2015年3月17日火曜日

小西萬金丹と丸岡宗太夫邸が国登録文化財に

 国(文化庁)の文化審議会が、3月13日、新たに登録有形文化財に指定すべき建造物を文部科学相に答申しました。今回答申されたのは171件ですが、三重県内からは伊勢市の丸岡家住宅、小西萬金丹本舗、尾鷲市の見世土井家住宅の3つについて、主屋(しゅおく)や門、蔵、塀などあわせて14件が選ばれています。これらは近日中に官報で告示され、県内の登録有形文化財(建造物)は計210件となります。
 これらのうち、小西萬金丹本舗と丸岡家住宅は比較的近い場所にあり、伊勢神宮・外宮北口を起点とすると、歩いて30分ほどでぐるっと回ってくることができます。散歩コースとしておすすめです。(グーグル地図はクリックすると拡大できます。)


 地図の赤丸の部分、NTTビルの付近から撮った写真がこちらです。



 これを道なりにまっすぐ(地図で言うと左方向に)進むと、200mほどで、道路右側に小西萬金丹本店があります。


 小西萬金丹本舗は1676年(延宝4年)に現在地(伊勢市八日市場町)で創業し、以降十六代にわたって続いている老舗の薬商です。
 堺にあった医家、小西家から製法を受け継いだという丸薬・萬金丹は万病に効く妙薬とされ、外宮門前という地の利もあって、多くの伊勢参宮者に土産物として買い求められ、全国に広まりました。 


 この木造2階建ての店舗兼主屋は、伊勢の伝統建築様式である「切妻妻入り」で、屋根がふっくらと盛り上がっている「むくり」と呼ばれる形が大きな特徴です。建築年代は不詳ながら、門前町の景観を構成していることが評価されたようで、1779年(安永8年)に建てられた外蔵と合わせての登録となりました。
 なお、小西萬金丹は薬事法などの関係で現在は製造されていませんが、伊勢まちかど博物館として昔の調合道具などが見学できるとのことです。(詳しくはこちらを)

 次の丸岡家住宅は、ここから徒歩10分ほど(路地裏を通っていくと5分くらい)です。
 付近は静かな住宅街で、烏帽子世古と彫られた石柱があるところから入っていきます。


 入るとすぐ、カギのように路地が左に曲がっており、ここが丸岡家住宅です。先ほど住宅街と書きましたが、丸岡家の前につい最近まであった家々はなぜか撤去され、更地になっていました。


 丸岡家は「御師(おんし)」と呼ばれる伊勢神宮の神職で、丸岡宗大夫を名乗った家柄です。江戸時代の神職は世襲であり、全国に信者(檀家)の縄張りを持っていました。丸岡宗太夫も摂津や武蔵などに約8800戸もの檀家がありました。
 庶民が伊勢神宮に参拝する際は、その地を管轄する御師にそれ相応の志納金(現在の経済感覚からは理解しがたい巨額であるケースが多い)を奉納する代わりに、伊勢滞在中の宿泊、飲食、宴会、神事などは無料でした。檀家を泊めるため多くの御師邸は広大な邸宅だったのです。
 丸岡邸は1866年(慶応2年)に建てられ、ほぼ唯一の現存する御師邸として、長屋門、築地塀と共に登録されることになりました。
 普段は非公開なので、わしは長屋門の写真しか撮れませんでした。ただ、時おりイベントで公開されていて、その時の様子は以前ブログに書きました。(リンクはこちら

 丸岡家住宅から伊勢市駅方向(東方向)に行くと、15分ほどで、外宮の別宮である月夜見宮(つきよみぐう)に至ります。外宮に遅れて、つい最近、遷宮が行われたばかりなので、白木が清々しい新しいお宮です。


 外宮からスタートして、月夜見宮をお参りしても全行程で1時間くらいです。

 さて、登録文化財には三重県からもう一つ、尾鷲市の見世土井家が選ばれています。江戸時代から続く紀州尾鷲の大林業家である土井本家の分家で、木造2階建ての主屋は1931年(昭和6年)に建てられました。林業家らしく、贅沢に材木を用いた和洋折衷スタイルの建物で、これも以前このブログで取り上げました。結局行けなかったのですが・・・(リンクはこちら


■文化庁 登録有形文化財(建造物)の登録について (平成27年3月13日)

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