2015年2月3日火曜日

神山町に行ってみたくなった

神山町役場HPより
 徳島県にある山村、神山町が注目を集めています。

 吉野川の支流沿いにあり、大半は山と森の、いわゆる「中山間地域」にある人口約6千人の小さな町です。高齢化率は46%にものぼり、特に大きな産業も、また有名な観光地もない、ある意味で典型的な日本の地方(田舎)のこの神山町に、多くの若者が都会から移住してきているからです。

 日経テクノロジー on lineによると、移住者はこの5年で67世帯、113人にものぼります。何と総人口の2%にも当たるという大きな数字です。
 世代的には30代までが約8割を占めます。これら移住者の増加に伴って、店舗や施設のオープンも相次ぎ、パン屋やカフェ、歯医者、ビストロ、図書館などが新たに誕生したとのことです。

 全国の多くの地域は、神山町と同じように少子高齢化、産業の衰退に悩んでおり、地域おこしや地域産業活性化に取り組むところも多いのですが、残念ながらそれらは必ずしも成功しておらず、トレンドとして地方から都会への人の流れはほとんど変わっていません。
 なぜ神山町はこのような素晴らしい成功を収められたのでしょうか?


 その理由はいくつかあるものの、最も大きな理由と自他ともに認められているのが、NPOグリーンバレーが進めているサテライトオフィス事業の成功です。
 サテライトオフィスとは、空き家の古民家を活用したローカル拠点のこと。平成22年にSansanというICT企業が「神山ラボ」を開設して以来、これまでに10社以上がサテライトオフィスを設けているそうです。
 ただし、このような空き家活用自体はそれほど斬新なアイデアではありません。たとえば三重県内でも古民家をグリーンツーリズムの拠点にしたり、移住者に提供したりといった活動は行われています。これらと異なる成功要因は何なのでしょうか。

 日経テクノロジー on lineは、光ファイバー整備により神山町のIT環境が優れており、特に大量のデータをやり取りする必要がある動画コンテンツを扱うICT企業にはこの環境が大きな魅力であることや、IT企業の経営者(シリコンバレーでの勤務経験もある)自身が、神山町の豊かな自然環境の中で働くことで、クリエイティブな成果を生み出すことができると確信するなど、「働き方や付加価値創造における企業サイドの考え方の変化」も影響しているようです。

 しかし、最も大きな要因はサテライトオフィスを運営するNPOグリーンバレーが果たす役割の大きさです。グリーンバレーは前身の組織を含め、20年以上も地域活動を続けている実績があり、徳島県が設置した移住交流支援センターの運営も受託しています。神山町内の住民事情や不動産情報などの地域情報に精通しており、サテライトオフィスを誘致するにあたって、地権者など地元との折衝を行ったり、東京から訪れるサテライトの社員が地域で孤立しないようにサポートしたり、といった様々なケアを行っているのです。
 このような細かいケアは役所が行うことはできず、NPOという民間セクターであったからこそインターミディアリー(中間支援組織)としての役割が十分に果たせているのでしょう。(日経テクノロジー on line リンクはこちら

 このような明るい評価の反面、やはり現実には問題も起こっているようです。
 灯台もと暮らし というWebに投稿されている「メディアの神山町が全てじゃない」という記事を読むと、成功が華々しいがゆえに、そしてそれによる変化のスピードが早いゆえに、神山町出身で一度は都会に出たもののUターンしてきた筆者のメッセージは強烈です。
・この町は今ふたつに分かれている
とか、
・メディアに出てるのはほんの一部
とかは、神山町を知りつくし、愛しているからこそのコメントと思います。

 地域振興とは実に深遠な取り組みであって、関わる人すべてが ~それが成功したとしても失敗したとしても~ 地元の人々やコミュニティに及ぼす影響の大きさは常に心すべきことかもしれません。

■メディアの神山町が全てじゃない―移住者と地元民の間の私―  リンクはこちら

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