2015年4月18日土曜日

おカネはどこへ行った?

 三重県知事選と県会議員選の投票日から2日後。
 当選、落選の悲喜こもごもの報道も冷めやらない4月14日、あるニュースが大きく報じられました。
 平成23年9月に来襲した台風12号は、全国で90名以上の死者と行方不明者を出し、三重、和歌山、奈良の3県にまたがる紀伊半島南部でも多大な人的、物的被害をもたらしました。
 「紀伊半島豪雨災害」と命名された、その復旧・防災工事に絡んで、三重、和歌山、奈良、大阪4府県の約50にも及ぶ建設業者などが、名古屋、大阪両国税局の税務調査を受け、約7億円の所得隠しを指摘されていたのです。
 経理ミスや無申告なども含めた申告漏れの総額は10億円を超え、追徴税額は重加算税を含め計3億数千万円にも上ると報じられました。
 豪雨は総額2千億円以上にもなるという災害復旧・防災工事の「特需」をもたらしました。しかし、その副作用ともいうべき建設業者の不祥事が地元に暗い影を映しているとのことです。
 この事件を詳細に報じている朝日新聞によると、そのあらましは以下のようなものです。

・採石業三重県トップのO社(紀宝町)とそのグループ会社は、実際に取引がない業者に外注費を支払ったように偽装していた。また同社のグループ会社は取引先に外注費を水増しして発注していた。
・大阪市の業者は架空の手数料などを計上。熊野市周辺の業者は、計上すべき売り上げの一部を翌期に回して利益を繰り延べるなどして所得を隠していた。
・このような所得隠しは、計約7億円に上った模様。
・また、三重県や和歌山県などの地権者が売却した砂利の収益や、ダンプカーの運転手が所得を申告していなかったなどとされ、このような申告漏れは計約40業者などで約3億円に上るとみられる。
・和歌山県南部の建設資材会社は、建設不況が長引くなか、災害後は復旧関連工事の受注が増え、売り上げが通常の3倍近くになる年もあった。その波も引き、今は以前の水準に戻っている。 事業の先行きが見えない。復興特需で潤った分を次の仕事につなげよう。この経営者は今後、取引先になってくれそうな建設会社にお金を贈るため、経費の中に架空の「手数料」を潜り込ませ、原資をひねり出した。
・一連の経理処理は所得隠しと認定され、数千万円を追徴課税された。この経営者は取材に対し、「わしにしたら『先行投資』のつもりやったんやが……」と脱力した様子で話した。指摘を受けて全額を納付したという。
・ 三重県のある業者は国税局に対し、「工事を順調に進めるためには地元対策として金がいる。相手は言えないが、間違いなく支払った」 と説明したが、領収書などの証拠書類はなく、所得隠しと判断された。外注費の水増しで金を捻出したと周辺に漏らしていたとされる。
・これら隠された所得の一部は、地元対策費や迷惑料として支払われたとされる。過去に地元対策費を工面したことがある名古屋市の業者は取材に応じ、工事現場で嫌がらせを防ぐために充てたと説明。「工事を邪魔されたら作業が止まる。最悪の事態を避ける措置」と打ち明けた。 
(以上の記事へのリンクはこちらこちら

 国、地方とも財政状況は厳しさを増し、ここ10年ほどで公共工事関連予算は長期にわたって減少傾向でした。地方の建設業者には小規模企業も多く、構造不況の中でたまたま生まれた特需の利益を平準化させようとしたのは無理からぬところもあるかもしれません。(もちろん、所得隠しを擁護しているのではありません。)

 しかし、このような所得隠し、そして「地元対策」などのキーワードを見ると、おそらくわしをはじめとして、かつての昭和の人間は、どうしてもこのことを連想せざるを得ません。
 それは建設業者と地元政治家との関係、すなわち政治献金や、それにまつわる「利益配分」といった問題です。考えたくはありませんが、零細な土建業者たちが生き残るためには発注元である官庁との接近や、業界秩序を仕切る有力政治家の庇護を受けることはやむを得ない社会的な必要悪と言われていました。同業者のゲットーは「仲良きことは美しきこと」という日本の伝統的な価値観に沿うものだとさえ言われていたのです。
 このようなどろどろした関係は、今ではすっかり姿を消したと思われていました。
 
 ところが・・・・
 過疎化、高齢化が進む紀伊半島南部では、建設業はもっとも有力な地場産業であり、多数の地域雇用を生み出しています。地域社会への影響力が大きく、同時に生き残りに必死でもある彼らが、ひねり出していた10億円をただ単純に「貯金」していたとも考えにくい。
 もちろん、大部分は単純な手続きミスや勘違いによる申告漏れだったのかもしれませんが、一部の業者は故意に資金を作り、それを将来有望な相手先に「投資」していたのではないか?

 根拠はありません。しかし古い昭和の人間には、この手の妄想が膨らんでいくのです。

 ちょうどこのタイミングで、三重県議会では2名の共産党県議が誕生しました。わしは個人的には共産党の中央集権的な政治スタイルとか、経済政策、国防政策には共感しません。ただ、地方政界において彼らが果たしているチェック機能は認めざるを得ません。
 たとえば三重県議会に勢力を持った彼らが、この問題を深彫りしてみたら案外新しい展開が出てくるのかもしれないな、とも思います。

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