2015年3月20日金曜日

地域づくりフォーラムのワクワクとモヤモヤ

 先日、津市内で 地域づくりイキイキフォーラムinみえ ~持ち寄り、つながり、考えよう!地域づくりと人づくり~ なるイベントが開催されたので行ってみました。


 三重県(庁)が、三重県でも県南部にあたる、度会郡と多気郡以南の県土を活性化するために特に設けたセクションである、三重県地域連携部南部地域活性化局が主催したもので、全国的に地方創生に向けた取組が注目され、地域づくりの現場で活躍する人材の育成がますます重要視されていることから、集落支援に関わる大学生や、地域おこし協力隊などの活動事例について紹介し、地域活性化に取り組む方々とのトークセッションを通じて、明日の地域づくりと人づくりについて考えるという趣旨で開かれたものです。
 開催時間が4時間にもわたるフォーラムでしたが、地域づくりを実践するワクワクするような事例を知ることができ非常に有意義なものでした。
 しかしそれと同時に、何だかモヤモヤした気持ちも残り、わしにとってはこのモヤモヤ感も重要だと感じましたのでメモしておきます。

 主催者によるチラシやホームページでは、「地域づくり、人づくりに関心のある方の参加を募集します!」とあったのですが、平日の、しかも昼間の開催だったせいもあったためか、300名近く入る会場は空席が目立ち、おそらく参加動員されてきた高校生も含めてせいぜい100名程度の参加者しかありませんでした。このことからして、実は「地域づくり」に対する一般県民の関心は ~しかも三重県南部地域のそれに関する関心は~ 必ずしも高くないことが図らずも示されてしまった形です。
 もちろん、わしは主催者や出演者を非難しているのではありません。そうではなく、この種の社会課題が広く共有されることのむずかしさを再認識したことを伝えたいのです。
 
 フォーラムの内容自体は非常に興味深いもので、大学生による集落支援モデル事業の例として、四日市大学生による志摩市渡鹿野島・鳥羽市中心市街地の活性化プロジェクトや、三重大学生による三重県南部の集落4カ所の活性化プロジェクトなどは、学生が地元住民と本音を語り合える関係を作り上げるまでの導入部の苦労に加え、徐々に地域が持つ課題のうち大学生が取り組むべき点が絞り込まれ、実際にさまざまな活動に ~お祭りの手伝い、イベントの仕掛けと運営、女子会の開催などなど~ 悪戦苦闘しながら、しかも楽しみながら取り組み、高齢者も多い地域住民から感謝され、学生たち自身も成長していった様子は、発表を聞いていて本当にワクワクし、頼もしく感じる時間でした。

 このフォーラムがユニークだったのは、学生のほかに、実際に学生たちを受け入れた地区住民を代表し、志摩市渡鹿野島、紀北町島勝町、御浜町神木、そして紀宝町浅利の4地区の区長さんたちが、学生を受け入れるまでのいきさつや、受け入れた印象、スムーズな活動のために工夫したり苦労した点、地域づくり活動の成果、などについて自らの言葉で語る、発表の時間が設けられていたことです。
 年配者が多い区長さんたちにとっては、孫のような大学生たち。若者が減少している集落にとって、いったん良い関係ができると、次第に住民たちも元気になってくる(若返ってくる?)ようで、かなり意義があったことがよくわかりました。

 また、大学の教員からは、大学と地域の連携、いわゆる「域学連携」のメリットと問題点も話があり、これも勉強になりました。わしは恥ずかしながら域学連携という言葉も初めて知ったのですが、大学が地域に貢献できるレベルには4段階あり、まずは学生との交流、次に課題の発見と共有、さらにその解決のための行動、と進み、最終的には大学の知見や研究成果を地域づくりに応用すること、に至ります。
 しかし事情は地域によってさまざまなので、大学にそもそも何を望むのか、どこまで到達することが目標なのかの明確化と共有が必要、という話はなるほどと思いました。
 また、大学生は4年で卒業するので、せっかく関係が作れてもまたリセットされてしまうので、関係性どう持続するかが双方にとっての課題であるという指摘ももっともだと思いました。

 集落支援モデル事業の事例発表の次は、三重県内の大台町、そして尾鷲市で活躍している「地域おこし協力隊」メンバーによる活動報告と、パネルディスカッションでした。
 大台町の地域おこし協力隊は、三重県唯一の全寮制高校でありながら志願者の減少に悩んでいた県立昴学園高校について、志願者増のための、すなわち若者の圏外流出をくいとめるための情報発信や地域と学園との連携に取り組む事例の発表。
 尾鷲市の地域おこし協力隊は、過疎高齢化に悩む漁村集落で住民同士の交流を進め、地域外からも人を呼び込もうとする活動の発表。(こちらは識者や区長を交えたパネルディスカッション)
 この2例もわし的にはなかなか勉強になりました。毀誉褒貶ある地域おこし協力隊ですが、ミクロながら明確なミッションがある大台町パターンと、ミッションが地域の元気づくり、といったざっくりした感じの尾鷲市パターンの2種類が実態としてあること。そして、それぞれにノウハウを蓄積しているものの、それには試行錯誤も含めた十分な時間が必要であること。が理解できました。

 このようにお腹いっぱいになるフォーラムであり、関係者には感謝したいのですが、同時にモヤモヤ感も残りました。最後にそれに触れておきます。

 簡単に言えば、お金の問題です。すわなち、大学生との交流も、地域おこし協力隊も、県や国の行政施策として行われているので人件費や経費の問題は起きないのですが、地方創生もいつかはブームが去り、これらの行政施策が行われなくなると、どのように自前で継続していくかという、その問いかけがあまり明確な論点になっていなかった気がしたのです。

 このフォーラムで取り上げられたような地域づくり活動、地域おこし活動は、実は何十年も前から施策が継続しています。古くは大分県発の「一村一品運動」もそうでした。竹下内閣の時の「ふるさと創生」もそうでした。バブル後の「ウルグアイラウンド対策」もそうでした。今は地方創生でブームが再来しています。
 しかし、これらが結果的に必ずしも成功しなかったのは、行政が予算を投入して仕掛けまでは行うが、その後の自立のための伴走支援が不十分だったためです。
 今回のフォーラムでもその方策は明らかではありませんでした。

 わしは、地域づくりは可能な限りビジネスとして行われるべきで、地域課題の解決から収益が上がるビジネスモデルを(つまり、コミュニティビジネスとして)作り上げるべきだと考えています。このため、地域づくりとビジネス支援は一体で行うべきだと思うのですが、その視点で会場を見回しても、経営者や起業家、金融機関のようなビジネス関係者はほとんどいなかったのではないかと思いました。
 関係者でミッションを再確認し、一致団結して熱くなることももちろん重要だし必要です。しかし仲間内だけで熱くなっていてもダメで、もっとビジネス領域にまで広げていくことが必要なのではないかと ~この点が克服されない限り、予算がなくなり、学生が卒業すれば活動は終了してしまうのではないかと~ 思わざるを得ませんでした。

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