2015年1月19日月曜日

補正予算事業が繰り返されるわけ

 中小企業庁が運営しているウェブサイトである「ミラサポ」に、平成26年度補正予算の事業概要が掲載されています。

 アベノミクスの成果が地方や中小企業にまで行き渡っていないという問題意識のもと、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」と名付けられ、総額は1593億円にものぼります。

 しかし、その内容を見てみると、ちょうど1年前に、やはりアベノミクスの「第三の矢」である成長戦略の具現化のためと名付けられた、平成25年度補正予算での中小企業対策事業と驚くほど酷似していることがわかります。

 具体的には
1)円安による原材料高等の取引価格の適正化の監視強化
2)中小・小規模企業への資金繰り支援
3)中小企業による試作品開発などを支援する「ものづくり・商業・サービス革新補助金」
4)小規模事業者の販路開拓を支援する「小規模事業者持続化支援補助金」
5)創業・第二創業促進補助金
 などの事業は、若干のマイナーチェンジはあるものの、基本的には25年度の事業がほぼそのまま引き継がれています。
 これは、中小企業対策に奇手・妙手はないということを示唆していると思います。



 ここでは平成26年度補正予算と平成25年度補正予算の一年度の比較したに過ぎませんが、思い起こしてみると、失われた20年の間に、経済対策とか景気対策とか成長戦略の具体化などといった名目で、同じような中小企業支援制度が作られては消え、消えては現れして、ほとんど似たり寄ったりの支援策がほぼ毎年恒例行事のように国から予算化されています。
 しかし、これらのスペシャルな事業には狙ったほどの効果はないのです。効果が生れないので、同じような事業が繰り返されざるを得ないのです。
 やはり地道に、中小企業の経営戦略作りの相談に乗ったり、資金繰りや融資の相談に乗ったり、労務や税金、品質管理などの経営相談に対応していく、といったような、きめ細かく地道な支援を細く長く続けていく以外に、中小企業を振興する王道はないのでしょう。

 もちろん、もしこれらの支援策が自社の経営に有効だと思えば、中小企業は積極的にこれらを活用することは何ら問題はありません。このような補助金や融資制度によって、経営が改善したり、大きく飛躍することができたという中小企業の例も少なからずあることは確かな事実です。
 なので、わしは一律に補助金がいけないと言うつもりはありません。

 問題なのは、補正予算事業にはマクロ的な経済効果はほとんどない ~先述のとおり、もし効果があって中小企業の業況が改善したのなら、今年も補正予算で同じ事業を繰り返す必要などないからです~ にもかかわらず、政治家や官僚やマスコミや、時には中小企業者自身から「国による中小企業支援策が急務だ」などといった主張が出てくることです。
 これはなぜでしょうか?

 簡単に言えば、補正予算だの成長戦略だのは、いうなれば「キャンペーン」だからです。
 交通安全週間になると、突然スピード違反や交差点での取り締まりが厳しくなり、夜間検問で何名の飲酒運転者が捕まったとか、そんな報道がされます。そんなに効果があれば1週間だけでなく365日それをやればと思いますが、そんなことは決して行われません。
 防火月間には夜の火の用心のパトロールや消防車のパレードが行われ、愛鳥週間になるとポスターの表彰式が行われ・・・、なぜ効果があるならわざわざ短期間に限定するのか?
 これと同じで、補正予算とか成長戦略とか特区などは国民へのシグナリングでしかないのです。
つまり、PR効果としての一時馬力、一反馬力なので、中小企業政策に最も必要な ~場合によっては大企業政策にも必要かも~ 政策の持続力がないのです。
 新事業がやっと軌道に乗ったところで、国の予算はなくなり、支援策も途切れて、結局本の木阿弥になってしまうということです。

 しかし、関係者にとってはお祭りみたいなもので、みんなが一堂に会して出発式をやったり、壮行会をやったりしていると、なんだか世の中にとって役に立つことをやっているような錯覚に陥ってしまいます。
 商工関係者にとっての「補正予算」や「成長戦略」がまさにそうです。このような内輪の論理が、ますます総体としての中小企業を弱体化させているのかもしれません。

 

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