2015年5月21日木曜日

ビッグデータは目に見える形で活用を

 ある意味で残念で、残酷なことではありますが、児童や生徒の登校の列に、無謀運転や異常者のクルマが突っ込んで死傷者が数多く出る、という事件は珍しくもなんともなくなりました。
 昨日も大阪府豊中市で、登校中の小学生5人の列に市内の女性が運転していた乗用車が突っ込み、1人が意識不明の重体、残りの4人が重軽傷を負ったという悲惨な事故が起こりました。
 犯人は憎んでも憎み切れませんが、この道路は住宅街を通っているものの朝は渋滞する幹線道路の抜け道として通る車が多く、中には一旦停止標識を守らないドライバーも多いため、ふだんから見守りボランティアが立つなど、住民からは危険な道路として認識されている場所で、いわば起こるべくして起こった事故であるということです。
 もっとこうしておくべきだった、という点はたくさんあるでしょうし、道路管理者(豊中市)や警察も取り組むべきことはあったはずです。これは十分な検証が必要と思います。
 ただ、視点を変えて考えてみると、住民のニーズが身近で、かつ切実なこのような問題に対して、地方「自治」の枠組みの中で、もう少し善処することはできなかったのか、ということです。
 冒頭も書いたように、この種の事故は日本各地で起こっています。その都度、対策の強化やモラル向上などが叫ばれはしますが、それでもどこかで同じようなことが起こり続けているのです。



 その一つの解決法は、ビッグデータの活用です。
 新聞によると、国土交通省は、住宅に近く道幅が狭い、わゆる「生活道路」における交通事故を減らすため、自動車の走行情報のビッグデータを収集して分析し、危険が潜む生活道路を割り出して道路を管理している地方自治体に対策を促す取り組みを始めるとのことです。
 平成25年の交通事故死者数は4373人でしたが、このうち約半数の2184人は歩行中や自転車で事故に遭遇した方で、さらにその半数は自宅から500メートル以内の生活圏での事故だったそうです。
 幹線道路と異なり、住宅地内の道路は市町村道であるケースがほとんどですが、市役所や町村役場の多くは交通安全対策担当の職員がわすかしかいません。そこで国交省は、自治体と連携して対策を立てる仕組みが必要と判断したものです。

 自動車メーカーの純正のカーナビシステムは、車の走行経路やブレーキを踏んだ場所などユーザーの自動的に収集する仕組みになっており、メーカーは運転者を個人を特定しない形ながら、これらの膨大なデータを保有しています。
 そこで、国交省ではこのようなビッグデータの提供を求めて分析し、まず、抜け道としてや速いスピードで走る車が多い生活道路を割り出します。
 該当する生活道路では、車両の進入部分を狭くする進入抑止や、道路に段差をつける、道路の一部の幅を狭くする、直線道路をジグザグにしたり蛇行させたりして車の速度を低減させるなどの対策を促していくとのことです。(毎日JP「生活道路:事故減らせ!」5月16日付け)

 これには大きなメリットがあります。比較的安価な工事で対策が講じられ、一定の効果が期待できることがもちろんですが、よく耳にするけど実はよくわからない「ビッグデータ」が、身近な場所で、しかも子供たちの安全を守るという最も重要な使命に使われることで、ICT活用のメリットに関心が高まることが期待できることです。
 技術進歩は、住民の生活ニーズに密着しなければ何ら役に立たないし、そもそも新しいライフステージは開けないし、産業も生まれません。ビッグデータも一足飛びに何か小難しい分野に使われるよりも、みなが本当に困っている、切実に心配していることを解決するのに役立つことで、初めて世間に認知されるのです。
 ビッグデータの無限の可能性を開く意味からも、社会的に有用なことに活用すべきです。

 同時に、ビッグデータの活用は、住民主体による自治の深化につながっていくことが望ましいでしょう。
 同じく毎日JPでは、平成24年11月に なくせ!輪禍:生活道路の車優先「考え変えて」 という、久保田尚埼玉大大学院教授へのインタビュー記事が公開されています。
 非常に示唆に富む内容であると同時に、2年以上も前の内容でありながら、日本ではあまり有効な対策が取られておらず、その時から事態が改善していないことが実感されます。
 突き詰めていくと、これは生活道路といえども車の流入を排除できない道路交通法の限界であり、コミュニティの中で車を使う人とそうでない人の対立が調整できない自己解決の限界でもあります。これらの問題が、ビッグデータという客観的な判断材料によっていくらかでも解決に(つまり、車の規制に)つながって行けるのだとしたら、住民自治の面からもいい結果につながっていくのではと期待できると思うからです。
 

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