2014年9月9日火曜日

JA三重南紀のミカン輸出が順調らしい

 9月9日付けの日経MJ「食のフロンティア」には珍しく三重県の事例が取り上げられていました。三重県御浜町に拠点を置くJA三重南紀(三重南紀農業協同組合)が、平成22年度から取り組んでいる、タイへのミカンの輸出についてです。
 このことについては、以前もこのブログに書いたことがあります。(はんわしの評論家気取り「JA三重南紀がみかんをタイへ輸出!」2010年11月19日
 御浜町など三重県最南部の南紀地方は温暖な気候を生かした柑橘の栽培が盛んで、御浜町は年間を通じて何らかの柑橘類が収穫可能であり、「年中みかんがとれるまち」を標榜しているほどです。
 しかし、代表的な温州ミカンをはじめ、柑橘類の消費は年々減少しており、産地の生き残りを図る意味でも海外への輸出は大きな課題となっていました。
 JA三重南紀では、酸味が少なく高糖度な早生温州について、タイの消費者の嗜好に合うことなどの判断から輸出に着手しました。
 しかし、愛媛県や和歌山県、静岡県など全国に柑橘の産地は多く、それらも輸出に着手していた中で、決して先発組ではないスタートであり、輸出がすぐにビジネスベースに乗ることはなく、一定期間は試行錯誤が続くものと考えられていました。

 ところが、MJの記事によると、南紀は非常に善戦しているようです。
 早生温州の輸出量は、平成23年度7トン、24年度は8トン、23年度は14トンと順調に増加しています。今年度は、高級品種である「せとか」と、デコポンの愛称がよく知られる「不知火(しらぬい)」2トンも本格輸出し、温州と合わせて22トンを輸出する予定とのことです。
 日本全体のミカン輸出は、ここ10年間は需給調整の意味もあって増減を繰り返しつつ伸び悩んでいるそうですが、南紀はこれとは対照的です。関係者の皆さんの努力のたまものかと敬服する次第です。


セントラル・グループHP
 輸出先は、ごく一部に香港向けもあるものの大部分はタイ向けで、タイの流通業大手 セントラル・グループとの販路を確立し、セントラルの約50店舗で販売されているほか、タイ王室への献上や、現地での三重県フェアの開催など積極的なプロモーションも行っています。
 わしも知らなかったのですが、セントラルグループは、コンビニのファミリーマートやドラッグストアのマツモトキヨシなど日本の流通大手と提携もしており、たくさんの日本製品を扱っています。
 店舗も、日配品中心のトップス・マーケット、高級食品中心のセントラル・フード・ホールなど多チャンネルを有しています。

 南紀の早生温州の店頭価格は運送費などのマージンが乗って、キロ当たり1500円とのこと。ネットでセントラルのタイ産のオレンジを見ていると、5個入りが約200バーツ(620円くらい?)です。
 これと比べて、南紀のミカンがどれくらい高いのかは今ひとつピンとこないのですが、いずれにせよメインの顧客は現地の富裕層で、「甘くてジューシー」「皮がむきやすい」など評価は高いそうです。

 もっとも、問題もなくはありません。
 MJによれば、
1)輸出量はJA三重南紀全体の生産量のうち0.3%に過ぎません。将来は1%程度の85トン程度にまで増やしたいとのことです。
2)タイは輸入農産物への検疫が厳しく、「出荷ごと」に検査官が来日して虫害や病害をチェックすることが義務付けられています。日本側でも検査を2週間ごとに行う必要があり、検疫コストが大きな負担になっています。
 2の検疫の模様についてはJA三重南紀のホームページにも関連記事があり、これはこれで大変みたいです。
 タイは農業国なので検疫が厳しいことは理解できますが、日本は農業生産も十分に管理されているので、実態に即した緩和措置がとれないものでしょうか。MJも書くように、行政の出番はまさにこのような交渉ごとの部分です。とくにこれは具体的なビジネスマターなので、農水省や県ももっと前向きに対応すべきではないかと感じます。

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