2014年11月22日土曜日

よかった、三重は変わらない

 一週間ほど前のこと。三重県内の企業が多数出展し、大勢の来場者でにぎわっていた四日市市のイベント会場から、人目を避けて逃げるように出て行く鈴木英敬三重県知事の後姿を目撃した人もいたことでしょう。
 現場主義、庶民派と自称している鈴木氏は、確かに県内各地のさまざまなイベントや会合に小まめに顔を出しています。しかし、ほとんどの場合、彼が表に出てくるのは、下僚が事前にセットして段取りを終えた「限られた空間の限られた時間帯」だけのパフォーマンスであり、たとえばこの産業展でいえば出展企業や来場者の一般県民と、いわば事前の打ち合わせなどなく、どんなハプニングが起こるか、逆に言えばどんなチャンスが転がり出すか予測不能な生々しい現場には決して出てこないのが大きな特徴です。
 もちろん露骨には逃げ出せないので、注意深く口実を準備しています。この日の理由は、「第2回日台若手経営者意見交換会」なるイベントが同じ時間に四日市市内の別会場で開催されるため、そちらに出席しなくてはならないからという理由でした。
 しかしこれは苦しい理屈でした。
 彼が他に用務があると中途退席したのは、三重県の産業功労者や優秀な社会的取り組みをしている企業に対する「知事表彰式」の真っさ中であり、それを途中までやっておいて、キリが付いたところで表彰者本人が会場からいなくなるという実に不自然なものだったからです。

 しかも、さらに不自然なのは、日台交流会は日台交流会は急遽開催が決まったり、会場が変更されたのではなく、少なくとも開催10日ほど前に何らかの理由で変更されたものだからです。
 産業展の公式ガイドブックには、日台交流会が同時併催イベントとして同じ会場内で行う予定であったことが明らかです。つまり、ガイドブックには日程がそのまま印刷されており、その上に、「このイベントは会場が変更しました」と追加印刷してあるのです。
 この微妙なタイミングは何を示しているのでしょうか。
 これは、もし知事がその場に残って表彰状の授与を続けていればどうなったか、誰と遭遇することになったか、を考えてみればわかります。
 非常に興味深い推理が、~繰り返しますが、これはあくまでわしの個人的な推測です~ が成り立つのではないでしょうか。
 くわしくはこちらの関連諸リンクをご覧ください  リンク1   リンク2   リンク3

 このように、史上最年少の知事として当選した矢先にダーティーなカネの噂がまつわりついた鈴木氏ですが、来年の三重県知事選挙に再選出馬を表明し、2期目の続投に意欲を見せた彼の評判は、実は意外に悪くありません。
 鈴木氏が(正確には彼本人ではなく彼の後援会が)前回の立候補時に発表したマニュフェスト(公約集)の多くの部分は、結果的にこの4年間で達成されていないか、不十分にしか達成されていません。(もちろん成果もありますが、アウトプット成果が多く、アウトカム成果は思いのほか少ないのです。)

 特に、目玉だった県庁の総人件費の2割削減は、労働組合とのシリアスな交渉ができないため、中途半端な削減に終わっています。
 彼自身が兵庫出身の落下傘候補で三重県に地盤がなく、キャリア官僚としても「1円起業制度の創設」といった程度の仕事しかしていないライト級だったため、場を仕切ることができないのです。
 知事に就任してからも、労働組合や一般職員と労働条件について直接話し合う場も持たない。いわんや、県民との厳しい交渉(お膳立てされていない)場からは逃げまくる。何かと言っては海外に出張する。などなど、その所作言動には多くの県政関係者が疑問符を持っているのが現状でしょう。

 しかし、それでも彼の評判は悪くないのです。
 なぜか。
 裏返しですが、政治力がないゆえに、本質的な県政の改革はしない、できないことが明らかとなったからです。
 職員の人件費を削減できない。これは労働組合と交渉する政治力がないと同時に、人件費削減の副作用として避けられない、県事業の縮小(これは県民の利害に直接かかわる)や県職員のモチベーション低下に対案を描く政治力もないことを示しています。

 このように、神輿が軽いほど担ぎ手は楽なのです。
 担ぎ手には累が及ばない。間違っても神輿の速度を倍にしろとか、神輿はもうやめて今度からクルマにするとか言い出しはしないでしょう。だからありがたいのです。
 もちろん、神輿の行列がどこに進んで行くのかは誰にもわかりません。もし谷底に落っこちても、それは神輿や、担ぎ手のせいではなく、神輿を選んだ方の責任なのですから。

0 件のコメント: