2015年4月7日火曜日

法務関連ビジネス新潮流?(マニアック)

 4月6日付け日経新聞朝刊の「法務」欄に、法務関連ビジネス新潮流 という記事が載っていました。
 結婚式場運営の(株)ノバレーゼが、社内ベンチャーとして設立したBRIGHT(ブライト)という会社。結婚式場など婚礼関連業界は、キャンセル料などを巡って消費者とのトラブルが起きることがありますが、この業界は小規模な事業者も多く、業界を保護・規制する法律(いわゆる「業法」)や業界のガイドラインもないため、法的なトラブルに対してうまく対応できない事業者が少なからずありました。
 そこでブライトでは、結婚式場や司会業、映像制作業など婚礼関連事業者をターゲットに、顧客からの問い合わせに応じて、弁護士や社会保険労務士、税理士などふさわしい専門家を紹介するビジネスを始めたとのことです。近々、トラブル解決事例や業界に特化した法務情報の提供を行う有料ポータルサイトも立ち上げるとのことで、ブライトの夏目社長は「業界全体の法務水準の底上げに貢献したい」と述べておられます。
 しかし、わしも記事を読んだ時にちょっと頭をよぎったのですが、弁護士資格のない者が、有償で弁護士を仲介する業務は、弁護士の「業法」である弁護士法に抵触するのではなかったでしょうか。
 この、いわゆる「非弁行為」と「周旋」の規制はかねてから大きな論争があり、ちょっとネットで調べても色々な事例が出てきます。この点はクリアーされているのでしょうか?


 弁護士法第72条は、非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止条項として以下のように定めます。
 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。

 しかしこれには「ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」という例外もあります。
 この但し書きは、一般的には司法書士などのような、いわゆる弁護士以外の士業が法律事務を行う場合や、債権管理回収業特別措置法など法律に特別の定めがある業者が債権回収代行を行う場合などを指すと考えられているようです。
 ただ、法文上は、「弁護士又は弁護士法人でない者」が有償で業として法律事務を行ったり、これらを周旋(弁護士などにあっせんすること)は「できない」ことは明白なので、社長が行政書士だというブライトが、顧客のニーズに応じて弁護士などを紹介する(もちろん有償で)ことが問題ないのかどうか、わしにはよくわかりませんでした。詳しい方のご教示をぜひお願いします。
 
 1年前のものではありますが、元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記というブログでは、弁護士「紹介業」という領域 という記事で似たような問題が取り上げられています。(リンクはこちら
 このブログでは、月5千円ほどを払えば弁護士会が顧問弁護士を紹介してくれるという横浜弁護士会による「小規模事業者顧問弁護士紹介制度」(E-Comon)が、弁護士会会員(つまり、弁護士)の理解が得られないとして計画を白紙にしたということも紹介されています。(平成25年8月5日 横浜弁護士会「顧問弁護士紹介制」白紙撤回の現実)

 これを読むと、ますます「うーん」となってしまいます。
 しかし、わし個人としては、弁護士法第72条の規制をやや肯定的に捉えている(?)ようにも思える元「法律新聞」編集長氏とはちょっと違う感想を抱きます。つまり、大部分の一般国民にとって、そして小規模・零細な企業や事業者にとって、弁護士はあまりにも敷居が高い存在であり、たとえ有償ではあっても、課題にふさわしい弁護士を気軽に紹介してくれるような何らかのマッチングサービスは有用なのではないか、もっといえば必要なビジネスではないか、と思うからです。
 
 弁護士界からは合格者を増加させる新しい司法試験制度を核とした法曹改革は、質の低い弁護士を粗製乱造する制度であるとして批判的な声が大きいようですが、現実にはまだまだ世の中に事件屋、示談屋、倒産屋と言われるような非弁活動は多く、それに頼らざるを得ない人がいるのも事実かと思います。
 これらの潜在的なニーズはあるのですから、もっと的確できちんとした法律サービスが受けやすくなるよう、新しい「ビジネス」を創造することが、弁護士や起業家には求められていると考えるのです。

 この点は、冒頭の日経新聞の記事の後半で紹介されている、弁護士自身によるベンチャー創業の事例にも共通しています。
 弁護士法人オー・エム・パートナーズは、深夜休日でも弁護士が検索でき、スカイプで法律相談ができるサイト「ロートーク」を提供開始しました。まさにこれもマッチングサービスで、顧客にとって有益だと直感しますが、弁護士会には弁護士による有償の仲介は禁止する内規があるため、ロートークは顧客の相談時間による従量課金制ではなく、弁護士からの登録料で運営されるとのことです。

 安易に結論めいたことを言うのは差し障りがあるかもしれませんが、多くの国民や小規模企業が求めているはずの専門家による法務相談なのですから、このような分野にも規制緩和は必要なのではないかとも思いました。

■ブライト フェイスブックページ  https://www.facebook.com/bridalbright

■弁護士法人 オー・エム・パートナーズ  http://www.ompartners-lpc.com/

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