2015年4月4日土曜日

消滅可能性都市と無投票当選

 日本創成会議・人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也元総務相)が昨年公表した「ストップ少子化・地方元気戦略」(増田レポート)が提起した「消滅可能性自治体」の問題が、今春の統一地方選挙最大のテーマとなっています。
 同時に、毎日新聞によると、2040年までの間に若年女性人口が大幅に減少し、人口の維持が極めて困難となるとみられる全国896自治体(いわゆる「消滅可能性都市」)の中で、特に消滅可能性が高いとされた上位100の市町村のうち、過半数の52市町村では直近の首長選が無投票であったとのことで、「地方の衰退が民主主義の基本である選挙にも影響を及ぼしている。」と報じています。(平成27年3月16日付け リンクはこちら
 首長選ではありませんが、三重県では4月3日に県会議員選挙が告示されました。17選挙区の定数51人に対し、62人が立候補しましたが、このうち8選挙区については定数と立候補者数が同数のため無投票当選となり、15人の当選が確定しました。
 三重県でいわゆる消滅可能性都市とされたのは6市8町の合わせて14市町ですが、このうち5市6町の選挙区で無投票となりました。



 しかもこの5市6町を含む選挙区は、全員が現職の再当選です。つまり今までの任期4年間をつとめたと同じメンバーが、これからまた4年間、議員を続けるのです。


 端的に言って、このような現象はやはり地域活力が低下している一つの側面と考えざるを得ません。何か新しいことが起こるような、まったく違う何かが始まるような高揚感と言うか、期待感が湧くはずもありません。

 もちろん、選ばれた議員の方は優れた人格と能力の持ち主だと思います。わしはそう確信してはいますが、有権者に選択の自由がなく、候補者(現職だった議員)にとっても自分の働きに対して審判を仰ぐ機会がないのです。これは現行の地方自治制度は想定していなかった事態ではないかと思います。

 もっとも、県会議員という立場も微妙ではあります。
 県は人口も多く面積も広いので、多くの県民にとっては生活空間としての具体的な肌感覚がありません。遠距離通勤や通学しているようなケースを除き、ほとんどの生活者は生活基盤を市町村に根差しているので、「県」の具体的イメージは「県立高校」でしょうし、ごく一部、県道、県税、保健所などが県の仕事だと認識している程度と思います。
 したがって県議会の役割や県会議員の仕事は生活者にはわかりにくく、実際に、近年は三重県議会議員選挙の投票率は50%台にまで低下しています。
 仮に自分の住む市や町が「消滅可能性」などと指摘されても、その対策のために市や町でなく県が、しかも知事でなく県会議員がどんな役割を果たすのかが有権者にとって見えにくいことはあるかもしれません。

 そのためにはやはり県議会も変わらないといけないでしょう。
 地方議会の改革は、昔から重要性が指摘されてきたところであり、大阪府と大阪市、名古屋市などでは首長が主導した改革に取り組まれていますが顕著な成果は現れていません。
 三重県は、早稲田大学マニュフェスト研究所による「議会改革度調査2014 都道府県議会ランキング」で堂々の第2位になっています。改革の素地はしっかりしているので、土日や夜間の議会開催、県内各地での巡回開催、知事・執行部への一方通行の質問でなく双方向の議論を可能にする、本会議や委員会では議員同士でも議論を行う、などに取り組むことが、迂遠ではありますが、有権者の意識を高める一助になり、立候補者の掘り起こしにもつながるのではないでしょうか。

(補足)
 このブログでもしばしば「消滅可能性都市」という表現を使っていますが、山下祐介氏や木下斉氏が言うように、人口が減ってまちやむらが消滅することなどあり得ず、人が何十人か何百人かでも暮らしている以上、実態としてのまち、むらは存続します。つまり、「消滅」するのは財政的な負担を賦課すべき人口が割り込んだことで維持できなくなる、市役所、町村役場といった「自治体組織」であるに過ぎないことは留意すべきと思います。(もちろん、これは行政サービスの提供主体が存続できないことを意味するので、重要な問題に違いはありませんが。)

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