2015年5月16日土曜日

大阪都構想に「反対」なんてあり得るのか

 いよいよ明日、5月17日は大阪都構想の是非を問う大阪市の住民投票が行われます。何週間か前に大阪に行ったとき、テレビでは賛成反対双方のコマーシャルがテレビで流れており、地下鉄には投票を呼び掛けるポスターも貼ってあって、それなりに盛り上っていると感じましたが、全国ネットの報道番組などで大きく取り上げられるようになったのは、(少なくとも三重県に住んでいる限り)せいぜいここ一週間ほどのことだと感じます。

 国政では対立している自民党、民主党、共産党などが「橋下憎し」、「大阪都構想憎し」で一致し、団結して反対している奇妙な構図が報道ではよく取り上げられていますが、ざっとホームページで双方の言い分を読んでみても、わしには大阪都構想に反対する理由がよくわかりません。
 今までの既得権に重きを置く人たちが、今後の見通しが不透明だからという理由で反対しているとしか思えません。
 ならば、あなたたちはこのまま大阪市と一緒に沈没していくのか?と不思議に感じざるを得ないのです。

 大阪都構想に関するテクニカルな議論や、大阪市民の反応などは、たとえば言論プラットフォーム アゴラ などにもたくさん投稿されているのでそちらをお読みいただくとして(たとえば、こちらを)、三重県の一住民にとって大阪都構想がどんな意味を持つのかメモしておきます。


 よく言われるように、三重県は中部地方と近畿地方の中間にあって、名古屋(東海圏)と大阪(関西圏)の双方から文化や経済の影響を強く受けています。名古屋経済はトヨタに代表されるように製造業が中心で、堅実であると同時にグローバル競争力も高いのですが、良くも悪くも成熟した日本経済をこれから牽引していく産業は医療や金融、ICTといったサービス産業や、製薬とかロボットといった高付加価値な製造業にならざるを得ません。クルマが低燃費で競争する時代は終わりつつあり、今後数年で、自動運転技術での競争となることは間違いありません。重要なのはソフトウエアであって、このイノベーションはシリコンバレーのように高度な人材が重合的に集積し、交流している「場」が必要です。その意味では、ヒト、モノ、カネ、情報が高度に集積している東京や大阪の強みは、日本国民全体にとって重要なのです。

 大阪の凋落は三重県民から見てもバブル期以降は顕著で、大阪市が都市競争力を発揮できなければ、三重県にとってもその経済的な損失は計り知れないのです。
 大阪市の産業を強くするためには、インフラの整備(阪神高速の淀川左岸部区間のようなミッシングリンクの解消や、港湾、空港の整備など)とか、農業、商工業の振興、つまり産業政策を強力に、スピーディーに行うことが有用です。それには、現実に大阪市と大阪府の両方が縄張り争いしていたり、共に放置しているといった、いわゆる二重行政の解消は必須条件と言えます。

 大阪市はかつて先取で革新的な気風があり、さまざまな面で日本をリードしていました。このことを取り戻すには、もちろん今現在は不確定なこと、先が読めないことがあるのは当然だと思いますが、変化に賭けてみる、前向きな姿勢を市民の皆さんには発揮していただきたいのです。

 もう一つ都構想が重要なのは、これから日本が地方創生を進めていくうえで、現在その担い手として当然のように考えられている、県や市町村といった単体の地方自治体ではなく、自治体のあり方そのものを変えてしまうこともアリなのだ、と国民にイメージさせられることです。
 これも多くの有識者が指摘していますが、地方創生の具体策の多くは、従来から取り組まれてきた地域振興活性化策(企業誘致、インフラ整備、中小企業への補助金など)の焼き直しです。今までうまく行かなかったものが、看板を架け替えただけでうまく行くはずがありません。場合によっては市町村単位でなく、より生活実態に近い複数の市町村からなる「経済圏」ともいうべきグループで取り組むべき課題も多いでしょう。
 このような時、大阪都構想が実現すれば、これにならって自治体のあり方そのものを地域の実情に応じて変えてしまおう、という議論が生まれてくるかもしれません。こういった新しい話が出てきて、初めて歯車は前に回転するのです。

 わしも、大阪都構想には大いに期待しています。市民の皆さんの賢明な投票行動を願うばかりです。100km近くも離れた三重県にとっても、その影響は大きいのですから。

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