2015年4月11日土曜日

盛り上がらなかった三重県知事選

 期日前投票は若干前回の選挙よりは投票率が増えているようですが、それにしても三重県知事選が盛り上がりません。
 四日市市の田中市長も4日前の定例記者会見で、県知事選などが行われる統一地方選について「政策論争が盛り上がっている感じはしない。本来ならば、地方創生について政策論争した上で、(有権者の)審判を受けることが理想だ」と述べたとのこと(時事通信社i-jumpより)ですが、まったくその通りかと思います。
 わしの知り合いの一人は知事選について、「声ばかり大きいクチ太郎と、何でも反対の共産党の戦いでは選挙に行く気がしない」とうまいことを言っていましたし、まわりでももう勝敗はついているので選挙には行かないという人も多くいます。(なんにせよ、みなさん選挙には行きましょう)

 昨日の東京株式市場では、景気のバロメーターといえる日経平均株価が15年ぶりに2万円台となりました。これは画期的なことであって、眼前の地方選挙や地方政治の争点は、とにもかくにも回復基調が力強くなってきた景気を、経済が疲弊し人口も減少している地方部にいかに波及させるかの問題、つまり「地方創生」の問題以外に話題に上りにくくなっています。
 言い換えると、東京を中心とした大企業の業績の拡大と、それによって生まれた国の巨額予算を、いかに地方に引っ張ってくるかの競争が大きな関心事であり、とりあえずそれ以外の論点はほとんど社会的な議論にもなっていないことは残念ながら明らかです。
 しかし、ここからはわしの私見ですが、地方創生ブームも選挙が終わると熱気は冷め始め、おそらくあと3~4年で地方は別のフェーズに移って行かざるを得ないのではないかと思います。


 まず一つ目は、これは現場で努力している皆さんには申し訳ないとは思うのですが、国が重点事業化して地方に予算をばら撒いている今の地方創生対策自体が、すでに長年にわたって取り組まれ続けてきた人口増加対策や雇用確保対策、地場産業の活性化対策と大きく相違しないものであって、これまでの延長線上にあることは明らかであり、したがって大きな効果があがることも望めず、実際に次の選挙までの短期的な成果が求められる地方政治家はシビレを切らせる事態になると思うからです。
 誤解がないように言うと、地域の創意工夫を生かし、地方創生策を活用して地域づくりを行う自治体にとっては大きな成果が出ることは確かでしょう。しかし一方で、地方創生策が地方自治体に競争を強い、ある程度の優勝劣敗が必然になるものである以上、少なくない自治体は目立った成果を上げることができず、「アプレ地方創生」ともいうべき次なる救済策を求める声も次第に大きくなってこざるを得ないと思います。その時、国は優勝劣敗の原理原則を貫けるでしょうか。結局負け組を救済し、努力して成果を上げた自治体は頑張り損という矛盾を生み出しかねません。

 二つ目は、今回は大きな選挙論点にならなかったものの、地方自治体にとって実務上の目下最大の問題は、団塊の世代の高齢化で激増し、パンクは確実な高齢者介護・高齢者福祉をどう乗り越えるかということです。カネも、施設も、人も足りない状況です。考えたくはないことですが、介護難民となった認知症の高齢者を家族が世話しきれなくなったり、認知症の独居高齢者が交通事故などを起こしたり、という住民に身近な問題が続出してくるでしょう。
 同時に、シングルマザーや子どもの貧困問題も非常に深刻です。人口増加のための若者の結婚支援や子育て支援以前の問題として、今そこにある貧困によって日本社会は次世代の再生が困難になっているのです。今後の数年間で、これらの問題が地方でも噴出するはずです。

 三つ目は、まさに日経平均が2万円を超えたことで、今まで世界から大目に見られてきた日本の財政赤字について、どう再建の道筋を示すかが国政の大きな政治課題となることです。
 極限まで緩和された金融の引き締めは遅かれ早かれ必要であり、この点をひたすら先送りしてきた日本は、金利を上げた途端に想像を超えるようなハレーションが起こる可能性があります。この点は国家財政の正常化についても同様で、消費税の再増税と、支出の引き締めは今や世界から求められる国際公約であり、どのような副作用が起こるかは不安を感じつつも、これ以上の先送りが許されないのです。
 県などの地方財政も国の財政政策と密接にリンクしているので、地方交付税など地方の既得権となっている(というか、法的にはこれは何らやましいことがない財源ではありますが、そうはいっても色々な面で国の庇護を受けています。)財源の縮小も避けて通れなくなるでしょう。
 地方自治体は、さらなる広域化 ~都道府県レベルなら道州制の導入~ が現実的な日程に入って来るでしょうし、人員の削減、事務の見直し、組織や外郭団体の再編にも否応なく取り組まざるを得なくなります。

 その意味で、地方創生ブームという「国からの分獲りゲーム」が一服した後に、地方の抱える高齢化や貧困といった負の側面に手を突っ込まざるを得なくなり、既得権との真剣勝負の戦いが始まることになります。

 さあ、どうなる三重県。この困難をうまくマネジメントし、乗り越えられるのか、それとも伊賀と東紀州は関西広域連合に、それ以外の地域は東海州に併合されている4年後になっているのでしょうか?

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