2014年11月24日月曜日

伊勢の人の前で、これだけは言っちゃアカンこと

 この三連休は、台風が続いていた先月とうって違って晴天続きで、しかもそれほど寒くもなく、伊勢はまさに行楽に最適な日よりでした。


 伊勢神宮にお参りに来られた方も非常に多く、特に土曜、日曜は市内の道路も大混雑だったためか、お客さんのほとんどはふだんなら伊勢市民が占めていると思われるコンビニとかスーパーでも、ちょっとした買い物をされている観光客をよくみかけました。

 わしがレジに並んでいたときのこと。
 観光客と思しきお客さんが会計の合間に「がいぐうはやっぱり駐車場が少ないんですかねえ・・・」と話しかけていた時の、店員さんのとまどったような一瞬の表情をわしは見逃しませんでした。


 昨年は、伊勢神宮は20年に一度の式年遷宮で、まち全体が高揚しており、わしも週末だけはボランティアで観光案内もどきをさせてもらっていたのですが、やはり東京かどこかの地方からお越しになった方が「ないぐうは中が広いから暑くて大変だったよー」などと言葉を発した時の、ボランティア仲間の表情の変化を、やはりわしは見逃していませんでした。
 今日のコンビニ客、去年の参宮客、ともに、言ってはいけないことを伊勢の人の前で言ってしまったのです。

 それは、外宮(豊受大神宮)を「げぐう」などと、内宮(皇大神宮)を「ないぐう」などと、誤って発音したからです。
 これは、伊勢の人が、最も忌み嫌い、軽蔑する誤読です。わかりやすく言えば、アホ扱いされるのです。

 正式な発音は、外宮は「げくう」、内宮は「ないくう」です。この場合「宮」はぐうと濁って発音せず、「くう」と清音で発音します。
 伊勢神宮は神道界において唯一至尊のお社であり、伊勢の人にとっては、日本人なら、神様を慕ってお参りに来るぐらいなら、伊勢神宮の名前くらいは正しく発音しなさい、それがあたりまえやんか、と思えるのです。自分達自身が子どもの時からそう呼び習わしているし、それが当然だと思っているだけに、この違和感は相当に強烈なものがあります。
 
 もっとも、ものの本によると、げくう、ないくう、という発音は伊勢神宮でのあくまでも慣習的な呼び方のようです。
 太陽神で日本民族の祖先である天照大神を祀る皇大神宮は、豊受大神宮より先に成立しているので「内つ宮」(うちつみや)、その後、天照大神を助けるためにやって来て鎮座したのが「外つ宮」(とつみや)という相対的な位置関係にあるので、内宮、外宮と表記しますが、古来からの呼び名まではわかっていませんし、時代とともに変化しているのが当然でしょう。

 そもそも「伊勢神宮」は「ぐう」と読むわけなので、内宮をいきなり「くう」と濁らずに読め、と言われても大方の人は聞きなれないし、戸惑うと思います。また、一部の地方の出身者にとっては、特に「げくう」という音は発音しにくいと聞いたことがあります。

 しかし、伊勢ではとにかく、これはこうなっているのですから、げくう、ないくうと正しく発音してもらう以外ありません。

 たまに、境内とかおはらい町などで、古代史や神道に関する知識があるのか、仲間にいろいろと伊勢神宮の講釈を垂れている訳知り顔の人を見かけます。本人は悦に入っていますが、多くの場合、こんな人ほど「ないぐうは千木が水平なんだよ」とか「がいぐうにはないぐうにない九条殿という建物があるだよ」とか言っているので、それを聞いた周りの伊勢の人は、みな腹の中で「アホなやっちゃ」と小馬鹿にし、笑っています。くれぐれも注意しましょう。

 老婆心ながら、外宮を「げぐう」と読むとアホ扱いで済みますが、「がいぐう」と読むとこれは致命的な失策で、ドアホ扱いになりますので申し添えます。 

0 件のコメント: