2014年11月23日日曜日

結局「美し国おこし・三重」とは何だったのか

 11月22日、伊勢市にある三重県営サンアリーナで開催された、三重県民大縁会 ~縁 ジョイ!みえの地域づくり~ なるものに見物に行ってみました。
 この会は、「パートナーグループをはじめとする地域づくり団体等による約140の三重の魅力満載の展示・物販・体験・飲食等のブース出展やステージ発表、・・・(中略)・・・ 丸一日、家族で楽しく過ごしていただける地域づくりのフェスティバルとなっています。」とのことです。


 聞いた話では、平成21年度から足掛け6年間にわたって三重県が推進してきた「美(うま)し国おこし・三重」の集大成のイベントとのことで、どのような成果発表が行われるのか、しかもそれが家族で楽しめるとはどんなものなのか、関心があったのです。
 この日の伊勢は晴天、絶好の行楽日和で、かなりの人出がありました。

 しかし、よく見ると、100人ぐらいが行列していたのは「景品引換コーナー」の列でした。ほかにも、消防自動車やパトカーの展示などには家族連れが集まっています。
 中に入ると、ご当地アイドルみたいな少女たちが何か踊り唄っています。非常に雑然とした、要するに「お取引様感謝祭」とか「なになに産業まつり」みたいな、普通の家族向けのイベントにしか思えません。地域づくりとどう関係があるのか・・・と思いつつアリーナ内へ入ってみると。

 ご縁横丁と銘打ったブース展示になっています。100以上はあり、わしが知っている人もたくさん出ていました。




 そこそこ、というか、かなり賑わっています。
 出展者は多彩で、農山村で特産品開発して地域おこしをしようとしているグループ、ご当地B級グルメのPRグループ、趣味の?手づくりのクラフト品などを展示販売しているグループ、障がい者福祉を情報発信しているグループなど、実にさまざまです。
 これはこれで、地域おこし活動の多義性とか多面性を表しているのでしょうが、正直ごちゃごちゃで何が何だか、統一感はまったくありませんでした。
 また、県(県庁)関係の出展が異常に多く、会場の出口で「役所のPRばっかやなあ」と感想を漏らしている声を実に多く聞きました。


 そもそも「美し国おこし・三重」とは何だったのでしょうか?

 三重県のホームページによれば、
・特色ある地域資源を生かした自発的な協創による自立・持続可能で元気な地域づくりをめざす取り組みである。
・地域のさまざまな主体が、特色ある自然や歴史、文化などを活用して取り組む地域づくりを基本に、平成21年から平成26年までにわたって、多彩な催しを展開する。
・それにより、地域の魅力や価値を向上させ、発信するとともに、集客交流の拡大を図り、自立・持続可能で元気な地域づくりへとつなげていく。
・この取り組みを契機として、今後、三重県全域で、人と人、人と地域、人と自然の“絆”を深め、この地で暮らしたい、暮らし続けたい、訪れたいと感じることのできるような「美し国 三重」へとさらに磨きをかけていく。
 ことが事業の趣旨です。
 わしは6年前にこれを見聞きした時から今一つ内容がよく理解できていませんでしたが、読み返してみてもやはりよくわかりません。

 住民の自主的な「地域おこし」活動を、県が物心両面で支援する。その目的は三重県が魅力的な地域へと磨きをかけていくことである。というのですから、ゴール地点が非常にあいまいなのです。
 しかも、地域おこしとは、文化、歴史、環境保全、産業、福祉、教育、生活支援、などなど多様な切り口があり、それぞれの目指す目標や運営形態、経済的な自立性は大きく異なっています。
 いかにきめ細かく支援したとしても、県という広域自治体ができることには限りがありますし、しかも県の施策は何かにつけて「サンセット方式」で、最初は華々しく盛り上げますが、何年か経つと徐々にトーンダウンし、担当する職員もエース級から今一つパッとしない人ばかりになり、ある年の3月で予算がスパッと切られて、ジ・エンドとなるパターンがほとんどです。

 なので、この「美し国おこし・三重」も、住民グループを焚きつけるだけ焚きつけて、最後は県はハイ、さよならと逃げてしまい、結局は市や町に後始末が押し付けられるのではないか、また、住民グループも急にハシゴを外されて、たちまち立ち行かなくなるのではないか、という懸念は多くの人が表明していました。

 さらに不運なことに、「美し国おこし・三重」が始まってわずかで知事選となり、これを提唱した言い出しっぺの知事は立候補せずに姿を消し、新しく当選した鈴木知事もこの事業についてはさすがに持て余したらしく、ホームページには「美し国おこし・三重」の取組を進めることで、「美し国 三重」をさらに元気にし、日本一、幸福が実感できる三重をめざしてまいります。 と自分の選挙公約に絡めて挨拶はしているものの、やはり自分自身の腹には落ちていなかったようで、結局は熱くならずじまいのままでした。

 ブースを出展していた何人かに話を聞いたところ、今日の大縁会には意義があった、「美し国おこし・三重」は有意義だ、と語る人がいたのは事実ですが、ほとんどの人は、「美し国おこし・三重」の「パートナーグループ」(県からの支援を受けられる登録団体)になっており、県の人から今日こんなイベントがあるので、とにかく何か出展してくれと頼まれ、断れなかった。との回答でした。
 それではなんでパートナーグループになったんですか、と聞くと、これまた県の人から頼まれたから、とか、グループに登録すると支援が受けられるから、という理由。

 これまた、何だかよくわからない迷路に入っていく感じでした。

 結局、こう総括できるのではないかと思います。
1)地域おこしの取り組みをひとくくりにして県が支援するというやり方は、あまり意味がない。
2)その理由の1つは、活動の多義性や自主性、自立性に対応できないから。
3)もう1つの理由は、地域おこし活動に県が望んでいるものが不明確だから。グループに自立を望んでいるのか、県の事業の補完・下請け先として実は手元にいてほしいのか。5年先、10年先に県はここまでの業務はやるから、それ以外の部分は民でやってほしい、という将来の姿の青写真がない。
 つまり、制度設計が不完全だったということではないかと思います。もちろん、制度設計は簡単ではありません。変化の速い今の時代、行政の計画などたちまち陳腐化するからです。
 そのような中、「美し国おこし・三重」に努力されてきた住民グループや県職員、関係者には頭が下がる思いなのはわしの本心ではあります。

 今思い出したのですが、あるコンサルタントの話。
 お店には流行る店と流行らない店がある。流行らない店にはいくつかの共通した特長があるが、その一つは、店や商品の名前がわかりにくい(書きにくい、読みにくい)ということ。携帯メールで変換できないようなネーミングは避けるべし、とのアドバイスでした。これって本当だったんだな、と思いました。


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