2014年11月9日日曜日

伊勢市産業支援センター 濱田典保氏のセミナーメモ(その2)

(承前)伊勢市産業支援センター 濱田典保氏のセミナーメモ(その1)

 ここから、K&Kカフェの趣旨に沿って、「上に立つ者としての心構え」を話したい。
 これからのリーダーに必要なことは2つあると考えている。
 一つは専門性。お客様に付加価値を提供するために、リーダーが高い専門知識を持つことは欠かせない。
 もう一つは人間性。人と人を結びつけたり、お客様に訴えたりできる力である。
 この2つを備えている人がリーダーと呼ぶべき人で、つまりは「みんなをその気にできる人」「みんなの共感を得られる人」と言い換えてもよい。
 父親の世代には、リーダーは専門性だけでよかった。「俺について来い」で、社員に命令し、社員はそれに従っていればよかった。しかし、今は違う。

 現在、どこでも中小企業や個人事業主の後継者難は実に深刻である。自分と同じような二代目の経営者が集まっている勉強グループがある。そこの友人たちと話をしていると、その多くが後継者がいないため、自分の代で商売は廃業すると言っている。これはどの業種でもそうだろうと思うが、つくづく大変な時代である。
 しかし、このような時代だからこそ、若い世代が事業を継承しなくてはいけない。組織が新陳代謝するには現代の新しい感覚を経営に取り入れることが必要で、そのためには経営者が若くなくてはいけない。

 次に、食品偽装の不祥事により危機的状況となった赤福が、どのような自己改革を行ったかを話したい。
 今から50年も前に、アメリカのケネディ大統領が「消費者の利益保護に関する特別教書」というものを発表した。消費者は、「安全な商品を提供される権利、十分な情報を与えられる権利、選択できる権利、そして、意見を聞き届けられる権利の4つを有している」という内容である。これが50年も前に語られたアメリカはすごいと思うが、この4つの考え方が、不祥事後の赤福のバイブルとなっている。
 まずは、徹底した衛生管理を行った。食品衛生の基本として、整理、整頓、清潔など7つのSを徹底した。今までは赤福の300年の伝統に沿ったやり方でよかった。しかし、食品の安全確保は基本中の基本である。頭を切り替えた。
 また、社内に改善提案箱を設置し、従業員による提案や意見が社長に直接届けられる仕組みに改革した。
 そして、コンプライアンスの徹底。これも当たり前のことだが、やはりどうしても自分達のやり方に安住してしまいやすいので、コンプライアンスホットラインを設け、セクハラ、パワハラ、法令違反の疑いなどがある場合は、従業員から直接顧問弁護士に情報が届くようになっている。会社で判断せずに、専門家にまずは判断を委ねることが大切。
 これらの改革は、現社長である母親にも引き継がれているものと信じている。

 赤福が3ヶ月の営業停止処分から、営業再開したのは2008年2月6日。忘れもしないが大変寒い朝だった。この時の安堵感というか、みなさまのおかげでという感謝の気持ちは絶対に忘れてはならないと思っている。

 最後に、赤福にとっての経営の革新について話したい。それがおかげ横丁である。
 赤福は伊勢に根ざし、今後もそのことは変わらない。しかし、この地域でお餅を売っている限り会社の成長はない。お餅を売りにいくのではなく、食べに伊勢に来てもらう。そのお客さんをいかに多くするか。これが赤福にとってのイノベーション(革新)であった。
 自分達の伝統は守りながら革新することはできる。その目線で見れば、実はまだまだ革新のために挑戦できる余地は多いのではないか。

 これは30年ほど前のおはらい町の光景である。修学旅行生のほかに人はほとんど歩いていない。そして、おはらい町の街並みのど真ん中に大きなビルが建っている。このビルは何を隠そう当時の赤福の本社と社員寮である。この時代は、大きな本社ビルがあることが赤福にとって、さらに伊勢の街にとっての繁栄のバロメーターだった。
 しかし時代は変わった。このビルの跡地にあたるのが、まさに今のおかげ横丁である。伊勢というテーマそのものは30年前も今も同じなのだが、それを生かす方法はまったく変わっている。このことも、革新を考える上でのヒントになる。
 自分は、三重ニュービジネス協議会の会長も仰せつかっており、新しいビジネスを起こして三重県南部を活性化していこうと、他の若手経営者と勉強会を開いている。もし同じ志があれば、ぜひ一緒にやっていきたい。

(文責 はんわし)

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