2014年10月26日日曜日

来月、興味深いセミナーが四日市で2つ

ビズ・スクエアよっかいちHPより
 来月の15日(土)、三重県の四日市ドームで開かれる「みえリーディング産業展」で興味深いセミナーが2つ開催されるのでご紹介しておきましょう。

 1つ目は四日市市のインキュベーション施設であるビズ・スクエアよっかいちが主催するセミナーです。講師はあのジャパンディスプレイ(株)の最高財務責任者(CFO)である 西 康宏氏で、テーマは「世界に打って出る財務戦略・日本の技術」というものです。

 ジャパンディスプレイは、平成24年に、日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業部門が統合して設立された会社です。液晶パネルはかつて日本のお家芸であり、薄型テレビが世界を席巻しました。しかし国際競争に打ち勝つには連続した技術革新と同時に、製造装置への巨額投資が必要であり、トップダウンで迅速な投資決断を行った韓国のサムスンなどに対して、合意型意思決定の日本企業は次第に後れを取るようになり、ついにはシャープ、パナソニックなどの経営危機を招いたのでした。
 そこで、高い技術力を持っているものの、各社がライバル関係で単独による大型設備投資に踏み切れなかった3社を、産業革新機構(はんわし注:重要産業・企業を再生させるための官民共同による投資ファンド。形態は株式会社。)が主導して、すなわち資本金を出資して合併させ、誕生した会社です。


 中型・小型の高機能液晶の開発・製造に特化し、平成25年3月期には黒字転換を果たしました。
 ジャパンディスプレイの業績回復(*)は、同じく産業革新機構が支援(出資)したルネサスエレクトロニクスと対比して語られることが多いようです。
 ルネサスも日本半導体の国際競争力の維持のため、平成22年に国内の半導体製造大手3社が合併してできた企業でしたが、経営不振に苦しみ、結局産業革新機構の支援を仰ぐことになりました。(この辺りのいきさつは、以前このブログでも取り上げました。リンクはこちらを。)

 なぜジャパンディスプレイはうまくいったのか、また、今後も厳しさが続くと思われる世界の液晶事業の見通しについて、さらには、日本の製造業企業が陥った、いわゆる日本型ものづくりノジレンマ ~技術と製造現場を重視して、マーケティングとマネジメントを軽視する~ をどう克服したらよいのかについて、有益な示唆が得られるのではないでしょうか。
 すべての産業人にとって必聴のセミナーと言えます。

* ただし、同社の平成27年3月期の決算予想は、タブレット向けディスプレイの販売不振や売価下落などの理由により下方修正されました。

■ビス・スクエアよっかいち セミナー・イベント情報  http://www.bizsq41.jp/detail.php?id=106


 もう一つの注目セミナーは、三重県主催により三菱航空機(株)社長の川井昭陽氏を招いて開催される「世界へはばたけ! 国産旅客機MRJ」と題された特別講演です。
 日本の製造業界にとって航空機産業の拡大はある種の悲願でした。自動車産業が衰退したと言われるアメリカですが、飛行機やロケットの製造分野においては軍需民需含めて圧倒的に世界をリードしており、いわば「高付加価値型の製造業」への転換を果たしています。
 日本も新興国のキャッチアップは時間の問題で、自動車や家電といった産業の製造工程がコストの安い新興国に移転していく流れは止められません。数少ない製造業生き残りの方法が、今後成長が見込まれる航空機産業への参入です。
 YS-11以来、40年ぶりの旅客機開発であるとともに、ジェット旅客機の開発は日本史上初めてのことです。40年間に多くのノウハウが失われてしまっていたため、MRJの開発は国が全面的にバックアップし、三菱重工が取り組むという「国策」として進められました。

 先日、ようやくテスト用の飛行機が完成し、来年の春~夏に初飛行、平成29年には製造と出荷が行われるそうで、現在すでにANAを始め多くの航空会社がMRJの購入を決定しています。
 このように好スタートのMRJですが、市場が拡大すると見込まれる中型機市場だけに、ボンバルディア、エンブラエル、エアバスなどライバル会社も強力で、しかもMRJに先行しています。
 さらに、航空機の自主開発の目的である、国内の製造業の高付加価値化への転換ですが、自動車に比べて生産台数が少なく、品質管理が厳格な飛行機の製造は、特に中小企業にとって取引への新規参入が難しく、利益も上がりにくいと言われています。
 しかも、このブログで何度も指摘しているように、そもそも国(政府)が成長戦略で市場成長を見込み、主導する「成長産業」が実現したためしは近年ありません。政府による市場予測と産業育成は失敗の連続といってよく、航空機市場も今後の世界情勢によって大きな変化に見舞われることでしょう。

 しかしながら、日本にとって明るいニュースであり、当事者から話が聞ける貴重な機会ではあります。関心がある方は参加されてはどうでしょうか。

■三重県ホームページ (みえリーディング産業展2014 特別講演「世界へはばたけ!国産旅客機MRJ」の参加者を募集します)  http://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/2014100095.htm

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