし、議員諸賢の検証を期待したいところです。

匿名 さんのコメント...

多くの中小企業(製造業)は取引先との関係で海外へ出て行くケースが多いと思います。県と提携を結んだ都市にうまく取引先があればいいんですが・・・。物販支援に重点を置いているんでしょうか。
ただし、地方のマスコミは深く考えずにどんどん取り上げてくれるでしょうから、県のパフォーマンス(何かやってる感)としては最高でしょう。