2015年2月13日金曜日

待ったなし!事業承継(マニアック)

 月刊誌「商業界」の3月号に 待ったなし!事業承継 という特集記事が載っています。  

 事業承継センター(株)代表である内藤博氏に執筆によるもので、中小企業を取り巻く昨今の経営課題のうち、なかなか水面上には現れてこないものの、潜在的には非常に深刻な問題である、中小企業の事業承継、つまり後継者の確保と経営の引き継ぎについて提言されている内容です。

 日本では毎年27万社近くの会社が廃業します。このうち、後継者が不在なことから廃業に至るものが9万社をも占めており、日本全体を俯瞰すると国民の全就業者の7割近くは大企業ではなく中小企業で働いていることから、中小企業の代替わりをスムーズに進めていくことは、経営者のみならず、従業員や取引先、顧客、さらには企業が立地する地方自治体にとっても重要な課題であると言えます。

 しかしながら、民間信用調査会社の調べによると、中小企業の64.5%、実に3分の2にあたる企業は後継者が不在です。いざという時のために、今からどのような準備をしておくべきかを解説した非常に興味深い記事なので、中小企業関係者にはぜひお読みいただきたいと思います。
 (この記事は、事業承継センターのホームページからダウンロードできます。 リンクはこちら


 わしも三重県内の中小企業を訪問しているなかで、後継者の確保と育成や、事業承継について悩みを聞くことも多いのですが、最近偶然にも、事業承継に関して考え方がやや異なっている2つの会社を連続で訪問する機会を得ました。両方とも父親が創業者(または2代目)で、その後継者に当たる息子さんのお話です。
 どちらの考えが正しいということではないのですが、両方の会社からそれぞれの説得力を感じたので参考に紹介しておきたいと思います。

 一つ目の企業は、数年前に経営権を譲られた若い社長さんです。
 その方は、子供の時からいずれは自分が会社を引き継ぐことになると薄々感じておられ、学校を出たあとは、いずれはUターンする前提で、同業である県外の会社に就職しました。
 そこで数年間修行してから、父親の会社に入社。現場と新規事業立ち上げの担当役員を任され、入社後10年ほどで社長に就任しました。父親は代表権も返上した完全引退で、時々経営の相談に乗ってもらう以外は社業には一切タッチしていないとのことです。
 自分が社長を引退する時期を、息子にはもちろん、主要な社員や取引先にも公言しており、財務諸表の見方、経営分析のやり方、品質管理のやり方、顧客や金融機関との付き合い方など、息子に対して「社長学」ともいうべきノウハウを計画的に伝授してきました。息子さんもその期待と試練に応え、ステークホルダー公認のもと新社長に就任したのでした。
 彼の意見としては「あらかじめ承継の時期を明確にしてもらうことで、プレッシャーは強かったが覚悟ともいうべき心の準備ができた。もし時期が明確でなければ、いつまでも父親に頼る気持ちから抜けられなかっただろう。」とのことでした。 

 もう一つの企業は、社長(父親)は高齢ながら現役の社長を続けており、息子は役員として社長を支えている事例です。
 この息子さんも幼いころからいずれは自分が会社を継ぐことは自覚しながら成長したのは先の会社と同じです。 ただ、こちらの会社の業種は特殊技能が必要なものであり、一定期間の徒弟的な修業が求められる仕事なため、学校を出た後はすぐに父親の会社に入って、そこで現場作業からの叩き上げで役員になったという経験を持っています。
 息子が早晩社長の座を継ぐことは衆目が一致していますが、その時期はまだ具体的に決まっていません。社長が健康である間、当分は、現体制のままを考えているとのことでした。
 その理由をうかがったところ、顧客、取引銀行など外部のステークホルダーに対しては、やはり長年の実績を持つ社長の信用力のほうが勝っているからとのことでした。
 この社長の説によると、会社の代替わりで躓きやすいのは、商品の技術とかブランドの伝承よりも、顧客や銀行との良好な関係を維持できなくなってしまうことだそうです。これは中小企業の経営がよく言えば社長の人物本位、悪く言えば属人的であるためとのことで、わしはこの意見にも一理あると感じました。

 ただ、考えたくはないことですが、社長本人が今は元気であったとしても、不慮の事故、不測の事態は起こりえるのが世の常です。そう考えると、最初の会社のように、時期を明言して計画的に社長業を引き継いでいくほうがリスクマネジメントしては勝っているでしょう。
 もちろん、この両者とも息子が早いうちから自他ともに認める後継者になっているので、そもそも後継者が不在だという場合よりはるかにアドバンテージがあったのは事実です。

 中小企業に関する事業承継については、昨年から株式を相続した際の相続税の軽減措置(納税猶予措置)が拡大されています。また、身内による相続が難しい場合は、M&A(買収)といった方法もありますし、最悪の場合は資産が残されているうちにスムーズに廃業することを考えたほうが良い場合もあるでしょう。
 いずれにせよ、早めの対策は経営者にとって不可欠であると思います。商業界のこの記事も参考にしていただき、関心がある向きは、商工会議所や商工会、税理士などに相談されてみてはいかがでしょうか。

■中小企業庁 財務サポート 事業承継                      http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/index.html

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