2015年1月4日日曜日

愛する人のことをどれだけ知っているか

 話題の映画 ゴーン・ガール -Gone Girl- を見てきました。
 「セブン」とか「ファイトクラブ」のような話題作をリリースしている巨匠デビッド・フィンチャー監督の作品で、予告編のとおり、おどろおどろしい映画でした。
 映像が全体に暗く、色彩感も乏しく、それだけで思わせぶり。しかも、話の展開がエロとグロと欲と見栄が混じりあっているオトナな内容です。上映時間も150分もあって、お腹いっぱいになりました。(ちなみにR15+作品なので、15歳未満の人は入場できません。)


 ストーリーは書きませんが、万一ネタバレになるといけませんので、まだ見ていない人は先に進まないでください。


 わしは知らなかったのですが、この映画の原作は、実際に起こった事件をテーマにした小説だそうです。
 今から10年近く前、2002年にアメリカ・カリフォルニア州のモデスト市で起こった、「スコット・ピーターソン事件」というものです。
 この事件については、NAVERまとめや個人のブログで紹介されているので詳しくはそちらを見ていただきたいのですが、事実は小説よりも奇なり、妻の失踪が、家出なのか、誘拐なのか、自殺なのか、それとも・・・・となってきた場合、真っ先に疑われるのはダンナでしょう。
 わしが思うのは、警察から「奥さんと最も親しい友人は誰ですか?」とか「奥さんは休日はどう過ごしているのですか?」とか「血液型は何型ですか?」とか、何だかんだと上の話から下の話まで質問されたとき、果たして明晰にすべての質問に応えられるダンナは、世間にいったいどれくらいいるのだろうか、ということです。
 少しでも言い澱むと、オマエは夫なのに奥さんのそんなことも知らないのか、と疑われ、警察はそれをマスコミにリークして、ワイドショーが過熱し、世間の空気が作られてしまうかもしれません。

 この映画はある登場人物の一人の「狂気」が真相であり、すべての人がそれに踊らされていたというのが種明かしです。
 正直言って、後半になるとだいたいの筋が読めてきて、ああきっとこれ、こうなるな、と思っているとやっぱりそうなって、最後の最後に大大逆転があるのかと思ったら、結局イヤーな結末でそのまま終わるという感じ。なので予告編の映画評にあるようなびっくり感は、わしは少なくとも終盤にはありませんでした。

 しかしアメリカって不思議な国です。もちろん映画はフィクションなので事実ではないでしょうが、この話に真実味を感じて共鳴するアメリカ人は多いわけです。
 アメリカはもともと個人主義なので世間など気にしない一方、キリスト教的な「よき夫婦」「よき家族」のあるべきイメージは世間一般に抜きがたく定着していて、簡単に離婚したり(日本でも最近は離婚率が急増していますが)するわりには、そのイメージを守ろうとする努力は ~イメージという表現は正しくありませんね。実際のよき夫婦、よき家族を守ろうとする努力は~ 相当強いものがあるようで、その実は同調圧力も意外に強いアメリカの地方都市というのがこの映画のポイントにもなっています。

 これは非常に興味深い点で、日本は個人主義化が進んでもアメリカのようなキリスト教的な価値基盤がないので、この日本型とも呼ぶべき無宗教な個人主義と、もともと強い社会同調圧力が今後どう絡み合って社会が進んでいくのか、国策で進められようとしている「少子化対策」なども含めて、いろいろ考えてしまうところです。(たとえば、アメリカに比べて圧倒的に日本では特別養子が少ないのですが、こういう価値観もアメリカ化するのか、など、わしは関心があります。)

 また、ちらっと頭をよぎったのは、もしこんな事件の時に自分が裁判員なんかに選ばれたら大変そうだなあーということです。いろいろな状況証拠はあるのに嫁さんが生きているのか死んでいるのかすらわからないのですから。
 この映画では結局、ああなったわけですが。 
 

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