2015年6月19日金曜日

多すぎる水族館は淘汰されるべきか?

 産経新聞の記事によれば、日本国内の水族館で飼育されている「ラッコ」の数が激減しているとのことです。

 ピークの平成8年には118頭も飼育されていましたが、現在は15頭にまで減少しています。ラッコは絶滅危惧種としてワシントン条約で国際取引が規制されているうえに、国内のラッコは高齢化が進んでおり、繁殖に向 けた取り組みもうまくいっていません。
 関係者は「このままでは日本の水族館から消えてしまう」と危機感を募らせているそうです。(6月16日付け ラッコ、水族館から絶滅? 国内15頭に激減…高齢で繁殖望めず

 わしの実家の近所にあった鳥羽水族館は、全国を席巻したラッコブームの、まさに火付け役だったところで、昭和60年ごろには鳥羽水族館が一気に全国区の水族館となり、多くの見物客が押し寄せていた賑わいは今もはっきり記憶しています。
 その意味では、ここまでラッコが減ってしまっていることにあらためて驚きと寂しさを感じるのは確かなのですが、しかし、不思議に思うのは、なぜ狭い日本国内にこれほどのラッコがいたのか? 言い換えれば、なぜこれほど日本には水族館の数が多いのか? ということです。

 国際水族館フォーラム(IAF)なる団体によると、世界中に加盟水族館は431館があるそうですが、国別に見ると日本は70館あってトップ。
 次いで中国が猛追しており、実態としてはすでに数は日本より多いという説もあるそうですが、しかし人口と面積を比較すれば、国民一人あたりの水族館密度は日本が圧倒的なトップであることは間違いないでしょう。
 
 この理由としては日本は海に囲まれているのでもともと魚類には親しみが深いことや、巨大な水槽に必要な海水の確保が容易であるとか、魚を生かすための循環システムや防疫、飼育の方法などの技術やノウハウが優れていること、などがあるようです。
 もっとも、これらは明確な理由ではありません。文教政策上、戦略的にこうなったのではなく、国民性として結果的にこうなっているのだとしか説明できません。
 間違いないのは、これだけの水族館が経営的に成り立っているという、つまりは水族館というビジネスモデル(収益の仕組み)が日本では優れているということでしょう。

 お金が儲かるのでどんどん新規参入もあって全国各地に水族館ができる。それぞれが経営に凌ぎを削るので、収益源の目玉となるようなコンテンツを欲しがる。その結果、日本人に好まれそうな珍獣を仕入れてきて展示する(場合によっては曲芸を仕込んで見せる)、というパターンが完成するわけです。

 世界動物園水族館協会(WAZA)なる団体が過日、日本動物園水族館協会(JAZA)に対して、和歌山県太地町で行われている「追い込み漁」によって捕獲したイルカを購入することを止めるよう警告し、従わない場合WAZAを除名することもやむなしとしたことが ~そして結果的に、JAZAはその理不尽とも思える警告に従うことを決定したことも~ 大きな話題となりました。

 これも考えようではラッコ問題の根っこと同じで、水族館は見世物小屋ではなく、展示機能と共に研究機能も重要なものであり、ラッコなりイルカなりの繁殖にもっと取り組むべきで、その学術能力やスキル、そして資金を持たない水族館などは淘汰されるべき、という考え方なのではないかと思います。
 そして、水族館があまりに多い日本の現状を見ると、わしの穿ち過ぎかもしれないけど、WAZAの底流にある、水族館は学術機関たるべしという見解は、むしろ世界の主流ではないのかと思ったりもします。

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