2014年12月7日日曜日

進化する「まちゼミ」

 商業界の2015年1月号の特集の一つに、進化する「まちゼミ」最前線 というものがありました。
 まちゼミとは何かというと、
 商店街にある個々のお店(個店)の商店主や従業員が講師となって、プロならではの専門的な知識や情報、コツなどを、商店街のお客さんを受講者にして行うゼミ
 のことです。
 もちろん、このゼミを行う目的とは、近年すっかり活気がなくなり、シャッター通り化しているところも多い商店街を、再活性化するための集客方策ということになるでしょう。

 愛知県岡崎市の中心市街地商店街で平成14年に始まったのがきっかけで、全国の商店街に展開しており、商業界の記事によると今年11月時点で、準備中の30地区も含めて全国174の商店街で実施されているそうで、昨年同時期と比べて倍増しているとのことです。

 商店街は、多くが商店街振興組合や事業協同組合として組織化されていますが、これらは全国レベルでも上部組織を持ち、活性化のための情報やノウハウは比較的共有が進んでいます。最近では「100円市」とか「軽トラ市」などが商店街では一種のブームになっており、まちゼミのその一つと考えられますが、それにしてもなぜこれほどまでに爆発的に普及しているのでしょうか。


 この記事では、全国3つの商店街の取り組み事例が紹介されているので、くわしくはぜひ商業界をお読みいただきたいのですが、郊外の総合スーパー(GMS)や専門量販店も、単なる品揃えの豊富さや値段の安さだけでなく、従業員の専門知識も強化する傾向が強まっています。
 これに商店街が対抗するため、ナショナルチェーンに飽き足らないニッチなニーズを持つお客さんを商店街に取り込むことや、逆に、商店街の普段のお客さんとのコミュニケーションの再構築など、いろいろな切り口で試行錯誤を続けている様子が伝えられています。

  まちゼミの提唱者である、「岡崎まちゼミの会」の代表者 松井洋一郎さんの寄稿によると、自分達の商店街でまちゼミを実施しようと思い立った時、商業者が悩む点は次の3つです。

1)自店でどのような内容のまちゼミを行ったらいいのか?
2)60分~90分ほどのまちゼミの講座時間をどのように使ったらいいのか?
3)もし応募者(受講者)がいなかったらどうすればいいのか?

 これに対して、松井さんは「モノを売るのでなく、コトの実現や解決」というお客さん視点で臨むことが必要、とか、ゼミは商店主による一方的な教授でなく、お客との双方向のコミュニケーションが重要、といったアドバイスをします。
 そのうえで、まちゼミは顧客を増やそう、商品を売り込もうといった目先の効果でなく、地道に、長く続けることで、受講者一人一人の満足度を向上させることが必要で、そのことが結果的に商店街や個店の利益につながると説きます。
 また、商店主は、商店街のほかの店の取り扱い商品や強み、店主のこだわりを意外に知らない。他の店を知ることができるのもまちゼミの大きな狙いの一つであるとし、すべての個店が他店のことも語れるようになることで、お客の商店街に対する信頼が向上し、頼もしい味方に見えてくるだろうと主張されます。

 これは確かに今までの商店街の盲点で、この点が強くなれば商店街が低落傾向を食い止めるきっかけになるような気はします。
 商業界によると、三重県内では松阪市と尾鷲市でまちゼミが実施されており、伊勢市と熊野市が新たに取り組み予定とのことです。どれほど効果があるものなのか、機会がもしあれば体験してみたいと思います。

 商店街といえば、またぞろ自民党や公明党が「地域商品券」の発行支援を公約に掲げるなど、露骨な選挙対策、ばら撒き対策のダシに使われようとしています。資金が地域内で循環する仕組みはもちろん重要ですが、国がこのようなことに財政支出する必要はないし、消費ブームが作られてもそれは一過性で、結果的に商店街はさらに弱体化するでしょう。

 そうではなく、商店街の使命は流通の社会的インフラであり、身近な、あるいは専門性の高い消費ニーズに対応することで住民の生活の豊かさを実感させることにあります。その実現には個店が競争力を高める以外になく、それは行政の支援や補助金よりも、商店街同士の知恵の共有と行動のほうがはるかに有効なはずです。ぜひ多くの商店街に取り組んでいただきたいと思います。

 松井さんも言うように、まちゼミには12年間の経験の蓄積があり、ノウハウも一定は公開されています。ただ、そのノウハウ量は膨大なため、事前の準備は十分に行う必要があるとのことです。
 また、まちゼミのロゴや説明内容等の使用には、(当然ですが)岡崎まちゼミの会の使用許諾が必要とのことです。

■商業界  http://www.shogyokai.co.jp/shogyokai/shosai/index.php

■岡崎まちゼミの会  http://machizemi.org/

■まつさかまちゼミ  http://www.matsusaka-machizemi.com/
 

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