2014年11月18日火曜日

伊勢神宮廃材の行き先は?

 昨年、平成25年は伊勢神宮が第62回の式年遷宮を行いました。
 式年遷宮については、このブログ「はんわしの評論家気取り」でも再々取り上げているので、詳しくはそちらをご覧いただくとして、今日は遷宮後に大量に出る廃材はいったいどう処理されているのか、について書いてみます。

 遷宮では、神殿はもちろん、鳥居、塀、附属建物群など一切の建築物が造り替えられます。そのために使用する木材(ヒノキ)は膨大な量となり、丸太材積で約10,000㎥必要になるというのが定説のようです。

 一方で、古殿はまるまるすべて撤下されることになるので、ほぼこれと同等の量の古材が生まれることになります。前回の遷宮以来、20年の風雪を経ているので腐食や目減りがあることは仕方がないとしても、これまた膨大な量の処理が必要となります。

 しかし、これは有名な話ですが、これらの古材は捨てられたりする部分は割と少なく、表面をカンナがけし直すことで、多くが再利用されています。


 伊勢神宮に使われているヒノキは、主要な柱である「棟持柱」では樹齢が500年以上のものが、その他の部分でも梁など主要な部位は樹齢が300年ほどもある木材が使われているため、表面は古くなっても中まで腐食したり反ったりすることはまったくないからです。
 内宮(ないくう)の五十鈴川にかかる宇治橋にある鳥居は、前回の遷宮時に出た内宮と外宮(げくう)の正宮の棟持柱が再利用されていますし、この鳥居はさらに次回の遷宮では、亀山市・関宿の関の追分の鳥居と桑名市にある東海道・七里の渡しの鳥居に再利用されています。つまり、短くとも60年間は使用されるわけです。

 このほかにも、伊勢神宮にゆかりが深い、全国の神社にも廃材は再利用されています。有名どころでは名古屋の熱田神宮もそうですし、ネットで調べると、本当に数多くの事例が見つかります。

 最近では、横浜市西区にある伊勢山皇大神宮に伊勢神宮の廃材が下賜され、社殿が新しく建て替えられることとなったニュースが報じられています。(神奈川新聞 11月15日付け
 伊勢山皇大神宮は明治3年、当時の神奈川県副知事井関盛艮が太政官に建白書を送って建立が決まり、現在の桜木町駅西側の高台に勧進された由来を持ちます。

 平成32年に鎮座150周年になるため、本殿の改築が計画され、同社の池田宮司が伊勢神宮に要望して古材が提供されることになったとのこと。
 ちなみに、現在の伊勢山皇大神宮本殿は、解体されたあと宮城県石巻市の鹿島御児(かしまみこ)神社で使われるとのこと。やはりここでもリサイクルが成立しているのです。

 わしも仕事柄、いろいろなところへ出張するのですが、各土地土地に「伊勢」という地名があったり、「皇大神宮」を冠した神社を見つけたりします。これはやはり伊勢市民にとって誇らしく、ありがたいことであると感じるとともに、伊勢信仰で結ばれたご縁は、観光に利用するとか、地域おこしの材料にするといった底の浅い近視眼的な「活用」ではなく、日本という国、日本人という民族の静かな底流のような関係性として、いつまでも続いていてほしいものだ、と思うのです。

■伊勢山皇大神宮   http://www.iseyama.jp/

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