2014年10月13日月曜日

三重県の景況は実のところどうなのか

 ここへきて、来年10月に予定されている消費税率の再上昇に慎重な声が大きくなっています。
 物価は政府・日銀の見込みどおり上昇傾向になっているものの、一部の業種や大企業を除いて賃上げが追い付いておらず、消費者の消費動向を示す指数は軒並み落ち込んでしまっています。
 この理由は、当初は消費税増税駆け込み需要に対する反動減という見方が強く、さらには今夏の「天候不順」により消費の回復が遅れてしまったためという説明がなされていました。
 ただ、この間に円安が進んで、輸入に頼るエネルギーや原材料の価格がますます高騰しそうな見通しとなったことで、心理的にも景況の「一服感」から、緩やかな後退局面に入ったような実感があります。

 三重県に関していうと、県北部で盛んな自動車産業(製造業)が地域経済全体を牽引している構図は間違いなく、自動車部品製造企業に聞くと「かなり忙しい」という声を聞くことが多いですし、そのほかにも東芝・サンディスクの四日市工場のような大型投資案件があり、一定の堅調さは垣間見えます。
 伊勢市以南の県南部については、観光業は伊勢神宮の遷宮効果もあってかなりの強含みでしたが、1年経ってやや落ち着いてきた感じもあり、観光業と、今後の公共投資の増加が見込まれる建設業が地域経済を牽引する形になるのでしょう。

 三重県でも、多くの機関・組織が、企業経営者を対象に景況の調査を定期的に行っています。明らかに潮目が変わってきたと思われる現時点で、これらの調査は現状をどう判断しており、これから先、どのように進むと捉えているのでしょうか。



○県内経済情勢報告  http://tokai.mof.go.jp/tu/t_keizaiindex.htm
 まず、最も信が置ける(と、わしが思う)のは、東海財務局津財務事務所が四半期ごとに発表している県内経済情勢報告です。しかし、ちょうど今のタイミングは平成26年10月分が発表される直前のタイミングで、データが7月発表分しかないので、9月11日に公表された「法人企業景気予測調査」を見てみます。
 法人企業景気予測調査は、資本金が1千万円以上の県内企業が調査対象で、もともとの母数が150社くらいしかありませんが、三重県内の「大手」企業の考え方がわかります。
(1)景況判断  全産業の現状判断は「下降」超。先行き見通しは、26年10~12月期は「上昇」超に転じるものの、27年1~3月期は「下降」超に転じる見通し。
(2)雇  用   現状は全産業で「不足気味」超幅が拡大。先行き見通しは、期を追って「不足気味」超幅が縮小する見通し。
(3)売上高(電気・ガスを除く)
 ・26年度上期 2.3%の増収見込み
 ・26年度下期 2.0%の減収見通し
 ・26年度通期 0.1%の増収見通し
(4)経常利益(電気・ガス、金融・保険業を除く)
 ・26年度上期 0.3%の増益見込み
 ・26年度下期 6.3%の減益見通し
 ・26年度通期 2.5%の減益見通し
 これらの結果を見ると、現状はともかく、将来的には厳しい状況との予想が多いようです。

○三重の小規模企業景況調査報告書  http://miepfcci.pro.tok2.com/sub3_1.html
 三重県商工会議所連合会が、小規模企業(従業員が製造業なら20名以下、小売業等なら5名以下の企業や個人経営者)を対象に1月と7月の年2回調査を行っています。
(1)現 状  良い・やや良いが11.8%、悪い・やや悪いが43.5%。
        業種別DI値は、建設業が2.7、製造業が-17.6、小売業が-46.8、などとなっています。
(2)見通し  良い・やや良いが19.9%、変わらないが37.4%、悪い・やや悪いが42.3%。
        DI値は-31.7で、前回調査より11のマイナスとなっています。
 このほか、売り上げの現状と見通し、利益状況、販売・仕入れ条件などの設問もありますが、いずれも厳しい数字となっています。
 この調査によれば、大手企業に比べて小規模企業は景況の回復が遅く、悪化も早いということになるのでしょう。しかし、商工会議所などが行う小規模事業者向けのアンケートは、どのようなものでも比較的、企業にとって厳しめの回答となる(経営は苦しい、利益は上がっていない、見通しも暗い、というような)傾向が強いような気はしますので、この点は割り引く必要があるかもしれません。
 わしが思うに、小規模企業は大手企業に比べて地域密着型のため、大きな経営戦略の転換や生産性向上が色々な意味で難しく、ある種の構造不況になっているためかと思います。

○百五経済研究所 三重県経済の動向  http://www.hri105.co.jp/report/doukou/
 上の2つのように、経営者に主観的な見通しを聞く方法でなく、政府などが発表する各種の統計調査結果に基づく分析で、コンパクトにまとまっています。直近は9月22日に公表されたものです。
(1)総 論  三重県の景気は回復基調にあるものの、一部に弱い動き。 
(2)個人消費  低下。 
 7月の大型小売店販売額は4か月連続の減少。8月の乗用車の新車登録台数は軽自動車も含む乗用車全体で13.6%減となり2か月連続で減少。
 7月の消費者物価指数(総合指数)は、前月比 0.4 ポイント上昇、前年比は 3.4 ポイント上昇。

○三重県内経済情勢及び三重県景気動向指数   http://www.pref.mie.lg.jp/DATABOX/keizai/keizai/gaikyo.htm
 三重県が主要経済指標の動きと、CI、DIを分析し、毎月発表しているものです。直近では9月30日に、7月分が公表されました。
(1)概 況   県内経済は、緩やかに回復しているものの、一部に弱さも見られる。 (生産は、回復が一服している。個人消費は、弱い動きとなっている。雇用情勢は、改善している。) 
(2)CI値   一致指数(景気の現状を示す指標)は 135.0 となり、前月と比較して 0.8 ポイント下降。CI 一致指数からみる県内経済の基調は、足踏みを示している。 
(3)DI値  一致指数は景気判断の分かれ目となる 50%ラインを 2 か月連続で下回った。先行指数は、景気判断の分かれ目となる 50%ラインを 6 か月連続で下回った。 
 ちなみに、CIとDIの違いについては、三重県庁のこちらのページを参照してください。

 さて、つらつらと三重県の景況に関する調査を見てきました。もちろん、これら以外にも金融機関やシンクタンク、信用調査会社などがそれぞれ調査結果を発表していますので、これらはその一部ということができます。

 それぞれ、見方はいろいろあるとは思いますが、やはり今年度いっぱいはともかく、来年度からは景気の足踏み感~後退感は三重県でも強くなると言えそうです。
 ただ、留意すべきなのは、もはや三重県経済も成熟していて、産業は多様化、高度化しており、高度成長期やバブル経済期のように、すべての業種が上昇局面になるとか、ほとんどの国民階層の所得が上昇するということにはもはやならないことです。
 その意味では、「三重県」という地域 ~三重県内の、北勢、中勢、南勢志摩、伊賀、東紀州といった県域も含めて~ を一律に捉えた景況判断は不正確になると考えざるを得ません。実際には、地域内でも景況や消費動向はモザイク状、さらに業種・業態も景況は様々なまだら模様であり、その多様性を踏まえた現状把握と対策が重要だと思います。



0 件のコメント: