2015年6月24日水曜日

三重県志摩市は「光海底ケーブル銀座」

 伊勢志摩経済新聞によると、6月15日、日本~米国間約9000キロメートルを結ぶ光海底ケーブル FASTER(ファスター) が志摩市阿児町の海岸に陸揚げされました。(6月15日付け リンクはこちら
KDDIホームページより
 FASTERは、KDDIとChina Mobile International(中国)、China Telecom Global (同)、Google(米国)、SingTel(シンガポール)、Global Transit (マレーシア)の6社が共同建設協定を締結したもので、アメリカ・オレゴン州バンドンと、千葉県南房総市(千倉第二海底線中継所)と志摩市(南志摩海底線中継所)の2カ所を結ぶ太平洋の海底に敷設する計画。
 総建設費は約3億ドル(370億円)で、今月から8月にかけて、千倉、南志摩、バンドンの3カ所で敷設工事が始まり、今年11月にこれらのケーブルがつながる予定とのことです。



 今から10年以上も前、やはりここ志摩市に海底に敷設された国際光ケーブルの上陸地が設けられ、このことを契機としてインターネット産業などを集積させようという「パールバレー構想」なるものを三重県が産業政策として打ち出したことがありました。(その後この構想は挫折しました。)
 このことはわしも記憶していたのですが、志摩市には現在、PC-1(日本-米国)、EAC(日本、アジア各国)、AJC(豪州-日本)、APG(日本、アジア各国)、Japan-US(日本-米国)、C2C(日本、アジア各国)の7本もの光海底ケーブルが陸揚げされており、「光海底ケーブル銀座」と言われているそうです。


 ちなみにこのFASTERの回線容量は60Tbpsです。毎秒60テラバイトのデータがやり取りできるとは、1秒にDVD最大1500枚のデータを送信できるとか、高精細映像(15Mbps)を約400万人が同時にストリーミング視聴することができるほどの速度です。
 今後、スマートフォンやタブレットの浸透、LTEなど高速無線通信は拡充していくでしょう。またゲームや動画などネットコンテンツのますます容量増加(リッチ化)、耐久消費財や生産設備がインターネットでネットワーキングされるIoT(Internet of Things=モノのインターネット)の普及なども進みます。
 このため、日米間のデータの通信量も今後5年間で4倍になると見込まれており、光海底ケーブル回線の増強が急務となっていました。
 
 KDDIによるとFASTERの敷設は以前から計画されていたもので、来年5月26日~27日に開催される伊勢志摩サミットのタイミングと重なったのは偶然とのことですが、大口秀和志摩市長は、「いま経済など世界中のあらゆるところで通信が必要になっている。その通信の要となるものが志摩にあるのは嬉しいこと。われわれも環境について協力したい」とコメントし、伊勢志摩サミットでの活用に関しても一定の期待感をにじませました。

 破綻した三重県の「パールバレー構想」は、志摩市に海底光ケーブルの上陸ポイントが設けられたことをきっかけに、当時ブームだったコンピュータ産業、なかんずくソフトウエア業やネットを活用した商業・サービス業を振興しようとしたものでした。
 今から思えば、これらのIT産業振興とケーブルの上陸ポイントが近くにあることとは何の関係もなく、そもそもこの志摩地域でのIT技術者の育成・確保や、IT企業間のネットワーキング、資金調達の容易さなど、産業振興に必要な条件が不足していてはうまくいくはずはありませんでした。

 今回も、その轍を踏まないよう、真に上陸ポイントに近いという利点を生かせる業種は何なのかを考え、一定の時間をかけて、企業の支援や人材の育成に地道に取り組んでいくことが必要だと思います。

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