2015年4月10日金曜日

スポーツジムで認知機能検査が可能に?

 日経デジタルヘルスが、「スポーツジムで認知機能検査」、グレーゾーン解消へ という記事を掲載しています。(4月6日付け)
 コナミスポーツ&ライフは同社が運営しているスポーツクラブにおいて、健康寿命延伸に向けて生活習慣病予防プログラムやロコモティブシンドローム予防のためのスクールなどを提供してきたところです。
 スポーツクラブでは、ケガや疾患から回復して医院に通わなくなった人などに対し、運動機能の維持など生活習慣病の予防のための運動指導についても一定のニーズがあるそうです。しかし、医師の指導・助言を踏まえたとしても、スポーツクラブの従業員が運動に関する指導を行うことが、それが法律により医師のみに認められている「医行為」に該当することになる可能性が ~つまり、医師以外の従業員が行うことが違法となる可能性が~ 否定できませんでした。
 このため、このようなケースが医師法などに抵触するかどうかを政府のグレーゾーン解消制度を使って照会し、医師からの指導・助言に従い、ストレッチやマシントレーニングの方法を教えることなど、医学的判断及び技術を伴わない範囲内で運動指導を行うことは、「医行為」に該当しないこと等が確認されたものです。
 コナミでは、今後、有酸素運動などを取り入れた認知症予防プログラムの実施にも意欲を示しており、スポーツクラブ(医療機関ではない民間事業者)での認知機能のチェック実現に向けて検討を行っていくとのことです。


 この記事の核になっているのがグレーゾーン解消制度というものです。
 コナミの例のように、民間企業が現行の法規制の適用範囲が不明確な場合であっても安心して新事業活動が行えるよう、具体的な事業計画に即して適法性の有無について国の所管省庁に判断を申し出ることができ、原則として1か月以内に回答がもらえるという内容。安倍内閣が進めている規制改革の一つとして、平成26年1月に産業競争力強化法という法律が作られて開始された制度です。
 もう一つ、企業実証特例制度というものもあります。
 グレーゾーン解消制度とよく似てはいますが、新しい事業をこれから始めようという民間企業による規制の特例措置の提案を受けて、安全性等の確保を条件に、企業単位で規制の特例を認めるというものです。つまり、企業による社会実験を認める制度です。

 これら2つの制度を所管する経済産業省のホームページによれば、法施行後、平成27年3月までにグレーソーン解消制度は32件の申請があり、このうち26件に回答がされました。また、起業実証特例制度は8件の申請があり、7件が認められています。

 それぞれの具体例はホームページでも紹介されていますが、たとえばグレーソーン解消制度では
1)医師の食事箋に基づいた配食サービスの提供
 照会のあった事業において、配食サービスと連携するための食事箋発行について、公的保険外で対価を徴収できるケースが確認された。
2)自然体験ツアーを通じたアウトドアツアーの実施
 照会があったアウトドアレジャー体験事業において、参加者にテント等を貸与提供し、アウトドアレジャー体験の対価として料金を徴収することは、旅館業法第2条に規定する「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」に当たらず、旅館業法の適用を受けないことが確認された。
 などがあり、企業実証特例制度では
3)物流に用いるアシスト力の大きいリヤカー付電動アシスト自転車の公道走行
 道路交通法施行規則の特例措置を講ずることにより、宅配等の用途で、現行法令の基準よりもアシスト力の大きい(踏力の3倍のアシスト力)リヤカー付電動アシスト自転車の活用を可能とする。
 などの事例があります。

 実際には、中小・小規模企業が何か新しいビジネスに取り組もうと考えていても、それが何かの法規制に抵触するかどうかが問題となるようなビジネスモデルは、実際にはそう多くはないとは思います。特に、企業実証特例制度を使って社会実験を行うまでに大掛かりなビジネスは考えにくいところです。
 しかし現実に、グレーゾーン解消制度については申請32件のうち中小企業の提案が20件あり、企業実証特例制度は8件のうち4件を占めています。中小企業であっても十分に活用ができるものなのです。

 同時に留意すべき点もあります。グレーゾーン解消制度によって国から確認されるのは、照会にあった具体的な事例(新規ビジネスの案)に対する、個別の法令に基づく規制適用の有無に限定されるのです。
 つまり、あらかじめA法とB法に抵触しないかを照会する企業の側が個別に指定し、国は照会のあったA法、B法については抵触しない(または抵触する)と教えてくれるだけなので、後になって実はC法には違反することがわかり、結局ビジネスができなかった、ということもあり得るのです。なので、照会する前には法律家などの専門家に相談しておくことは必要かもしれません。

 ただもちろん、この制度をうまく使えば、たとえばスポーツクラブで認知機能検査が可能となれば、認知症の早期発見や予防に効果が期待でき、大きな社会厚生を実現できることになります。新しいビジネスをお考えの起業家や経営者の方は、ぜひ活用していただいてはどうでしょうか。

(補足)
 本日のヤフーニュースに、同じくグレーゾーン解消制度を活用し、胎児4Dパッケージ商品を病院で提供することは医療法上可能であるとの確認がなされ、胎児のクリアーな画像を記念に求める妊婦に提供できるなど、日本のマタニティ関連業界のさらなる振興の実現につながると期待されているとの記事が掲載されています。(リンクはこちら

■経済産業省ホームページ   企業実証特例制度・グレーゾーン解消制度
 

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