2014年9月4日木曜日

本気で中小企業の省エネをするなら

 時事通信の配信している、地方公務員向けWEBである 官庁速報 によると、愛知県はエネルギーコストの抑制策を指南することで経営改善を手助けするため、中小企業向けの省エネ対策の相談窓口を設けるとのことです。

 「あいち省エネ相談」と名付けられたこの事業、中小企業からの初歩的な相談から本格的な省エネ対策まで手掛ける、よろず相談窓口とするコンセプトらしいのですが、その設置された窓口は、なんと1545か所(!)。

 中小企業白書によると、愛知県内には中小企業が約22万3700社あるので、省エネよろず相談窓口も中小企業1443社に1ヶ所という割合にはなってしまいます。
 しかしそれにしても、愛知県の出先機関をはじめ、各市役所、各町村役場、各商工会議所、各商工会、中小企業団体中央会、各銀行、各信用金庫、信用組合、商工中金、各JAの、支店、出張所に設置するという形となっており、愛知県全域の商工業者から農畜産業者まで、幅広い業種に対応できる体制となっています。
 三重県に比べて、愛知県は中小企業支援と、省エネ推進の本気度、実行力がケタ違いです。これには敬意を表せざるを得ません。
 もし愛知県と同じ比率で、三重県内に省エネよろず相談窓口を作るとすれば、385か所が必要です。残念ながら、三重県ではこれは、財政的にも、そして政治的センスの欠如からも、まったく不可能でしょう。


 あいち省エネ相談の仕組みはこうです。
 事業自体は県から済産業省の関係団体である省エネルギーセンターに委託されています。このため相談者(中小企業)は、省エネルギーセンターに随時、電話相談ができます。さらに同センター登録のエネルギー管理士など専門家が、相談者の事業所や1545か所の相談窓口まで出張し、相談に対応するとのことです。
 相談内容は
・ 設備の運用改善による省エネ指導
・ 省エネ事業者の紹介・マッチング
・ 機器更新等の助言
・ 助成制度・融資制度の紹介 
などで、中小企業が無理なく取り組める工夫から、本格的な計画づくりまで、企業の希望に応じてアドバイスを行い、相談後はフォローアップも行うとのことです。

 愛知県によると、企業に対して省エネ相談を行っている団体は今もいろいろあるものの、多くの中小・零細事業者はそうした団体を知らず、初歩的な相談を行える場もなかったため、気軽に相談できるよう中小企業の身近な場所に窓口をつくる必要があると判断したそうです。
 自治体や金融機関が窓口となっていることで、相談者が省エネのための設備投資を検討している場合には、その場で融資や補助金申請などの手続きができるメリットもあり、愛知県の担当課は「省エネまで手が回らなかった事業者が、エネルギー効率改善に取り組むきっかけになれば」と話しているとのことです。(官庁速報 2014年9月4日付け)

 製造業の六重苦の主犯とされた円高でしたが、アベノミクスで為替が円安に振れると、エネルギーを輸入に依存する日本はたちまちエネルギー費の高騰に悩まされることとなりました。しかも皮肉なことに、円安になっても輸出は世間で期待されたほど利益が上がらず、貿易収支は赤字基調となっています。

 すでに成熟した産業構造である日本では、円安にはほとんどメリットがないことは実は多くの識者が指摘していました。エネルギー費の上昇や原材料費の高騰といったデメリットは、経営体質のぜい弱な小規模企業者をまず直撃します。
 しかし、世界的な資源高の傾向や為替は一企業の努力ではどうにもなりませんが、省エネの工夫やエネルギー源の多様化、補助金活用による省エネ設備の導入や更新にはまだまだ取り組む余地が大きく、それらの対策によって経営が改善することは大いに考えられます。
 省エネ対策は大企業ほど進んでいる現実があり、それゆえ一般家庭や中小企業に省エネの伸びしろは大きく、中小企業向けの省エネ対策を徹底的に行うことは社会と企業の両方にメリットが大きいのです。

 一方で、中小企業対策の全般に言えることですが、行政によるいろいろな施策は数多くあるものの、なかなか末端の小規模な事業者にまで知れ渡っていないことや、行政の支援策は手続きが煩雑で心理的なハードルが高いことなどの課題があります。
 その意味で、ローラー作戦といえる1545か所もの窓口設置、しかも、省エネという時宜にかなった経営課題に集中するという戦略は、非常に当を得たものだと感じます。

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